岡崎京子全作品レビュー

特別プロジェクト

岡崎京子
全作品
レビュー

岡崎京子の作品の内、原則として単行本未収録の作品を除く(一部含む)全作品のレビュー。
リストアップは、単行本の発行順ではなく、出来る限り個々の作品の発表順に行いました。

誤り等、お気づきの点がありましたら、メール掲示板で、ご指摘いただければ幸いです。

(1999.06.11プロジェクト開始)
(2001.02.14プロジェクト完了)
presented by tach



以下のリストアップは主に星野仁氏のホームページに記載された全単行本リストを参考に行い、更に、occhieさん並びにnyaoさんのホームページに掲載されているデーターで補足しています。有益なデーターを労を厭わず公開してくださった皆さんに感謝します。 (20000830) 【追記】ばるぼら『岡崎京子の研究』(アスペクト2012.07.23刊)も貴重な情報源として活用させて頂きました。何か疑問が生じたときパラパラめくると大抵答えが見つかってしまう凄い本です。著者のばるぼらさんに感謝します。(2021.07.01)
各作品の題名の後ろにつけられたピンクの文字の意味は次の通り
名作必読の名作!(だと思う)
傑作個人的趣味を越えて素晴らしい作品。誰が読んでも面白い!(はずだと思う)
佳作個人的には傑作だと思うが、万人向けではないかもしれない。
そう出来のいい作品ではないかもしれないが、個人的に何となく好き。
注目作そう好きでもないけど、まぁ注目しておくべき作品かな?

bbiw」は「岡崎京子の音楽趣味を解析する試み」(池田さんのサイト「bbiw」内)へのリンクです
落ちる犬」は川崎ダイス毛(korosuke)さんによる岡崎京子全単行本レビュー「落ちる犬」へのリンクです
bbiw V」は「岡崎京子の作品タイトルを映像化する試み」(池田さんのサイト「bbiw」内)へのリンクです(2004.7.21新規追加)
bbiw S」は「岡崎京子の未単行本化作品を要約する試み」(池田さんのサイト「bbiw」内)へのリンクです(2004.7.21新規追加開始)
  1. 「GIRLS AT OUR BEST」 初出「VIEWY」1982年9月、再録「東京おとなクラブ」1983年3月の創刊第2号(単行本未収録)
    筆者が偶然目にした最古の岡崎。詳しくは「岡崎京子とのファースト・コンタクト」を参照のこと。(2000.01.16新規追加、改訂2021.06.30)bbiw V

  2. 「ひっばあじん倶楽部」 初出「漫画ブリッコ」1983年6月号~9月号(単行本未収録)
    イラスト・エッセイ。おそらく岡崎の実質的な商業誌デビュー。ほとんど入手不可能なこの作品、何と嬉しいことに nyao さん主催のHP「漫画ブリッコの世界」の一角「岡崎京子の『ひっばあじん倶楽部』」に再録されています。こんなものがネット上で読めるなんて、何と素晴らしい! nyao さんに感謝します。(20010103追加)bbiw V

  3. 「キョービの女子高生通信」 初出「漫画ブリッコ」1983年10月号~11月号(単行本未収録?)
    未読。イラスト・エッセイの類であらふか? nyao さん主催のHP「漫画ブリッコの世界」より。(20010103追加)bbiw V

  4. 「保健室の情事」 初出「漫画ブリッコ」1983年12月号(単行本未収録?)
    未読。エッチな話であらふか? nyao さん主催のHP「漫画ブリッコの世界」より。(20010103追加)bbiw V

  5. 「No cherry girl, non cherry boy」 初出「漫画ブリッコ」1984年1月号(単行本未収録?)
    未読。題名からすれば思春期もの? nyao さん主催のHP「漫画ブリッコの世界」より。(20010103追加)イケダさんのところに内容紹介があります→bbiw Sbbiw V

  6. 「赤ヒ靴」初出「漫画ブリッコ」1984年2月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    現在普通に入手できるものの中では最古の岡崎作品(と思っていたのだけど下記の「処女の祈り」も同時期らしい事が判明したので分からなくなりました)。ショーウィンドウの赤い靴をじっと見ていたら見知らぬ小父さんが買ってくれて、その上ご飯までおごってくれました。…いわゆる援助交際のはしりモノ?(1999.06.16新規追加、改訂20000830・20210703)落ちる犬bbiw V

  7. 「処女の祈り」初出「ラブクリーム」1号(1984年2月推定)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    箱崎・ド・瑠璃子おぜう様は最近欲求不満。下々の者は海に山にセックスなどに青春を謳歌し、紀州の桜子姫まで「女になった」と喜び勇んで電話してくるのに、自分だけはまだ未経験。やがて16歳の誕生パーティーがやって来て…。「ペスよ尾をふれ!」系統のえぐい話。(1999.07.27新規追加)落ちる犬bbiw V

  8. 「TVより君が好きさ」初出「漫画ブリッコ」1984年3月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    お父さんとお母さんがテレビばかり見ていて全然構って貰えなかった女の子が大きくなって恋をしましたとさ。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  9. 「"超能力少女A(仮名)"」初出「ラブクリーム」(2号1984年3月推定)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    超能力少女A(仮名)がようやく巡り会った同じ超能力者の彼は、何と、「不能力者」でした…(1999.07.27新規追加)bbiw V

  10. 「続"超能力少女A(仮名)"」初出「ラブクリーム」3号(1984年4月)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    「女の子のH漫画家」きゃうこさんが調子に乗って「おちんちん」を描いていると、例によって超能力少女Aが机からぬっと首を突き出して、感嘆の声を上げました。「わー、うらやましい。こんなにそそり立って!」。そう、少女Aの彼は不能力者だったのです、超能力者であるにもかかわらず…(1999.07.27新規追加)落ちる犬bbiw V

  11. 「WHITE DAY SNOW DAY」初出「漫画ブリッコ」1984年4月号(短編集「バージン」改訂版1989河出書房新社収録)
    世界が滅んでたった二人残された恋人達…ごっこ。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  12. 「まんが家物語」初出「漫画ブリッコ」1984年5月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    まんが家ヲカザキ誕生秘話。しかし、エーカゲンな話だな。「いいんだ、写植さえうてれば」とまで言われたら、返す言葉もない。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  13. 「SCREEN-SINGLE BED」初出「ラブクリーム」5号(1984年6月)(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    自分たちの影をスクリーンの上に映しながらベットの上で戯れる二人。明らかにと言うかモロに奥平イラ!(1999.06.16新規追加、2001.01.10コメント追加)落ちる犬bbiw V

  14. 「花」初出「漫画ブリッコ」1984年6月号(短編集「バージン」改訂版1989河出書房新社収録)
    ともみちゃんは彼が他の女の子とつき合っているのを知っている。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  15. 「EATING PLEASURE」初出「漫画ブリッコ」1984年7月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    突如として食欲が昂進し、身体と引き替えに食べ物を手に入れようとするさとみちゃん。岡崎は、テクノだけど、パンクな奴だと思う、やっぱり。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  16. 「爆裂女学校(バーストガールズスクール)」 初出「漫画ブリッコ」1984年8月号~12月号(単行本未収録)
    未読。nyao さん主催のHP「漫画ブリッコの世界」より。(20010103追加)
    「幻の初期作品」として埋もれてしまいそうだったこの作品、実は、ネット経由で読めるようになりました! 詳しくは nyao さんによる紹介ページをご覧下さい。(HP「漫画ブリッコの世界」の一角です)素晴らしい! 何と言うことだ! nyao さんに感謝!(20010918追加)bbiw Sbbiw V

  17. 「CONCRETE JUNGLE」初出「ALiCE CLUB」11月増刊号1984年11月25日(短編集「バージン」白夜書房1985.08.01に収録)
    病室がお見舞いの鉢植えでいっぱいになってジャングルみたいだと言う、ただそれだけのお話。後に初の単行本冒頭を飾るプロローグとして利用されたフラグメント。初のカラー作品。(1999.06.16新規追加、改定20210703)落ちる犬bbiw V

  18. 「あねいもと」初出「漫画ブリッコ」1985年1月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    高校生の妹から彼氏を奪ってしまった23歳のお姉さん。これも「恋愛の残酷」。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  19. 「愛と悲しみのパーティー(仮題)」初出「漫画ブリッコ」1985年2月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    憧れの彼女の心を捉えるため、命がけでコンパの芸を競い合う男達の戦い。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  20. 「CURRY RICE」初出「漫画ブリッコ」1985年3月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    初体験よりママが朝から仕込んだカレーライスの方が良かったかもしれないという女子高校生の生活雑感。この突き放し方はちょっと好きかもしれない。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  21. 「How to Use TANGPONG(タンポンの正しい使い方)」初出「漫画ブリッコ」1985年4月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    女子高でタンポンの普及のために一席ぶつ若い女教師。岡崎も、テクノだけど、パンクな奴です。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  22. 「彗星物語」注目作初出「漫画ブリッコ」1985年5/6/7月号(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    おそらくデビュー期の代表作。この時期の作品としては例外的に長い。淡く儚い感触。小学校の先生と同棲するプータロー。両親が離婚して東京を離れることになった高校生の女の子。街でいつもすれ違う二人の間に芽生えた淡い恋。でも、私はこの小学校の先生の方が好きだけどな。主題は「恋愛の残酷」ということ。姉妹作として「終らない夏」「名前と言葉」。この三編を全部合わせると100枚を越える中編になる。作品への作者の思い入れは割と強いようだ。(1999.06.16新規追加、改訂1999.0617)落ちる犬bbiw V

  23. 「プリンセス ガールズ」 初出「メルティ・レモン(1)」1985.06.25(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    二十歳の漫画家は白馬の王子を待つのをやめたのか? 意を決して、友達に男を紹介してもらったものの、何だかうまく行かない。女三人組がわいわいやりながら話が進んで行くというその後何度も繰り返されるパターンの始まりの一つか?(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  24. 「ウーパーくん」 初出「メルティ・レモン(1)」1985.06.25(単行本未収録?)
    未読。イラスト?(2001.01.10新規追加)

  25. 「SHY BOY」初出不明(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    意中の女性にうけるために刈り上げで決めたテクノな男の子。(1999.06.16新規追加)落ちる犬bbiw V

  26. 「WEEK END」初出不明(短編集「バージン」1985白夜書房収録)
    待ち合わせの場所に彼が現れるのを待ちながら彼女が思ったこと。(1999.06.16新規追加)
    川崎ダイス毛さん(Korosukeさん)のレビューを読んで初めて気がついたんだけど、これは、既に待ち合わせ場所に居て回想しているのではなく、待ち合わせの場所に向かって歩いてゆく最中の彼女の「意識の流れ」を追った作品だったんですね…(2004.07.10追記)落ちる犬bbiw V

  27. 「名もないマンガ」初出短編集「バージン」1985白夜書房
    未読。白夜書房版にのみ収録。(後の河出版では削除)ひょっとしたら巻末のあとがきとして描き下ろしたものか?(2001.02.15新規追加)
    白夜書房版を手に入れて読んでみたら、やっぱり「あとがきまんが」だった。当時の岡崎の等身大の日常生活を垣間見ることができる。二十歳を過ぎてようやく一人で喫茶店には入れるようになった岡崎なんて、あなた、信じられますか?(2004.07.11追加)bbiw V

  28.   短編集「バージン」初版1985.08.01白夜書房(新装版1989.11.10河出書房新社)
    【注】記念すべき第一作品集。 大部分が、エロ漫画雑誌「漫画ブリッコ」に掲載されたもの。当時の編集長は大塚英志。彼の語る岡崎については「大塚英志のおたく社会時評」を参照のこと。
    殆どが日常の一瞬を切り取ったような10枚前後の作品。所々でキラキラと光るものが感じられるときもあるが、まだまだ「作品」にはなり切れていないような気がする。「あとがき」に曰く、その頃、イギリスの某グループ(注:「ヤング・マーブル・ジャイヤンツ(YMG)」)bbiwのレコードに凝っていて、「そのあまりのつたないちせつさと、そのあまりにゆうがな何もなさにずいぶん勇気づけられた」と。まさにそんな作品集。絵柄はこの頃の方がウェットで叙情的。奥平衣良(或いは奥平イラ「モダン・ラヴァーズ」けいせい出版1980.11.10、「地図と記号」JICC出版局1982.12.15)の影響を感じる。(1999.06.16新規追加、20000102/20000830/20010218改訂)bbiw V

    1. 「CONCRETE JUNGLE」
    2. 「彗星物語」
    3. 「How to use TANGPONG」
    4. 「あねいもうと」
    5. 「CURRY RICE」
    6. 「愛と悲しみのパーティー(仮題)」
    7. 「EATING PLEASURE」
    8. 「まんが家物語」
    9. 「TVより君が好きさ」
    10. 「赤ヒ靴」
    11. 「SCREEN-SINGLE BED」
    12. 「SHY BOY」
    13. 「WEEK END」
    14. 「花」
    15. 「WHITE DAY SNOW DAY」
    16. 「名もないマンガ」
    以上15編 短編集「バージン」収録

  29. 「SIX SEX SIXTEEN」初出「コミックスコラ」1985年8月号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    裏ビデオを手に入れたゆみちゃんとケンちゃんは、それを見ながらいっぱいセックスをしようとしたのですが…唐突に出て来て助言を始める「冷静で理性的な少女」というのがいいです。(20000102新規追加、20210702初出追加)bbiw V

  30. 「夏休み」 初出「メルティ・レモン(2)」1985.08.25(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    夏休みの初体験もの。本当は好きな男の子がいるのに、成り行きで別な男とずるずると経験をしてしまう。その朝帰りの途中で本命の男のこと出会って、海に誘われてもねぇ…。「初めて愛し合った人達は朝まで抱き合っているんだと思っていた」という主人公の言葉がちょっと切ない。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  31. 「さらば愛しき人よ」 初出「漫画ブリッコ」1985年9月号(短編集「好き好き大嫌い」1989.7.10JICC出版局収録)
    がさつ女マリちゃんをひたすら追いかける野々村君の恋。基本的にはラブコメだけど、そーゆーのが結構好きだったりする。「君達はまだ恋とゆーものを知らないな。僕は恋を知ったが、恋がどこから来るのかを知らない。」とトランス状態に陥って平然とつぶやく野々村君には笑える。「ばた足金魚」であるという説有り。(19990819新規追加)bbiw V

  32. 「サッカリンフレンドシップforガールズ 」初出「コミックスコラ」2号(1985年10月)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    二流短大で「公立高出身バージン・グループ」にくっついている内山田さんでしたが、実は、男がいるのです。最後の一こまで見せる内山田さんの見事な裏切りが爽快。女の甘い友情はサッカリン味?(1999.06.24新規追加)落ちる犬bbiw V

  33. 「ドッペルゲンガー」 初出「漫画ブリッコ 1985年10月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    自分の分身と暮らす少女。お洒落なお嬢様モノを目指したような気がするが、私にはよく分からない作品。考えてみれば後の第四長編「ショコラ・エブリデイ」の原型かもしれない。岡崎は、幼い頃、好んで、自分が双子だったらという空想に耽っていたという。(「ショコラ・エブリデイ」あとがき) 双子願望とは、心理学的に見て、何を意味しているのだろう? ナルシズム? ここら辺は代表的な岡崎HPの運営者でもあると同時に精神科医でもある星野先生に教えを請いたいところです。(1999.06.17新規追加、19990807改訂)
    その後知ったところによると、どうやら幼年期に愛読した「ふたりのロッテ」の影響らしいです。(20010103追加)落ちる犬bbiw V

  34. 「東京の灯よありがとう」 初出「メルティ・レモン(3)」1985.10.30(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    地方のカップル。進学時期になって男が急に東京の大学に行くと言い出して…というよくあるパターンもの。根っからの東京モノの岡崎がこんな話を作ってもなぁ…。でも「こののんき野郎!! 人の気も知らずにちんぽこ立たせんじゃないっ」という糾弾の叫びは男にとってヒヤリとするほどリアルかもしれない。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  35. 「終らない夏」注目作 初出「漫画ブリッコ」1985年11/12月号・1986年2月号(短編集「好き好き大嫌い」1989.7.10JICC出版局収録)
    「彗星物語」並びに「名前と言葉」の姉妹編。「彗星物語」の設定を彼女の側の視点から描く。彼に恋人がいたとしても自分が入り込むスキマはあるというのがこの作品の最大の「発見」。それを「平凡な事実」ではなく「発見」たらしめてしまうような何かがこの作品にはあると思う。余談だが、この作品に出てくる父親は妙に気持ち悪い。岡崎、お前はそんなに男が憎いのか?(20000102新規追加)bbiw V

  36. 「ウォーキン・オン・サンデー」佳作 初出「あすか」1985年12月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    わりと好きな作品。女三人が日曜日の午後の下北沢を当てもなく彷徨う。二度とは戻ってこない一瞬の「今」を愛おしむ感傷がキラリと光る佳作。設定としては「くちびるから散弾銃」の原型のようなものだが、主題としてはかなり違う。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  37. 「じゅんこちゃん大変身!」 初出「メルティ・レモン(4)」1985.12.23(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    ボーイッシュでお転婆なじゅんこちゃんですが、実は、その正体は、ペンダントで変身する「スーパーお嬢様」だったのです!(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  38. 「セカンド・バージン」 初出:週刊「漫画アクション」1985末~1986夏(単行本:双葉社1986.11.14)
    初の長編。母子家庭もの(岡崎作品における父性像の欠落は気になる)。樹美子さん34歳は夫と死に別れ、競馬評論家をしながら、二人の娘、瀬利菜(16歳)と加利菜(10歳)を育てて来ましたが、土方のブライアン・フェリーおじさんに恋をしてしまいました。さて、樹美子さんの再婚なるか?
    高校生の時の樹美子さんが、新宿風月堂に出入りしてたサイケ少女で、授業中にサルトルの「存在と無」を読んでいたという設定には泣かされるが、全体としてゆるい出来。初の長編なんだから少しはリキを入れたらいいと思うのに、岡崎は相変わらず肩から力が抜けっぱなし。何しろ、冒頭の前書きからしてこうだ。
    コンニチワ。始めのごあいさつです。私が作者の岡崎です。訳あって目次はありませんが次の次のページから全32話あります。大変ですががんばって読んで下さい。あとがきでお逢いしましょう。では。
    ソー言われたので、がんばって久しぶりに読み返してみたら、意外と笑える作品だったことを報告しておきます。(1999.06.22新規追加、20010218初出追加)落ちる犬bbiw V

  39. 「名前と言葉」 初出「漫画ブリッコ」1986年1月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    「彗星物語」の姉妹編。先生と同棲する「僕」の日常の一こま。「気にしないで。よくある事なんだから」と言われてみたいような気もする。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  40. 「恋はエスプリ」 初出「あすか」1986年1月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    少女漫画家の卵を主人公にした恋愛モノ少女まんがのパロディー。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  41. 「お嬢様を探せ!」 初出「アクション増刊」1986年1月7日号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    1985年頃、お嬢様ブームというのがあったそうだ。私は日本にいなかったので、実際のところは知らないが、タケシがお嬢様を捜して他所様の家までずかずかと上がり込んで行くとか言う番組があったらしい。遠い異国の地にまでわざわざ遊びに来てくれた友人がそんなことを教えてくれたことを覚えている。おそらくこれは、それの岡崎ヴァージョンなんだろうと思う。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  42. 「山田!恐ろしい女」初出「コミックスコラ」4号(1986年2月)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    ブスで好色で図太い女、山田ミドリ、19歳、大学生。印象深い作品だった、好きと言うより。この女はリアルだと思った。(1999.06.24新規追加)落ちる犬bbiw V

  43. 「香港コーリング」初出「平凡パンチ」1986年2月26日号(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    現地取材に基づく浪漫サスペンス巨編…な、ハズがない。またいいかげんな作品書き上がって。(1999.06.24新規追加)落ちる犬bbiw V

  44. 「すきすき すういっち」bbiw 初出「メルティ・レモン(5)」1986.03.03(単行本未収録)
    未読。nyao さんの解説によれば「とてもお堅い女の子が、あるふとした瞬間に、とてもナンパな(すぐに女の子を乗り換えちゃう、図書室でHしちゃう)男の子に、心の中の「好き」のスイッチを入れられちゃう、というお話」とのこと。(2001.01.10新規追加)bbiw V

  45. 「ガッツだ!!ケロ太!」 初出「メルティ・レモン(5)」1986.03.03(単行本未収録?)
    未読。イラスト?(2001.01.10新規追加)bbiw V

  46. 「恋する乙女は小さな野獣」初出「平凡パンチ」1986年3月17日号(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    るみ子は小さな野獣です。「…ケイベツしないでね。でも好きなの。して」と裸で迫って、友達の彼をしっかりいただいてしまいましたが、食べてみたら勘違いだったので、さっさと逃げ出してして後は知らんぷりをして済ませましたとさ。「サッカリンフレンドシップforガールズ 」と同系統の話かもしれない。「ポータブル・ボーイ」の久美ちゃんも、どうせやるんだったら、これくらいやらんかい!(1999.06.24新規追加)落ちる犬bbiw V

  47. 「No Future Boy No Future Girl」初出「コミックスコラ」5号(1986年4月)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    1986年、十年前に15歳だった「元少年」は、会社帰りにスーツを着たままレコード屋に寄る。周囲の若者から注がれる冷たい視線。レコードを買ったら最初のガールフレンドに会いたくなった。「いいわよ。ぜひ来て」と彼女は言う。十年前刈り上げだった彼女も、髪が長くなってすっかり女らしくなった。よく手入れがされていて、いい匂いがする。「ちゃんと最初にキスするようになったのね。あの頃は、すぐパンツに手をつっこんで脱がせて入れたがってたわ。」「それがパンクでノー・フューチャーだと思ってたんだ」…そして下手くそなワルツを踊った…。感傷だな。この感傷が結構好きだけどな。(1999.06.24新規追加・2004.07.27改訂)
    …と書いたら、感傷だけでこの作品を片づけてしまうのは浅薄であるとのお叱りを受けました。確かに池田さんのこの読解の方が素敵です。(19991230追記)落ちる犬bbiw V

  48. 「図鑑少女」佳作 初出「メルティ・レモン(6)」1986.04.30(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    岡崎のセンスが光る逸品。好きだ。るり子ちゃんは学校をサボりましたが、お金と勇気がないので、結局、区立図書館へ行きました。図鑑を眺めているとジャングルに行きたくなりました。フラミンゴを抱いてジャングルに立っている自分の姿をちょっと想像してみました。おしまい。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  49. 「ガッツだ!!ケロ太!」だい2回初出「メルティ・レモン(6)」1986.04.30(単行本未収録?)
    未読。イラスト?(2001.01.10新規追加)

  50. 「イカす渋谷は恋の街」 初出「平凡パンチ」1986年5月5/12日合併号(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    渋谷のシビアなラブホテル事情についての論考。出遅れると二人で気まずい思いをしながら夜の街を当ても無く彷徨うことになるので注意しましょうとのことです。(1999.06.28新規追加)落ちる犬bbiw V

  51. 「ヨ・レイホ」 初出「別冊あすか 1986年6月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    アルプスの少女のパロディー。(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  52. 「ガールフレンド」初出「小説ノン」創刊号~6号(1986年6月~11月)(「さまざまな人達」改題)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    今どきの娘達の実状に関する連作6話。謝恩会の前日に生まれて初めてパーマをかけ、バラのコサージュを付けて花の精になったような気がする地味なOLを扱った第一話と第二話にはまた別な面での「鬼畜岡崎」を感じる。第三話は一見パープー実は死ぬほど計算高い山口つや子が二十歳にして仕掛けた人生の大バクチ(医者の一人息子をたらし込んで妊娠する)。第四話は「させ子」のインタビュー。第五話は処女の定義に関するヲカザキの提案(トランプならパスが三回までOKなのと同じ具合に三回までなら準処女と見なすとか、三年間してなかったら双六みたくふりだしで処女に戻るとか…ちなみにこの「3年経てば処女に戻る」という発想は岡崎のお気に入りらしく、「東京ガールズブラボー」下巻P76でもなっちゃんに同じ台詞を言わせている)。第六話はコンドームに関する諸考察。コレコレ、京子ちゃん、いい加減にしなさいって感じですね。(1999.07.27新規追加)落ちる犬bbiw V

  53. 「ポータブル・ボーイ」初出「コミックショップハンバーガー」1986年6月14日号(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    彼氏と別れて8ヶ月。男がいない生活は結構穏やかで快適。…だったはずなのに、友達の彼にちょっと気持ちがなびく久美ちゃんだった。岡崎作品の主人公にしてはジメついてるぜ、こいつ。却下。岡崎はもっとスキッとしなきゃ。(1999.06.24新規追加)落ちる犬bbiw V

  54. 「さよなら お嬢様」 初出「メルティ・レモン(7)」1986.06.30(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    「じゅんこちゃん大変身!」完結編。(1999.06.17新規追加)bbiw V

  55. 「西あきぐりんのナゾ」初出「メルティ・レモン(7)」1986.06.30(単行本未収録)
    漫画家西秋ぐりんの正体を暴く1ページ漫画。可愛い絵に騙されてはいけない。男だ!(2001.01.10新規追加、改定20210703)

  56. 「N・W危機一発!!」初出「MOGA」3・4号(1986年7/8月)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    ニューウェイヴ時代の終わりを目の前にして別れを惜しんでいるのか? ファッション関係は私にはよく分からん。ただ、「N・Wの女のコは業が深いから高野山へいくといいと思う」という最後の台詞は何となく分かるような気もする。(1999.07.27新規追加、改定20210703)落ちる犬bbiw V

  57. 「ドラドラ息子とエロエロ娘」初出「漫画アクション・ニャンニャン増刊号」1986年8月23日号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    中学生だか高校生の女の子が家庭教師に来た大学生の男の子とセックスしまくるというただそれだけの話なんだけど、近頃、「TRY」とかいう家庭教師派遣会社のCMを見るたびにこの作品を思い出してしまう私はバカ?(20000102新規追加、20210702初出追加)bbiw V

  58. 「人生のいい目」 初出「モガ」1986年9月号(短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986収録)
    岡崎と思しきネエちゃんが、憤懣やるかたなく叫ぶ、人生のいい目に会いたい! と。そうだ、私も人生のいい目に会いたい!(1999.06.17新規追加)落ちる犬bbiw V

  59. 「どてらいわしら」初出「MOGA」6・7号(1986年10/11月)+短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.5.30のための描き下ろし
    DCブランドのバーゲンを荒らしまくり、横流しを続ける謎の二人組、ジョンとメリー。彼らを亡き者にせんと刺客を放つ東京デザイナーズ。資本主義の上澄みを巡る戦いの勝敗は何処へ?(1999.07.27新規追加)落ちる犬bbiw V

  60. 「東京マドモアゼル劇場」短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    破壊的センスの連作。
    第一話「ペスよ尾をふれ!」(初出「漫画カルメン」1986年10月号)外交官のお父さんとピアニストのお母さんを持つるみ子ちゃんが愛犬のペスと出来てしまう話。「そうペスは尾だけでなく腰もふっていたの」というマドモアゼル岡崎の語りにはのけ反る。最後に二人(一人と一匹?)はめでたく結婚してハッピーエンド。bbiw V
    第二話「恋の八方ふさがり」(初出「コミックまんかい」2号1986年10月15日)墨やスクリーントーンを付けたままデートに駆けつけたばかりにジャンポール・中沢に振られるまんが家フランソワーズ・岡崎。「僕はいつも君の落とし忘れた手のインクやスカートについたトーンの切れはしで悲しくなるんだ」bbiw V
    第三話「ケン太の涙」(初出「コミックまんかい」3号1986年11月15日)(実は)おねえちゃんと一緒に暮らす小学校5年生のケン太君はある日友達の家でおねえちゃんが出演する裏ビデオを見てしまう。しかし女手一つで自分を育ててくれるおねえちゃんにそんなことは言えない。その夜、ケン太は「お父さん、お母さん、ごめんなさい」とあやまりながら初めてオナニーというものをした。最後に語り手のマドモワゼル岡崎が現れて明るく一言。「がんばれケン太君! オナニーしすぎて背がのびないなんて事ないんだから!」。「岡崎は鬼畜だ!」と思った。ここまで来ると一種の爽快感を覚える。岡崎の一連のかわいい話の類を愛読してきた人がいきなり読んだら仰天して、なんでこんなモノを描いたのだろうと訝しく思うかもしれない。しかし私見によれば「鬼畜岡崎」と「かわいい岡崎」の間には断絶はない。岡崎は深い。(1999.06.28新規追加) bbiw V落ちる犬


  61.   短編集「ボーイフレンド is ベター」白泉社1986.10.29
    【注】第二作品集。基本的に第一作品集と同じ路線を引き継ぐ生活雑感的な叙情小品集。さすがに第一作品集よりは肩の力を抜いた作品が多いか? でも「図鑑少女」と「ウォーキン・オン・サンデー」は初期の佳作だと思う。bbiw V
    1. 「ウォーキン・オン・サンデー」
    2. 「東京の灯よありがとう」
    3. 「プリンセス ガールズ」
    4. 「夏休み」
    5. 「ヨ・レイホ」
    6. 「じゅんこちゃん大変身!」
    7. 「恋はエスプリ」
    8. 「お嬢様を探せ!」
    9. 「さよなら お嬢様」
    10. 「図鑑少女」
    11. 「名前と言葉」
    12. 「ドッペルゲンガー」
    13. 「人生のいい目」


  62. 「ハワイ・アラスカ」 初出「WEEKLY漫画アクション増刊号」1986年(中短編集「TAKE IT EASY」スコラ1988収録)
    彼が出来で初めて迎える夏休み。いったい何処に遊びに行こうかと期待に胸が膨らむ。もし行けるんだったら夏はハワイ。トロピカルで気怠い生活を思い描いてウットリとしていると、彼はアラスカがイイと言い張ります。何もない雪原に立ち尽くすのだと…。互いにハワイとアラスカの悪口を言い合いますが、ふと気がついてみれば、実際に行けるわけも無し。仲直りに50円の棒付きアイスを買って二人で食べたら、ハワイの空の青さとアラスカの寒さの味がしましたとさ…。岡崎は夏が好きだな。わりと好き。(1999.06.20新規追加)bbiw V

  63. 「さようならの夏」 初出「WEEKLY漫画アクション増刊号」1986年(中短編集「TAKE IT EASY」スコラ1988収録)
    例によって夏の初経験モノ。女子高に通うヨーコちゃんは夏休み、バイト先で知り合った大学生と「一夏の経験」をしました。最初はとってもすてきな出来事に思えたのに、彼の彼女が現れた途端、忌まわしい思い出に… 落ち込むな、ヨーコちゃん。君には明日があるさ。(1999.06.20新規追加)bbiw V

  64. 「TAKE IT EASY」 初出「コミックバーガー」1986年11月~1987年3月(中短編集「TAKE IT EASY」スコラ1988収録)
    中編と言うより長編第二作と言ってもいい長さかもしれない。そば屋の息子弥七郎はとんだ与太郎。大学全部落ちたのに反省の色無く、ふらふら腰が定まらず、遂に二浪目に突入。本当は心配で堪らないけど、そんな弥七郎についついきつく当たってしまう幼なじみの千代子。弥七郎も、この頃色っぽくなってきた千代子が気になるのだが…
    それなりに面白可笑しいが、実のことを言うと、岡崎らしさがちょっと薄いのではないかと気になる作品。「うる星奴ら」に代表される伝統的ダメ男パターンを使うのはいいとして、それを十分に「岡崎化」し切れていないような気がする。(1999.06.22新規追加)bbiw V

  65. 「香港ランニング」初出「WINGS」1987年1月号)(短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30収録)
    香港買い出し観光旅行記。イラスト・エッセイ。もう、この「英国領」香港も存在していない。月日が経つのは早いなぁ。(1999.06.24新規追加)落ちる犬

  66. 「コニーのお留守番」初出「週刊漫画アクション」1987年1月20日号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    アメリカ風ホームドラマにSF風設定をミックス。パパとママはお出かけ、お姉さんはデート。たった一人お留守番のコニーは、お姉さんの服を勝手に着てみたり、ママの香水を使ってみたり…(19990818新規追加、20210702初出追加)bbiw V


  67.   短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.05.30、新装版2002.08.30
    【注】第三短編集。叙情的な作風が目立ったこれまでの作品集に比べて、えげつない話が目立つ。「女のコのエッチ漫画家」の面目躍如。幾分拾遺集的性格?bbiw V
    1. 「PICNIC」
    2. 「山田!恐ろしい女」
    3. 「ポータブル・ボーイ」
    4. 「サッカリンフレンドシップforガールズ」
    5. 「No Future Boy No Future Girl」
    6. 「香港ランニング」
    7. 「香港コーリング」
    8. 「恋する乙女は小さな野獣」
    9. 「星くず兄弟の伝説」
    10. 「イカす渋谷は恋の街」
    11. 「東京マドモアゼル劇場」
      1. 劇場 第一話「ペスよ尾をふれ!」
      2. 劇場 第二話「恋の八方ふさがり」
      3. 劇場 第三話「ケン太の涙」
    12. 「セックスなどの事」
    13. 「ガールフレンド」
    14. 「どてらいわしら」
    15. 「N・W危機一発!!」
    16. 「処女の祈り」
    17. 「"超能力少女A(仮名)"」
    18. 「続"超能力少女A(仮名)"」


  68. 「PICNIC」短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.5.30のための描き下ろし
    短編集冒頭カラーページ。退屈するためにピクニックに出かける恋人達。「あとがき」によれば、「退屈」とは「日常慣れ親しんだモノゴトに対する愛着と敬意を含んだ礼儀正しいきもち」である由。(1999.06.24新規追加、改定20210703)落ちる犬bbiw V

  69. 「星くず兄弟の伝説」短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.5.30のための描き下ろし
    退屈で大好きなモノゴトに関するショート・エッセイの(1)。手塚真の同名映画を見ていなかったらマンガというモノを描いていなかったとまで断言してるんだけど、それほど面白かったのか? 当該映画未見。情報を乞う。tach@iname.comへメールするか、或いは、掲示板に書いて貰えると嬉しいです。(1999.06.24新規追加)
    …と書いたら本当に教えてくれる人が現れました。「名無し」さんとスワさんに感謝!
    ▼「手塚眞さんの「星屑兄弟の伝説」は、「退屈が大好き」を読んで昔観ましたが、何というかいい意味でムチャクチャな映画でした。ムチャクチャという言い方もムチャクチャですが……。よく覚えてないですけど、戸川京子さんやタモリとかいろんな人が登場してました。荘厳で緻密でなくとも構わないというか、いろんなやり方があるんだ!っていう勇気みたいなものを「星屑兄弟の伝説」から得たんではないでしょうか。推測ですが。」(名無し)(20011212追加)
    ▼「…基本プロッツトは、74年米製作の「ファントム オブ パラダイス」がベースになってましてこの映画ジタイがオペラ座の怪人のロック版なのですがそれに影響をウケテ作られたモノガ近田春夫氏によるアルバム…、で映像版が手塚氏による件のモノ…。ちなみに主演は高木完氏で(東京ブラボー時代?)NEW WAVE版ファントムな感じになっています。岡崎氏はご存知のとおり近田氏のファンでありますし。あの時代の空気を大量に吸っているほぼ同世代による作品に影響されたのでは? 私自身はまっつたくの後追いなのですが。のちの近いものでは高城剛氏によるフジテレビのドラマ、「アルファベット3/2」が近いのかなー? 岡崎氏も看護婦役で出演してますしね。違うかな?」(スワ)(20011220追加)

  70. 「セックスなどの事」短編集「退屈が大好き」河出書房新社1987.5.30のための描き下ろし
    退屈で大好きなモノゴトに関するショート・エッセイの(2)。さすがの岡崎も「東京マドモアゼル劇場」には照れたのか「(若い)頃の自分の性に対する野獣のような息吹が聞こえてきそう」だが「今はめっきりタンパク」になったとうそぶく。(1999.06.28新規追加)

  71. 「老人少年」初出「平凡パンチ」1987年6月25日号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    人生の重圧に耐えかね一日も早く年老いてしまうことを夢見る中学生。13歳の誕生日を機に余生を老人として生きることを決心。「これからは俳句やボンサイにこってみよう」…“夏草や早く冬が来ればいいよな”(字あまり)。(20000102新規追加、20210702初出追加)bbiw V

  72. 「くちびるから散弾銃」佳作 初出「Me-twin」1987年8月号~1990年5月号(単行本:講談社上巻1989.8.11、下巻1990.4.23、合冊完本1996.7.23)
    バブル期に三年近くに亘って雑誌連載されたエッセイ的連作短編。バブル世相観察記の色彩が濃厚。私見によれば岡崎作品の変遷を知る上で鍵となる重要作品。岡崎はこの連載の最中に、身辺雑記的な叙情作家から、社会的視野を持つ作家へと脱皮した。詳細については「推薦作品」のページを参照のこと。(19990806新規追加)bbiw V
    各話の概略は下記の通り。括弧内の数字は曜日と日付の組合せに基づく推定年(原題には無し)。

    1. FRI.10th,July(1987)「ぐれるハイレッグ」
      高校時代マン研でガンダムウーとかうなってた鈴木充子が結婚したと知って逆上したサカエは全てを投げ打ってケがはみ出るようなハイレッグ水着を買うことを決意する。尚、1996年の合冊完本では「ぐれて物欲」に改題。(2003.10.28追加)

    2. SAT.8th,Aug.(1987)「ナイトクイーンは今?」
      アザブのナイト・クイーンと言われた山田貴美子さん24歳がケッコンというゴールに目出度くたどり着いてから早一年。しかし彼女を待ち受けていたのはソウジ・センタク・ゴハン作りが延々と繰り返されるだけの「日常」だったのです…(2003.10.28追加)

    3. THURS.10th,Sept.(1987)「早起きは3人のトク?」1996年の合冊完本では「早起きしたいの」に改題。
      「いま 午前中がトレンディ・タイム」などとテキトーな記事をでっち上げる雑誌編集者のミヤちゃん。「こんなの本気にすんのいないわよー いたら大バカよお」と居直る。(2003.10.28追加)

    4. THURS.15th,Oct.(1987)「明日なき衝動買い」
      閉店間際の丸井に「ちょっくら流し」に入ったサカエはゴージャスなコートと恋に落ちた…

    5. MON.16th,Nov.(1987)「デパートは花ざかり」
      女の職場、花のデパートガールのなっちゃんはお中元のバイトに来ていた早大生のあっちゃんをしっかり彼氏にしてしまった上に、グルーピーなお客さんが付いていてたまに食事に誘われたりしてたのです。「このプレイガール!!」「だってお客様ですもん。でも あっちゃんにはナイショね」(2003.10.28追加)

    6. SAT.2nd,Jan.(1988)「新年ジタラク始め」
      バイト先の男の子からデートに誘われたサカエ。買ったばかりの新しい服を着ていきたいというだけの理由で応じたものの、約束の場所は今週のカタログ雑誌に紹介されていた「話題のスポット」で、彼は「タキシード」を着て待っていたのです。その上、食事中に花束は届くし、あまりの恥ずかしさに逃げ帰ってきたのですが…典型的なバブルの光景。そのトンマな世相の中でも、岡崎は「正気」だった。(2003.10.30追加)

    7. WED.20th,Jan.(1988)「風呂上がりの大空に」
      「センスの悪いすっげえブス」が自分の憧れのワンピースを着ているのを目撃してしまった「日本一の洋服バカ」サカエは、ショックのあまり、洋服を買うことをやめると宣言。替わって目指すは「風呂付きアパート」。 尚、題名は「風呂上がりの夜空に」からか?(2003.10.30追加)

    8. SUN.14th,Feb.(1988)「バニーガールでごめんなさい」
      「風呂付きアパート」を目指すサカエ。志を立てれば春物のワンピースもただの布きれにしか見えないと豪語。勤労意欲に駆られ「バニーガール」の夜のバイトを始めるが、シリを触ったオヤジを張り飛ばしてたちまちクビ… (アシをしていたらしい)よしもとよしともが下絵を描いた酔っぱらいのスケベオヤジの絵(合冊本p.57)にも注目。(2003.10.30追加)

    9. MON.13th,Mar.(?)「動物園でささやいて」
      春の動物園に出かけた三人娘。人間も、動物みたいにキチンと決められた時期にだけ発情してれば煩悩が減るのに…との結論に達する。
      尚、1988年の3月13日は日曜日のはずなのだが合冊本でもそのまま。(←どうでもいいマニアックな揚げ足取り)(2003.10.30追加)

    10. FRI.29th,Apr.(1988)「恋のアンモラルガール」
      三人娘、銭湯にて。サカエの見事なプロポーションを目の当たりにしたミヤちゃんとなっちゃんは、何でこんな子がまだヴァージンなんだろうと訝しむ。(2003.10.30追加)

    11. TUES.17th,May.(1988)「スウィート・ジャンキー3人組」
      恋人のあっちゃんの浮気が発覚して静かに深く傷つくなっちゃん。傷ついた心を癒してくれるのは「スウィート・ドラッグ」…いちごショートケーキ、アイスクリーム、チョコレート等々…人生のシアワセは五月の晴れた空を見上げながら食べるアイスクリームにあり。(2003.10.30追加)

    12. SAT.18th,June.(1988)「知性とダ性のめざめ」
      梅雨の雨に降り込められてなっちゃんの部屋に集結した三人娘。ミヤちゃんは読書にいそしみ、なっちゃんは溜まりに溜まったジョン・ローンの記事の切り抜きの整理。カタツムリの形態模写に精出すサカエは、実は、本が読めないことが判明。生まれてからこの方最後まで読んだ本は3冊。「ぐりとぐら」「白雪姫」「植物図鑑」!(2003.10.30追加)

    13. WED.27th,July.(1988)「Tokyoサマーガール's」
      日本の夏は暑くて寒い。冷房の効きすぎ談義からプール談義へ。あの塩素の臭い!(2003.10.30追加)

    14. THURS.25th,Aug.(1988)「金は天下の回りもの」
      服を買うのをやめたはずのサカエは相変わらずビンボー。ミヤちゃん・なっちゃんにおごってもらってばかりで頭が上がらない。靴などショードー的に買ってしまうせいもあるのだが、ふと気が付けば、それよりも「根本的理由」があったのだ。「考えてみりゃ、ふたりとも、優雅な家付きのリッチガールじゃん」(2003.10.30追加)

    15. WED.28th,Sept.(1988)「トレンドギャルはフリンでフラフラ」1996年の合冊完本では「バカ女一生なおらず」に改題。
      友達が(悩みを相談するふりをして)自慢する不倫相手に会わされてみれば、ただのオヤジ。カッコイイフリンなんてTVの中だけ…(2003.10.30追加)

    16. MON.24th,Oct.(1988)「日本晴れならエトランゼ」
      近頃東京の街角に外国人を見かけることがフツーになってきたというただそれだけの話なのだが、1996年の合冊完本では「作者の希望」で削除された。何がまずかったのかは謎。外国人の流入というのは、バブル期を境に起こった社会の重要な変化の一つ(おそらく今の新宿・新大久保・池袋の外国人地帯というものは当時はまだ存在していなかったろう)であって、その兆候を街角の風景の変化として知覚した岡崎の感受性はさすがだと思ったのだけど… しつこく付け加えておけば「日本語の通じない場所」が生まれることによって初めて東京は本当の意味での「都市」に脱皮したのだ、と自分は思う。(2003.10.30追加)

    17. FRI.25th,Nov.(1988)「ユウウツなニュースペイパァ」
      一人暮らしがしてみたい、とつぶやく家付き娘のなっちゃん。珍しくサカエが説教。甘い、甘い。君はあのオソロシー新聞の勧誘に耐えられるのか?(2003.10.30追加)

    18. SAT.17th,Dec.(1988)「クリスマスウイルスにご用心」
      バブル期のクリスマスの情景がここにある。雑誌まるごとうのみにしたバカな男の子が、ドカチンとかしてクリスマスにかける。女の子に2万円の花束やシャネルのスカーフを送り、タキシード着て、有明系トレンドレストランで食事をし、赤坂プリンスホテルでエッチする… 「だ・さーい!!」「アッタマワルーイ!!」「クリスマスってそーゆー色欲に目のくらんだダサイカップルが街を汚すから や」「ホント タキシード着て電車に乗んないで欲しい」「ビンボーくさー」「そーゆー日には血を売ってでもタクシー乗れっつーの」
      …バブル、バブルというけれど、地上げ屋でもない一般人の実体はこんなもんだった、と自分も思う。今にして思えば、そこら辺の容赦のない視線が、浮かれる世相の中で一人暗く沈み込んでいた当時の自分にとって、爽快で仕方がなかったのかもしれない…(2003.10.30追加)

    19. FRI.20th,Jan.(1989)「ちょっと早いウエディングドレス」
      「あー 結婚したいな……」とぼそりと呟いたサカエ。目を剥くなっちゃん・ミヤちゃん。「もしかしたらウエディングドレス着たいだけなんじゃない?」(20031104追加)

    20. TUES.21st,Feb.(1989)「パラダイスを探して」
      「会社やめちゃおかなー」とぼそりと呟いたなっちゃん。それをきっかけに三人とも一斉に「働きたくなーい、南の島へ行きたーい」病を爆発させる。(20031104追加)

    21. SAT.18th,Mar.(1989)「おくれてきた3人官女」
      女三人の雛祭り。子供の頃に胸をときめかせた思い出話から、ニッポンがまだビンボーだった頃の思い出話へと…「でもさー 日本って豊かになったけれど 変なビンボー性って目につくんだ 最近…」曰く、毛皮着て地下鉄乗ってるギャル、エルメスのスカーフ買いあさるOL、香港やシンガポールで買いものしまくるバカ…(20031104追加)

    22. SUN.23rd,Apr.(1989)「夜あそびストーリー'89」
      最近、夜遊びに燃えなくなってしまった三人娘。トシのせいなのか? コンビニが街にあふれて夜が明るすぎるせいなのか? はたまたTVが24時間放送するようになったせいなのか? やがて昔々の夜遊びの思い出話に花が咲く…
      ところで、コーコク会社に入ってバリバリサラリーマンになったタクちゃん(合冊本p.166)って、このタクさんのことなんだろうな、きっと…(←注:あくまで筆者の勝手な憶測です)(20031104追加)

    23. THURS.25th,May.(1989)「ピクニックとビール」
      ピクニック・アット・ハンギングロック」ごっこをしようと言い出したサカエ、缶ビールを飲み干すなり、なぜか、オヤジごっこを始める。やがて話題は日本人の西洋コンプレックスの起源に移り…(20031104追加)

    24. TUES.20th,June.(1989)「憂国3人娘」
      平和惚けニッポン、どこかの国が戦争を仕掛けてきたらあっという間にセンリョーされてしまうに違いない。どうせ占領されるなら、どこの国がいい? 「中国!」となっちゃん。「毎日中華食べられるし、人民服着て自転車に乗れる。髪はおさげ!」「あたしフランスがいいな」とサカエ。そしたら「明日からここはフランスです!」(20031104追加)

    25. WED.19th,July.(1989)「お洋服洪水注意報」
      待ち合わせ場所にいつまで経っても現れないサカエ。なっちゃんとミヤちゃんが首をかしげているそのころ、自分の部屋でサカエは泣き崩れているのだった。「こんなにヨーフクいっぱいあるのに、着ていく服が見つかんない!!」(20031104追加)

    26. MON.21st,Aug.(1989)「マンガ・エイジの悪あがき」
      望月峰太郎の「ばたあし金魚」を抱えて悶えるサカエ。「好き好きカオル君!!」理想の異性像・自画像はTVやマンガの中にしか存在しないのか?
      尚、1996年の合冊完本では「カオルと結婚したいの」に改題。(20031104追加)

    27. SAT.23rd,Sept.(1989)「先モノ買いの損得カンジョー」
      芸術の秋はやっぱりベレー帽。三人娘が繰り広げる訳の分からないベレー帽談義。(20031104追加)

    28. WED.25th,Oct.(1989)「人肌恋しい季節には?」
      イイ男が欲しいが、やっぱりイイ男はなかなかいない。そもそも男はヨーチだし、最近の若い子はオシャレでペットみたいだけど食い足りない。でも、昔のバンカラタイプが絶滅しかかっているのは目出度いことである…だそうです…(20031104追加)

    29. TUES.21st,Nov.(1989)「思いたったが、厄日」
      突如、髪型を変えることを思いたったサカエ。周囲が止めるのも聞かずに衝動的に美容院に飛び込んでいったものの、待ち受けていたのは悲惨な運命だった…(20031104追加)

    30. SUN.24th,Dec.(1989)「キヨシコノヨル」
      女三人、コタツで迎えるクリスマス・イブ。例のごとくホテルにしけ込むカップルたちを(想像して)バカ!フケツ!と罵った後に、女同士でプレゼント交換。(20031104追加)

    31. FRI.19th,Jan.(1990)「ワイフ イン ジャポン」
      サカエの作ったナンデモアリの鍋に舌鼓を打つ三人娘。そういえば、この前、なっちゃんはボーイフレンドのあっちゃんに手料理を振る舞おうとして大失敗したのだった… 「ナベものにすりゃーよかったのに」(20031104追加)

    32. THURS.15th,Feb.(1990)「ダイエットなお二人」
      万馬券を当てたサカエ、ダイエット中のなっちゃん・ミヤちゃんを前に、ケーキ食べまくり…(20031104追加)

    33. MON.26th,Mar.(1990)「サカエ・棄国子女をめざす」
      サカエはトートツに叫んだ。「あたし 日本捨てます。だって もうやなんだもん 日本とか 東京にいるの。みんなさー 買いものばっかしてるし、ユーミンばっか きいてるしさー。みんな同じカッコしてるし。最近 TVも雑誌も世の中もつまんないし…」(20031104追加)

    34. WED.18th,Apr.(1990)「サヨナラ・ニッポン」
      ついにチケットとパスポートを手に入れたサカエ(←両親に借金した)。目指すはロンドン。唖然として見送るなっちゃんとミヤちゃんを後に残して颯爽と成田から飛び立ったものの… …入国審査で引っかかってあえなく強制送還。「かっちょわりー」そして三人娘のおしゃべりは続く…
      尚、題名は大友克洋の短編集「さよならにっぽん」からか?(20031104追加)

    35. FRI.21st,June.(1996)「くちびるから散弾銃’96」
      1996年の合冊完本のために新たに書き下ろされた新作。1987年の雑誌連載開始から9年後の三人娘を描く。絵はすっかり変わってしまったし、昔からの愛読者としては複雑な思いもあるのだけど…でも、これが現実というものだろうか…
      尚、例によってドーデモイイことだが、筆者の手元にある合冊本1997.8.20付第四刷の目次では日付が TUES.23th,June. となっていた。今ではもう直ってるのかな?(20031104追加)


  73. 「ねぇ、宇宙って膨張するのかな」初出「平凡パンチ」1988年1月7・14日合併号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    浪人の高寺君はついに短大生のガールフレンドに捨てられました。年の瀬の街の風が身に凍みます。ふらりと入った「トルコ千一夜」(まだソープになる前の作品なんだな…)。「バーバラちゃん」を指名したら、出てきたのは(初期岡崎らしい意外性の無い投げやりな展開ですが、一応…)な、なんと高校時代の同級生。二人はマットに並んで腰掛け、暫し、膨張する宇宙について思いをめぐらせるのでした…(20000119新規追加)bbiw V


  74.   中短編集「TAKE IT EASY」
    スコラ1988.04.23(青背初版)、1989.11.16(赤背新装版)、
    1994(白背新装版)、2000.02.01ソニー・マガジンズ

    【注】特別な傑作とは思えないのに何故か再版を繰り返されるラッキーな作品集。版元が解散しても別な版元から再刊。bbiw V
    1. 「TAKE IT EASY」
    2. 「ローマン・ホリデイズ」
    3. 「ハワイ・アラスカ」
    4. 「さようならの夏」
    5. 「ドはドーナツのド-または山田くんと鈴木くん」1994年版以降に収録

  75. 「ローマン・ホリデイズ」 描き下ろし(中短編集「TAKE IT EASY」スコラ1988収録)
    「TAKE IT EASY」の後日談的短編だかキャラクターを借りているだけで、内容的なつながりがあるとは思えない。何が言いたいのかよく分からぬところもあるが、とにかく、突如として浪漫の血中濃度が高まり、一気呵成に書き下ろしたような作品。一つの気分を楽しむ作品と言うべきか? (←その後、「なるほど!」と思うようなoouiさんの解釈を知りました)
    「今日が明日の前日だから、こんなことしてんのよ」という台詞には大島弓子の「バナナブレッドのプディング」の名台詞「今日が明日の前日だから…。だからこわくてしかたがない」の遠い反響を感じる。(1999.06.22追加、19990806/20000406改訂)bbiw V

  76. 「ジオラマボーイ パノラマガール」佳作 初出:「平凡パンチ」1988.3.10~11.10(単行本:マガジンハウス1989.4.26)
    初期岡崎の総決算的長編。良い意味でも悪い意味でも岡崎らしさが存分に発揮されていて、私を含め、愛好者は結構多いと思う。コラージュ作家的特性を本格的に発揮し出すのもこの頃からかもしれない。初期の画風が保たれていたのもこの作品まで。内容については「推薦作品」のページを参照のこと。(1999.08.06新規追加)bbiw Vbbiw Vbbiw V

  77. 「SLEEPLESS DOG NIGHT」 初出:anan1988年6月17日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    一見、思いっきり刹那的でオシャレな不倫もののラブ・ストーリーのような見かけで始まったのに、突如として、「働けども、働けども、暮らしが楽にならない。インテリアコーディネーターが何だ!! ナウが何だ!!」と彼氏はテーブルを叩いて絶叫し、彼女は不倫相手に「どんどんあなたを好きになるわ。そして知りたくなる。ボーナスの明細だとか、小学校の頃のホームランの数とか、初めてぼっきしたのはいつだとか」と迫りはじめる。とたんに「恋の絶対空間」は足下をすくわれ、舞台装置は「冗談」の気を帯びる。「シャレよ、シャレ」とすました作者の顔が脳裏にちらついて、ああ、これはやっぱり「岡崎京子」なのだと思い知らされた。(2003.07.10追加)bbiw V

  78. 「ROCK」 初出:「CUTIE」1989.1~1990.9(単行本:宝島社1991.1.10)
    長編第三作。「凡打」だと思う。だが、次の三つの点において注目すべき作品かもしれない。第一に画風の転換点であること。前期の画風から後期の画風へと、ここで一気に切り替わっている。二ヶ月前に連載の終わった「ジオラマボーイ パノラマガール」と比べて欲しい。全体的には「pink」と同じで画風で、特に主人公のロックの顔は、ときとして、更に後の「東京ガールズブラボー」のサカエちゃんそのものになる。第二に「オシャレでかわいい」を意図的に目指した路線の出発点である(と、私は思う)。活動の舞台を(初期の男性誌から)女性誌に本格的に移しはじめたこととも深く関係しているかもしれない。第三に登場人物の一人が漏らす一言に注目したい。「ママの夢はねぇ きれいな 女のコだけの国を つくることなの」(P146、スピカ) 私はこれを「フェミニズム」だと思う。尚、登場人物の名前の殆どを手塚治虫のキャラクターから取るというお遊びが仕掛けられている。
    【お話】ロックは宿無しのみなしご。モデルクラブの女社長でレズビアンのスピカに拾われ、ペットととして飼われていましたが、スピカの弟アトムと出会って恋に落ちました。めでたく結ばれ一緒に暮らしはじめた二人は幸せいっぱい。張り切ったアトムは、ロックを幸せにするためにと、クラブの経営を始めて順調に事業を拡大して行きます。しかしアトムが事業に熱中するほど、二人の気持ちは離れて行きます。やがて、ロック奪還を狙うスピカの策にハマってアトムは事業に失敗。あとには膨大な借金の山が…。借金の肩代わりと引き替えにスピカが持ち出してきた条件は、ロックのモデル業復帰でした…。(19990811新規追加)bbiw V

  79. 「hello」 初出:「ファンキーパーティー」1989.02.28東京三世社(短編集「レアリティーズ」平凡社2015.01.30収録)
    未読。単発のオムニバス短編集に発表された短編。ゆうこさんによる紹介をどうぞ…「『hello』とゆう8ページの作品を御覧になった事ありますか?登場人物の女の子が家に帰ってきたら彼が倒れてて、死んだフリをしてると思った彼女が『もう、ふざけないでよ~』とかゆってたら、目の前に倒れているはずの彼から電話がかかってきて。。」(20011213新規追加)bbiw V

  80. 「エイリアン」初出「コミックトム」1989年3月号(短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10収録)
    離婚寸前の両親の下で不安な毎日を送る小学生のあっちゃんは、ある夜、ゴミ捨て場で野良宇宙人のポチを拾う…。ポチという存在の設定自体が安易でお話としては面白くないとは思う。この話からポチを取り去って、後の佳作「ハッピィ・ハウス」が生まれた。凡打だとは思うものの、夜空を見上げて「幸せな家族」の追憶にふけるあっちゃんの孤独な姿には胸に迫るものがある。(19991020新規追加、20210702初出追加)bbiw V

  81. 「ショコラ・エブリデイ」 初出:「Peewee」1989.3~1991.10(単行本:毎日新聞社1992.8.30)
    長編第四作。これも凡打だと思う。「ROCK」から更に二ヶ月後に同じく女性誌に連載が開始された。画風の転換点であるという点では同じだが、こちらは「ファンタジーまがい路線」の始まりとしてその後に継承されていったような気がする。おそらく初期短編「ドッペルゲンガー」の発展形。「ROCK」と同じように、登場人物の名前を藤子不二雄から取るというお遊びが仕掛けられている。
    【お話】ミミミとラララは双子の姉妹で、見かけはそっくりですが、性格は正反対。ラララはお転婆なら、ミミミは乙女チックでおとなしい娘。冒険を求めて家出を決心したラララに引きずられて、心ならずもミミミまでおつきあいをするハメになりました。二人が取り敢えず向かったのは横浜中華街。冒険の第一弾として無銭飲食を決行した二人ですが、あえなく失敗。警察に突き出されるところを店の息子ジャッキー・ウォンに助けられ、今度は三人組で新たな冒険を目指して旅を続けることになりました。…で、冒険はします、一応。横浜山手の洋館に閉じこめられ、ヴァンパイアと対決したりとか…。でも、そんな話はドーでもいいんだと思うぞ、少なくとも作者は。問題は、ミミミがジャッキーに恋をしてしまったということ。驚いたことに、恋とは決して、ステキなものでも、スイートなものでも、ありませんでした。ジャッキーを自分だけで独占してしまいたいという邪な欲望が自分の胸の内に沸々と沸き上がり、ラララが邪魔者に思えてきたのです…(19990811新規追加)bbiw V

  82. 「pink」名作 初出:「NEWパンチザウルス」1989.2.23~7.4日連載(単行本:マガジンハウス1989.9.28)
    長編第五作にして、第二期岡崎の真のスタートを告げる記念碑的作品。「くちびるから散弾銃」の連載の中で培われたものがここで見事に開花。内容の詳細については「推薦作品」のページを参照のこと。(19990818新規追加)bbiw V


  83.   短編集「好き好き大嫌い」
    JICC出版局1989.7.10、宝島社再刊版2003.02.17

    【注】第一作品集からの流れを受け継ぐ最後の「叙情小品」集。この後「エンド・オブ・ザ・ワールド」まで5年間も本格的な短編集(連作短編集は除く)の刊行は途絶える。編集者増淵俊之氏の証言によれば、旧作から最新作まで入り混じっていて、作者の指示通りに並べ見ると巧妙な流れに落ち着いたので驚愕した由。 後に、氏は、雑誌「SWITCH」の岡崎京子特集(2000年1月号)を殆ど一人で執筆している。その特集号の表紙を飾ったのが、この短編集の表紙と同じ、胸ポケットに赤いバラを挿した女性の横顔。(19990818新規追加、改訂20000119・20010219・20210702)bbiw V
    1. 「プロローグのようなもの」
    2. 「コニーのお留守番」
    3. 「さらば愛しき人よ」
    4. 「エイリアン」
    5. 「老人少年」
    6. 「SIX SEX SIXTEEN」
    7. 「ドラドラ息子とエロエロ娘」
    8. 「終らない夏」
    9. 「ねぇ、宇宙って膨張するのかな」
    10. 「エピローグのようなもの」


  84. 「プロローグのようなもの」短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10のための描き下ろし
    サイバー千葉の海岸を何処までも走り続ける恋人達。作中にちりばめられた「サイバー千葉」とか「ドーパミン」という言葉の端々にサイバーパンクや脳内麻薬論の影響を臭わせている。時流に敏感な人だなと感心した覚えがある。力の限り何処までも走り続けるというのは、金田サカエ「くちびるから散弾銃」「東京ガールズブラボー」)や、短編「虹の彼方に」にも引き継がれる岡崎の重要なモチーフだ。(19990818新規追加)bbiw V

  85. 「エピローグのようなもの」短編集「好き好き大嫌い」JICC出版局1989.7.10のための描き下ろし
    延々と繰り返されるモノローグにも似た恋人たちの会話。愛の不毛。R・D・レイン「好き好き大好き」の焼き直し? 反論? 換骨奪胎?(20000119新規追加)bbiw V

  86. 「東京カジュアル物語、おしゃれ買物編」 初出:「anan」第689号(1989年9月1日号)(短編集「恋とはどういうものかしら? 新装版」マガジンハウス2015.08.27収録)
    るみこは友人のちかこに誘われて日曜日午前中の代官山でオトナのお買い物。大勢のボーイフレンドを従え貢がせているるみこでしたが、彼氏の誕生プレゼントに靴を買うちかこを見て、自分も本当に欲しいのは靴のサイズを知っている「特別な彼氏」なのだとこっそり思うのでした。(2021.07.01)

  87. 「HUMMING BIRD」 初出:S&Mスナイパー1989年10月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw V

  88. 「恋のワンダー・ウルトラ・スーパー・ガール」 初出:月刊カドカワ1989年12月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw V

  89. 「砂漠王子と砂漠王女」佳作 初出:月刊砂漠王1989年12月号(劇団「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」第7回公演「砂漠監視隊」パンフレット)(再録:「チャオ・アンファンテリブル」BNN1992.3.15初版、再再録「SWITCH」2000年1月号、短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    世界が滅んで、たった二人だけ残された子供たち、のび太としずかの永遠。初潮の来ていないしずかちゃんとまだ射精をしたことのないのび太くんがそのまま歳を取らない身となって、毎晩互いの身体を求めあうという設定が、もの悲しく、胸をえぐる。「決して射精しないペニス。決して孕まない子宮」の物語「リバーズ・エッジ」に至る道がこんなところで既に始まっていたとは…(1999.12.29新規追加、20000119改訂)bbiw Sbbiw V

  90. 「ショコラな気持ち」 初出:書き下ろし?(単行本:扶桑社1990.1.19)
    未読・未入手。作者自身「持ってる人は偉いけど、あたしだったら買わないぞ、立ち読みで済ますって(笑)。そういう本ですね。スマンみんな 」(自作解説)と言ってるくらいだからいいか、未読でも…。入手困難だと思われるので、鶴見済のことばを借りて、内容を紹介しておく。「CDサイズの本で、バレンタイン・デイにまつわる十ページの短編が三つ載っているが、どれも内容はお手軽で、最後の三分の一ほどはメモ用紙みたいになっているというデタラメさだ。多分バレンタイン・デイ向けの企画もの…」(クイック・ジャパンVol.12「岡崎京子全単行本レビュー」)鶴見曰く、こんな駄作を平気で描けるなんて…カッコいい!(20000119新規追加)bbiw V

  91. 「東京・ラヴァーズ(1) ジェラシーのスイッチ」 初出:anan1990年3月9日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    煮詰まった恋を抱えながら夜のオフィスで必要もない残業を一人続ける横山嬢。煮詰まった恋はわかしすぎたコーヒーの味がする。(2003.07.10追加)bbiw V

  92. 「東京・ラヴァーズ(2) グッバイ マイ マン」 初出:anan1990年3月16日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    学生時代から4年間つきあった彼にプロポーズされたのに、ベッドのそばに落ちていた見慣れぬピアスから醒めてゆく恋の魔法。(2003.07.10追加)bbiw V

  93. 「東京・ラヴァーズ(3) ブランニュー デイズ」 初出:anan1990年3月23日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    男に捨てられ、心機一転、引っ越しを決意する横山嬢。不動産屋の店先で偶然会った知り合いの中野君は、元々単なる仕事上の知り合いだったはずなのですが、やがて恋の予感が…。高校生のように胸をときめかす再生の感覚。(2003.07.10追加)bbiw V

  94. 「恋愛に限界はあるのか?」 初出:ヤングロゼ1990年6月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw V

  95. 「素敵な時間」 初出:WEEKLY漫画アクション増刊コミック麒麟様1990年6月21日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    毎週日曜日私達は3人でピクニックに出かける…「で、どうなの? あんたあの兄弟のどっちとデキてるワケ?」「別にどっちもデキてないわ」…けれど永遠に続くかのように思われた宙ぶらりんの「素敵な時間」にもやがて終わりはやってくる。国籍不明・年代不明・固有名詞無意味の抽象空間に繰り広げられる「儚い青春」もの。終盤、三人を陥れて破滅させた女が「神様」に電話をかけるシーンが秀逸。ホントにこのシーンは自分で思いついたのか、岡崎? これは欧米人の発想だよなぁ…パクりなんじゃないかなぁ、…仮にパクりだったにせよ、それを選んだ岡崎のセンスに拍手。(2003.5.25追加)bbiw V

  96. 「カトゥーンズ」注目作 初 出:「月刊カドカワ」1990.7~1992.6(単行本:角川書店1992.9.30)
    24編の連作短編。一つの作品のラストが次の作品の冒頭につながるという凝った構成と言い、凝りに凝った小粋な造本と言い、(珍しく!)丁寧に仕上げられた絵と言い、二年間という(この間に「ハッピィ・ハウス」と「東京ガールズ・ブラボー」という二大長編が描かれている!)長い連載期間と言い、作者の並々ならぬ意気込みが感じられる。隠れた傑作として押す声もある。しかし、数珠つながりの連作形式と個々の話の内容とが必ずしも馴染んでいるとは思えない。全話同じページ数というのにも無理がある。形式優先が足かせになってる。内容に応じて個々の話の長さを変えるとか、もう少し柔軟な描き方をした方が、もっといい結果が得られたんじゃないだろうか? 中には好きな話もあるんだけどなぁ…(20000119新規追加)bbiw V
    【お話】
    1. まりあちゃんの本
      叔母さんから貰った外国語の本の中の世界に入り込んでしまったマリアちゃんbbiw V
    2. 正太くんと「マンネンジジイ」bbiw V
    3. デート、デート、デートbbiw V
    4. エスケープbbiw V
    5. 小間使いの日記bbiw V
    6. ハイジャックbbiw V
    7. 平松さん家の話bbiw V
    8. セックス・マシーンばらをぬすむbbiw V
    9. ふとんランドのねたきり娘bbiw V
    10. カン太くんの恋人bbiw V
    11. 星の流れにbbiw V
    12. 下を向いて歩こうbbiw V
    13. 午前7時半の情景bbiw V
    14. さっちゃんの一日bbiw V
    15. 100度目のバイバイbbiw V
    16. 9月、毎日、永遠bbiw V
    17. シキューテキシュツ大作戦bbiw V
    18. あにいもうとbbiw V
    19. ぐるぐるまわってもとどおりbbiw V
    20. 踏切と愛の国のスパイbbiw V
    21. 「ごつごうしゅぎ」はいつもあこがれbbiw V
    22. Walk On The Wild Sidebbiw V
    23. フクザツはいやだbbiw V
    24. ハルミちゃんの本bbiw V

  97. 「ハッピイ・ハウス」名作 初出:「コミック・ギガ」1990.7.10~1991.4.9(単行本:主婦と生活社1992.1.15上下二分冊、新愛蔵版主婦と生活社2001.07.01上下合冊全1巻)
    長編第六作にして、岡崎が長編を書く技術を自らのものとした記念すべき作品。詳しくは「推薦作品」のページを参照のこと。(20000125新規追加)bbiw V

  98. 「いつか、あなたの椅子を買いに行こう」 初出:anan1990年8月24日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    つきあい始めて3週間目の彼を初めて部屋に呼んだのですが…ふと気がつけば椅子が一脚しか有りません!(2003.07.10追加)bbiw V

  99. 「恋人たちI」 初出:銀座三丁目から1990年9月創刊号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw Sbbiw V

  100. 「恋人たちII」 初出:銀座三丁目から1990年10月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw Sbbiw V

  101. 「初恋・地獄篇…またはヨーコと一郎」佳作 初出:週刊漫画アクション1990年10月16日号、再録「文藝別冊 岡崎京子」河出書房新社2002.03.31(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    小学5年生の時に、一つ年下の一郎君を見初めたヨーコちゃん。それから5年間、ひたむきに迫り続けましが、迫れば迫るほど、一郎君は逃げ腰になり、ついに同級生のみっちゃんと一線を越えてしまうのです。愛することは暴力であり、愛されることは恐怖でもあるという命題はやがて後の傑作「私は貴兄のオモチャなの」に見事に結実しますが、この作品はその予兆と言ってもいいでしょう。でも、ヨーコちゃんはまだ、後の星山星子ほどにはクールではありません。最後に、青空を眺めながら涙をこぼしてしまう…。それはそれでまたカーイイ。だって、まだ、十六才なんだし、ヨーコちゃん、君は十分に颯爽としていてカッコいいよ。それにしても、一郎君はバカだな。みっちゃんなんか、どこがいいんだろう?(20020612追加、20030525改訂)bbiw V

  102. 「我買うゆえに我有り」 初出:広告批評1990年11月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)
    しまった! ぼやぼやしてる間にbbiwからリンクを張られてしまった・・・。済みません。まだ出来てません。紹介はとりあえずこちらを。(2003.9.19臨時追加)bbiw V

  103. 「東京ガールズブラボー」名作 初出:「CUTIE」1990.12~1992.12(単行本:宝島社1993.1.20上巻、1993.2.10下巻)
    時期的に「ハッピィ・ハウス」の後半と重なるが長編第七作。もし仮にだが、岡崎が「リバーズ・エッジ」を書いていなかったとしたら、この作品が最高傑作となっていただろう、と私は思う。それほど好きだ。「リバーズ・エッジ」前における最良の岡崎がここにある。詳しくは「推薦作品」のページを参照のこと。(20000125新規追加、20000225改訂)bbiw V


  104. 「ねえ、女の子って何でできてるの?」 初出:広告批評1991年3月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    いわゆる一つの生理もの。例えば「カトゥーンズ」に入っていた「シキューテキシュツ大作戦」とか、「pink」の第16章「ブラッディ・ラヴァーズ」あたりのエピソードとかがそうだし、もっと昔の「EATING PLEASURE」も結局はそういう話なのではないかと思う。元祖は大島弓子の「赤すいか黄すいか」辺りだろうか? 揺れ動きながらも結局は「トイレに散る赤をみて、あたしは『ばらの花みたいできれいじゃん』と思った。そして野田山さんは決してそうは思わなかったんだなとか、ふと、思った」という微妙な色合いの「肯定」に落ち着いてゆく。この肯定の仕方をいかにも大島弓子的であると思うのは自分だけだろうか?(2003.07.14追加)bbiw V

  105. 「危険な二人」注目作 初出:「ヤングロゼ」1991.5~1992.5分載(単行本:角川書店1992.9.25)
    長編第八作にして意外と問題作? 「ね? 二人でママになろう。パパなんてドーだっていいじゃん」(129ページ)の台詞に、この作品の思想的バックボーンが要約されている。女性原理の貫徹を追求する彼女たちの姿から、男性原理の支配する産業社会に向けたさり気ない異議申し立が聞こえてくるような気がするのは、気のせい?
    【お話】横浜生まれの港野ヨーコちゃん(A型蠍座)は、おミズの母親から受け継いだ魔性のスケベ顔がたたったのか、幼い頃から放っておいても男が傍に寄ってくる。けれども同性からは「媚びてる」と総すかんを食って、女の子の友達は一人もいない。そんな自分がいやで入った女子大でしたが、そこでセーコちゃんに出会って人生が変わりました。陽性できっぱりしていてわがままいっぱいのセーコちゃんは何もかもヨーコちゃんと正反対。ルームメイトとなって始めた共同生活は何と楽しかったことか。夜の街に飛び出して二人で男を漁ったり、馬鹿な女子大生に化けてテレビの深夜番組に出演したり… ああ、セーコちゃん、あなたに逢えてあたしは解放されたのよ! しかし夢のように楽しかった生活も、セーコちゃんが理想の恋人「サリィ」に出会ったことから転機を迎えます。すてきな王子様だったはずのサリィの正体は、何と、高校一年生だったヨーコちゃんを孕ませて逃げたハマのスケコマシ、信夫君だったのです…(ヨーコちゃんの視点から物語を再構成)(20000131新規追加、20000225改訂)bbiw V

  106. 「東京は朝の7時」初出「朝日ジャーナル」1992.05.29、再録「文藝別冊 岡崎京子」河出書房新社2002.03.31(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    「朝日ジャーナル」がなくなったって東京にはいつもと同じように朝は来るんです…という、ただそれだけの「朝日ジャーナル」最終号に掲載された小品。(20020612追加)bbiw Sbbiw V

  107. 「愛の生活」注目作 初出:「ヤングロゼ」1992.7~1993.2分載(単行本:角川書店1993.7.16)
    長編第9作にして、これまた問題作。「…ベランダに出て空を見上げる…ただただあたし一人の視線が吸い込まれてゆく」という彼女の独白から始まって「僕達は鏡のようにじっとお互いを見つめあうような恋人達には決してならない(なれない)だろう…ただ 空を見上げ二人の視線が同じ星に吸い込まれればいいと思う」という彼の独白に終わる、美しい、シンメトリックな枠組みの中で、「愛の不可能」が静かに語られてゆく。
    【お話】栃木県小山市のD.ホックニーと言われた林家三太君は青雲の志を抱いて単身上京。けれども、籍を置いた先はデタラメなデザイン系の某学校で、OLと同棲。やがて彼女は男を作って出てゆく。一人残された三太君、マンションの家賃を支払えるはずもなく夜逃げ。行く当てもなく途方に暮れていると、同じクラスの桜田淳子が自分の部屋に来ないかと申し出てきました。兄貴と共同で借りてるマンションなんだけど、自分は男と暮らしていて使ってない、もったいないから使ってよ、と言うのです。三太君、狐につままれたような気分でしたが、背に腹は代えられず申し出を受諾。のこのことマンションまでついてゆくと桜田兄がひょっこりと現れて、なし崩し的に歓迎の酒盛りになりました… 何だか、変、この雰囲気… そのうち、三太君は気づき始めました… なんと、桜田淳子はお兄さんとデキている!(20000710追加)bbiw V

  108. 「エンド・オブ・ザ・ワールド」 初出「フィール増刊「世紀末ラブストーリーズ」1992年8月(短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994収録)
    両親を惨殺して逃げ出した義理の兄と妹。荒れ地の中、どこまでも続くハイウェイを「世界の果て」目指し、バクりにパクりを重ねて驀進するロード・ムービー調コミック。「コピれ。メモれ。MAKE MONEY!」(20000710追加)bbiw V

  109. 「イヤな女」 初出「anan」第837号(1992年9月4日号)(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2015.08.27新装版収録)
    イヤな女は気をつけろ!! 後で岡崎が聞き耳を立ててるぞ!! 4コマ漫画に仕立て上げられ曝されてしまうかも。(2021.07.01)

  110. 「恋とはどういうものかしら?」 初出:週刊女性増刊 YOUNG BLUE 1992年12月11日号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    コメント作成中(2003.5.25)bbiw V

  111. 「リバーズ・エッジ」名作 初出:「CUTIE」1993.3~1994.4(単行本:宝島社1994.6.20)
    今更何を言おう… 長編10作目にしてコミックのジャンルすら越える正真正銘の名品! 詳しくは推薦図書のコーナーを参照のこと。ついでに特集ページも読んでいただければありがたし!(20000710追加)bbiw V

  112. 「マジック・ポイント」 初出:「フィール・ヤング」1993.4~9(単行本:祥伝社1993.10.15)
    長編第11作。正直に言います。これは愚作です。「日本SF界の秘宝」大原まり子との夢のコラボレーションですが、ビッグ・ネームの組合せが必ずしもいい結果を生むとは言えない、一つの典型になってしまいました。残念です。
    【お話】美人の祖母と美人の母と美人の妹に囲まれてすっかり「もてないノイローゼ」にかかってしまった沢田ちえみ。いつものように絶望の発作に襲われて、オンボロアパートの一室でのたうち回っていると、突然、天井が破れて、オトコが降ってきました…(20000710追加)bbiw V

  113. 「恋人はあなただけ」 初出「ヤングロゼ」1993年5月号(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    スーパーアイドル吉沢ニコは、しがない貧乏新聞記者飯田洋一郎に、なんと一目惚れ。蜜のように甘いラブコメにキーワード「イッパツやる」を突っ込んで無造作にシェイクしたら、途端に疾走し始めたという怪作。(20000710追加)bbiw V

  114. 「ひまわり」佳作 初出「フィール増刊「世紀末ラブストーリーズ2」1993年8月(短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994収録)
    小粒ながらも切れ味の良い佳作。詳細は推薦作品コーナー参照。それにしても、岡崎、あんたは偉い!(20000710追加)bbiw V

  115. 「コレクター」 初出「ヤングロゼ」1993年9月号(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    3年ぶりに英国留学から戻った章子は、男連れで、しかも妊娠中。高校時代の親友カナが愕然として見守る前で、平凡な結婚の夢を語りはじめる。高校時代の夢と思い出を汚され激怒するカナは、親友を堕落させた犯人として、章子の婚約者を拉致・監禁する。(20000713追加)bbiw V

  116. 「それいゆ」佳作 初出「ヤングロゼ」1993年10月号(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    静かな語り口調と展開に大島弓子の影響が強く感じられる佳作。詳細は推薦作品コーナー参照。(20000713追加)bbiw V

  117. 「平成枯れススキ」 初出「ヤングロゼ」1993年11月号(単行本未収録)
    未読。短編集「ヘテロセクシャル」の「あとがき」で「JLGの『勝手にしやがれ!』と村上一夫氏の『同棲時代』を石ノ森章太郎氏のコマ割りでリミックスさせたという何だかわかんない超問題作」「もう、決して世に出ることのないすみれのようにかそけき超水子作品」と言及された幻の短編。永らく謎に包まれていたその全貌が「名無し」さんのおかげでついに白日の下に! …しかし、お蔵入りにはこんな事情があったとは…面白い、面白すぎる。京子ちゃん、素敵! …以下、「名無し」さんによる内容紹介(抜粋)です。(全文は掲示板過去ログにあります。)
    「…僕の個人的な印象と断ったうえで、ゴダールの『勝手にしやがれ』そのまんまだな、と思います。(これは批判ではありません、念のため) くわえタバコにサングラスの主人公はミシェル・ポワカール(ベルモンド)、恋人はパトリシア(ジーン・セバーグ)で映画と同じシーンがたくさん出てきます。…主人公二人の名-今日子と次郎-が上村一夫氏の『同棲時代』から引用…この同棲時代の著作権関係でトラブッたようです。…その後のヤングロゼ誌に上村一夫氏に対する謝罪が載りました。(岡崎さんの謝罪ではなく、編集部の謝罪だった。記憶に頼って書いているので間違っている部分があるかもしれません)。…岡崎さんが『平成枯れススキ』が水子のなるにあたって、遭遇した困難を思うと悲しい心持ちです。今更、蒸し返すように書くべきではなかったかな。いつの日か将来、他の未公刊のマンガと合わせて、ぜひとも出版して欲しいと1ファンとして切望します。」(20011213追加)
    より具体的なあらすじ紹介はイケダさんのところbbiw Sをご参照下さい。(20031001臨時追加)bbiw V

  118. 「VAMPS」 初出「フィールヤング」1993年12月号(「シークレットB」改題)(短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994収録)
    祖父から受け継いだオンボロ屋敷の広さをもてあまし、間貸しに出してみたら、借り手として現れたのは吸血鬼の母娘たちだった…。萩尾望都「ポーの一族」へのオマージュ。作者自ら「ユルイでき」と嘆くが、まぁ、そんなこともあるさ。(20000713追加)bbiw V

  119. 「オザケン大好き。」 初出「月刊カドカワ」1993年12月号(短編集「恋とはどういうものかしら? 新装版」マガジンハウス2015.08.27収録)
    1993年10月7日雨の木曜日、渋谷公会堂で開催されたオザケンライブ拝観記。ロックなオザケンに戸惑うオリーブ少女達。「でも どーしてもう ダバダバ してくんないの?」 …ホントウに好きなんだな、小沢健二。(2021.07.01追加)

  120. 「ドはドーナツのド-または山田くんと鈴木くん」書き下ろし(中短編集「TAKE IT EASY」スコラ1994年版にのみ収録)
    ごく短い埋め草的フラグメント。山田くんと鈴木くんが何だかブツブツ言ってます。よく分からない。(20000713追加)bbiw V

  121. 「中華刑事・周 夜霧よ今夜もありがとう」 初出:asayan1994年2月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    料理人周富徳を主人公に据えたハードボイルドな一編。またもやbbiwからリンクを張られてしまったので昔書いた感想に臨時にリンクを張っておきます。イケダさん、ごめんなさい。(20031020臨時追加)bbiw Sbbiw V

  122. 「水の中の小さな太陽」注目作 初出「フィールヤング」1994年2月号(短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994収録)
    高校生のミーナとユーヤは美女と美男の優等生カップル。その嫌味なほどの完璧ぶりはときに周囲の反感をかうほどでしたが…みんなは知らなかったのです。ミーナがテレクラで知り合った厭らしいオヤジと会瀬を重ねSMプレーにふけっていることを。怪しげなクスリの売買に手を出して小遣い稼ぎをしていることを。或いはユーヤと一緒に美人の堂本先生を3Pに誘い、そのときの写真をネタに執拗な脅迫を続けていることを。…そんなミーナも家に帰ると、何故か、妙におどおどした地味目の女の子に変身してしまいます。「…お母さん、どうして何もきかないの!! どうして何年も同じパジャマ着てんの? カルチャーセンターや友達とランチ食べに行くときには高い(でもへんな)服着てくのに… お父さん、どうしてこの家にはへんな出窓があるの? ヨーロッパの家でもないのに…」 取り繕われた「日常」に対する「憎悪」に駆り立てられ「暴走」を続けるミーナでしたが、そんなとき、彼女の脳裏に決まって蘇る一つの光景があります。それは、幼い頃、溺れかけながら海の底から見上げた「水の中の小さな太陽」でした…
    「あとがき」で作者自身が語るように、少ない枚数にあまりにも多くの材料を詰め込み過ぎたかもしれない。或いはその「材料」そのものがあまりにも「観念的な作り物」であったかもしれない。しかし、その「勇猛果敢さ」において強い印象を残す「誇るべき失敗作」。(20010207追加)bbiw V

  123. 「乙女ちゃん」佳作 初出「フィールヤング」1994年3月号(短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994収録)
    市役所に勤めて仕事一筋で通した無口で頑固なお父さんは定年退職後、何とスカートをはき始めました… 主演(長女役):原節子、弟役:かまやつひろし、監督:小津安二郎(「晩春」「東京物語」)で贈る、抱腹絶倒にして味わい深い逸品!(20010207追加)bbiw V

  124. 「虹の彼方に」佳作 初出「フィールヤング」1994年4月号(短編集「私は貴兄のオモチャなの」祥伝社1995収録)
    ああ、もう何が何だか分からない、ぐちゃぐちゃな人間関係。(注意:以下「」内の説明は、内容を理解しようとせず、とにかく一気に読むこと)「谷君がこっそり私のことを好きだったとき、あたしはマエダ君が実は好きで、マエダ君はみかちゃんに夢中。それから谷君が由紀ちゃんとつき合って、みかちゃんはシンちゃんに夢中になって、捨てられたマエダ君とあたしはつき合った。由紀ちゃんは谷君とつき合ってたけどシュンジ氏にのりかえた。谷君を由紀ちゃんが捨てたとき、谷君は荒れて、ついあたしとまでHしちゃった。シュンジ氏はフタマタしつつ結局他の女と結婚して、また由紀ちゃんは元の谷君のとこにもどった。やがてマエダ君は、やっぱりみかちゃんが忘れられない、と言い残してあたしの元を去りNY赴任してった。谷君とあたしは、由紀ちゃんの目を盗みながら、たらたらと関係を続け、由紀ちゃんはシュンジ氏からクラミジアをうつしたかもしれないと電話で告げられ、シンちゃんに捨てられたみかちゃんが駆け込んできて、由紀ちゃんは手首を切るとわめきだし…」…結局、男に捨てられひとりぼっちになってしまったみかちゃんとあたしは、手に手を取り合って、夜明けの街を、どこまでもどこまでも、走り続けてゆくのだ…「虹の彼方」目指して…ああ、もう、走れ!走れ! 何だかわかんないけど、とにかく走れ!(20010208追加)bbiw V

  125. 「ヒトメボレには気をつけろ!!」 初出「anan」第922号(1994年5月27日号)(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2015新装版収録)
    ヒトメボレに関する連作四コママンガ4編。
    その1 ヒトメボレしたと言って猛烈に迫ってくる男には気をつけろ!! ほだされたあなたがその気になった頃にはもう次の彼女にヒトメボレ中。
    その2 ヒトメボレには気をつけろ!! 結局全然合わないタイプだったりする。
    その3 ハンサム(死語)で仕事が出来てベッドの相性もバッチリでキスが上手でも飯を物凄く不味そうに食べる男はNG。
    その4 駄目男に「少年の心」を見つけたらそれはあなたの危険サイン。ヒトメボレには気をつけろ!!(2021.07.01追加)

  126. 「うまくいってる?」 初出「ヤングロゼ」1994年5月号(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    二年間の努力が報われ、ついに彼氏に結婚を申し込まれたハルエさんでしたが、その夜、幸福感に酔いながらアパートに帰り着いてみると、待ち受けていたのは両親の離婚通知でした。実現一歩手前の「幸福な結婚」が「キズモノ」にされてしまう! あわてて駆け回り始めたのだけども…
    ううん、こういうタイプの女はどうも好かん!(20010208追加)bbiw V

  127. 「GIRL OF THE YEAR」 初出「ヤングロゼ」1994年6月号(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    ボルネオ帰りの帰国子女山田律子さん(17歳、くわえタバコ、好物は焼きそばパン)は女子校の宝塚的人気者。同じ学校の女生徒に絡んでいた近所の高偏差値学園の不良をかーるくノシてやったら、たちまち人気沸騰…。「オカザキ風味」の「学園コメディー」。ナイスです。(20010208追加、20010822訂正)bbiw V

  128. 「チワワちゃん」名作 初出「ヤングロゼ」1994年7月号(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    岡崎の数ある短編作品の中でも最高傑作の座を要求できるかもしれないほどの名品。詳しくは「推薦作品のコーナー」を参照のこと。万が一未読の人がいたら絶対に今すぐ読むべし。ああ、それにしても、何て感動的なラストだ…!(20010208追加)bbiw V

  129. 「私は貴兄のオモチャなの」傑作初出「フィールヤング」1994年8月号(短編集「私は貴兄のオモチャなの」祥伝社1995収録)
    星山星子21歳、美大生、うお座、B型。2年前、空知君に猛烈アタックするも玉砕。そして今、つき合ってた女と別れたと聞いて再度アタックするも、またもや玉砕。ついに星子は空知君の「犬」となることを決意する。…ううん…このようなクールな大傑作をどう紹介したらいいのか…。とにかくクール! 星山星子、最高!(20010208追加、改訂20010212)bbiw V

  130. 「冷蔵庫女」初出「CUTIE」1994年8月号、再録「CUTiE comics」2000年3月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    フリーターのサカタ君、憧れのツードア冷蔵庫をゴミ捨て場で拾ったところ、中から「アタシ、死に神なんです」と称するカーイイ女の子が転がり出てきました。いくらカーイクても、こんなキ○ガイ女はまっぴらごめんと、追い出そうとしたものの、超絶的な舌技とフィンガーテクニックの前にあえなく降参。そのままずるずる居着かれてしまい…(20010209追加)bbiw Sbbiw V

  131. 「夏の思い出」 初出「ヤングロゼ」1994年8月号(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    「危険なふたり」のセーコとヨーコによる番外編。ハワイのコンドミニアムで十日間面白可笑しく遊び暮らして帰ってきたら電気もガスも電話も止められていました。自棄を起こして焼き肉屋で食い逃げし、逃げ込んだトラックの荷台でぐっすり眠り込む内に着いたところが、目の前いっぱいに大海原が広がる海水浴場(…この投げやりでいいかげんな展開がステキだと思えればあなたは立派な岡崎ファン?…)。ふたりはそのまま「海の家」に居着いてバイトを始めたのですが…(20010209追加、改訂20010212)bbiw V


  132.   短編集「エンド・オブ・ザ・ワールド」祥伝社1994.7.15
    【注】「好き好き大嫌い」以来実に5年ぶりの短編集。事実、89年から93年にかけての期間は長編を専らとして、連作ものを除けば、ほとんど短編を描いていない。93年の中頃から再び短編の執筆が盛んになり始めるのだが、既に作風は初期の叙情小品から大きく隔たったものへと変貌を遂げている。bbiw V
    1. 「エンド・オブ・ザ・ワールド」
    2. 「VAMPS」
    3. 「ひまわり」
    4. 「水の中の小さな太陽」
    5. 「乙女ちゃん」


  133. 「みりん星人大襲撃」 初出「CUTIE」1994年9月号、再録「CUTIE COMIC」2000年2月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    大人になったのび太としずかはオンボロアパートで甘い甘い同棲生活を送っていましたが、ある晩、天井を突き破って空飛ぶ円盤が落ちてきました。中から出てきたのはみりん星の国王ご一家。なんとお姫様がのび太くんに一目惚れしてしまったことから話はややこしくなり始め…(20000116追加)bbiw Sbbiw V

  134. 「DONADONA」 初出「CUTIE」1994年10月号、再録「CUTIE COMIC」2000年4月号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    謎の黒服たちに追われて助けを求めてきた見かけは小学生の女の子。よく見たら超有名な占い師美空小乙姫じゃありませんか? しかも本当の年齢は24歳だというのです!…(20010209追加)bbiw Sbbiw V


  135. 「好き?好き? 大好き?」 初出「ヤングロゼ」1994年10月号増刊(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    例によって例の如く「好き?好き?大好き?」の主題による変奏曲。ベッドの上で戯れる恋人たちの間で空転するダイアローグ。「愛」の不毛? 不可能?(20010209追加)bbiw V

  136. 「万事快調」 初出「ヤングロゼ」1994年12月号~1995年2月号(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    母は8年前、若い男と家を出ていった。父は4年前、癌で死んだ。残された三人の姉弟たちが寄り添いながら暮らす寺内家を舞台に繰り広げられる「オカザキ風ホームドラマ」。見合いの相手と結婚を前提と「しない」関係を続ける長女のゆきこ(第一話。例によって小津安二郎「晩春」「東京物語」bbiw V)。合コンで知り合った素人童貞リーマンにストーキングされる次女のみちこ(第二話bbiw V)。突如として大麻を求めて山に分け入る末っ子のたかし(第三話。大友克洋「大麻境」bbiw V) ありふれた「内容」を描く岡崎の手つきは妙に「前衛」的。(20010212追加)

  137. 「うたかたの日々」注目作 初出「CUTIE」1994年12月号~1995年11月号(単行本:宝島社2003.05.02)
    未読。1940年代から50年代にかけてフランスで活躍した作家ボリス・ヴィアンのシュールにして悲痛な青春小説に基づく第12作目の長編コミック。なかなかの出来映えだったとの声あり。刊行を求む! 詳しくは occhie さんの特集ページをご覧ください。(20010110追加、改訂20010212)
    その後、縁あってコピーを読む機会を得たので、紹介文を追加しておきます。岡崎のセンスが見事に原作の味わいを生かしています。出版されれば「大好きだ」という人がたくさん出てくることになるだろうと思います。でも、個人的な好みの問題としては「よい作品だと思うが、乗れない…」という感じかな… なにぶんにも、暗い… 出色の出来であることは間違いないけど、皆さん、読み終わった後、どぉっと落ち込みますよ。覚悟しておくように…
    【お話】働く必要もないほど裕福で、たいていの時は機嫌良く、それ以外の時は眠っているような美青年コランは美少女クロエと出会って結婚した。いよいよ幸福の絶頂が訪れるかに見えたそのとき、世界は、少しずつ、しかし着実に、暗転しはじめる。結婚式の翌朝、廊下に差し込む太陽の光に翳りがさしたのは何故なのだろう? やがてクロエは肺の中に睡蓮が寄生する奇病に罹患する。治療のためにたちまち財産を使い果たし、呆然とするコラン。しかしそれでも尚クロエを救おうと必死に働きはじめるのだが、病魔は弛むことなくクロエを冒してゆく。それとともに、あれほど輝かしく完璧な幸福に満ちあふれていたはずの世界は、色褪せ、おぞましい悪夢へと変貌しはじめる… 予め崩壊を運命づけられた甘美な青春の物語? 読み進める内に、それを、バブル破裂後の先が見えない停滞の中で悶え続ける日本の姿と思わずダブらせてしまう私は考えすぎ? 「失われた十年」と呼ばれる九十年代が、いよいよその素顔を我々に見せ始めたあの時期に、こんな作品を描きはじめた岡崎の感覚は尋常ではない。(2003.04.02追加)bbiw V

  138. 「でっかい恋のメロディ」傑作 初出「フィールヤング」1995年2月号(短編集「私は貴兄のオモチャなの」祥伝社1995収録)
    異様に冴えきったギャグの連発に抱腹絶倒。詳しくは「推薦作品のコーナー」をご参照ください。(20010212追加)bbiw V

  139. 「3つ数えろ」注目作 初出「フィールヤング」1995年4月号(短編集「私は貴兄のオモチャなの」祥伝社1995収録)
    超売れっ子モデルの永田洋子と平凡なサラリーマン塩月弘は運命的な出会いを果たし、瞬く間にゴールイン…周囲を唖然とさせましたが実は「秘密」がありました。ふたりは「変質者」だったのです…それもハンパでない…。ラブリーでスイートな新婚生活が始まりました… 限りなくブラックな怪作。大島弓子の引用にのけぞる。(20010213追加)bbiw V

  140. 「チョコレートマーブルちゃん」注目作 初出「ヤングロゼ」1995年5月号(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    鈴木祐子と田中優子、男の部屋で鉢合わせして睨み合っていると、若作りしたババァな女が現れて、子供に手ぇ出しちゃイケナイでしょ、と男をたしなめ、有無を言わさずふたりを追い出しました。「結局薬局喰われただけ」のふたりですが、何だか気があってしまったらしく、一緒に街の中を彷徨い始めるのです… これも大島弓子の引用が効いてる…(20010213追加)bbiw V

  141. 「お散歩」 初出「ヤングロゼ」1995年7月号(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    隣のりょうこ姉さんが男と駆け落ちしたのは17歳の時のこと。当時みちこさんはまだ9歳、お花屋さんか植物学者を夢見る小さな女の子でした… きれいにまとまった小品です。これも大島弓子!(20010213追加)bbiw V

  142. 「ヘルタースケルター」傑作 初出「フィールヤング」1995年7月号~1996年4月号、再掲載「フィールヤング」2002年8月号~2003年4月号(単行本:祥伝社2003.04.08)
    現在のところ未完の第13作目の長編作品。第2部まで連載を終えたところで中断。これを読むことなくして岡崎を語る事なかれ…、というほどの問題作であるらしいのだが、未読。クイック・ジャパン編集部の大塚幸代氏のことばを借りて、内容を紹介しておく。「…りりこはデブでブスな田舎娘。憧れの東京に出て、デブ専バーで働いていたところを、素晴らしい骨格をかわれて芸能事務所の女社長にスカウトされる。全身整形、そしてダイエット。彼女は別人の美女になり、トップ・スターになる…りりこは完全に世界に絶望しています。そして彼女は破綻します…こんな怪作を描いたままでは、岡崎センセ、それはヤリ逃げです…」(クイック・ジャパンVol.12「岡崎京子全単行本レビュー」)…何だか凄そうな話ですね。読みたい…(20010213追加)
    より詳しい解説(ネタばれ有り)は「TINAMIX」の紹介ページをどうぞ。(20010927追加)
    2001年6月某日、国会図書館に足を運んで読了…。「傑作」だとは思いました。入手困難であるが故に「神格化」されたきらいはあるにしても、やっぱり…。岡崎京子の「欲望」を巡る旅は「カワイイモノ」から始まり、「市場経済」を経由して、ついに「テクノロジー」に辿りついたのだなと思った。それも、人間が自然を征服するための道具としての古典的な意味でのテクノロジーではなく、人間が自分自身を自ら変える手段としての優れて「現代的な意味でのテクノロジー」に…(20010927追加、2003.04.02改訂)
    【お話】メディアを席巻して今やトップの座に躍り出ようとしているスーパーモデルりりこは実は全身整形の人造美女。もとはと言えば体重87キロのデブ・ブス女。騙されてデブ専売春クラブで働いているところをやり手の女社長に拾われたのだ。しかし全身整形のツケは重い。副作用の強い劇薬を常用した上で定期的に悶絶するほど激しい苦痛の伴うメンテナンスを受けなくてはならない。それでもりりこの身体は(そして精神も)徐々に崩壊してゆく。先の長くないことを悟った女社長は有望な新人モデル吉川こずえ@「リバーズ・エッジ」を事務所に迎え入れる。一方、美容クリニックによる臓器の不法取引事件(何とりりこの肉体は胎児の死体の臓器から抽出した成分によって維持されていたのであります)を追う麻田検事も徐々にその包囲網を狭め、りりこに迫りはじめる。追いつめられるりりこ。破局はもはや時間の問題。しかしやけくそになったりりこの暴走は止まらない。「アッハハハァの大笑い!! んなことさせるかバーロー。あたしは絶対しあわせになってやる。じゃなかったらみんな一蓮托生で地獄行きよ。ちくしょう。さもなくば犬のようにくたばってやる」りりこは欲望のモンスターなのか、はたまた我らの時代の英雄なのか?(私は英雄だと思う、絶対。)クイック・ジャパン編集部の大塚幸代氏のことばを再度引用すれば、「…りりこは完全に世界に絶望しています。そして彼女は破綻します…こんな怪作を描いたままでは、岡崎センセ、それはヤリ逃げです…」(クイック・ジャパンVol.12「岡崎京子全単行本レビュー」)…登場人物の名前が途中で変わったりと、つじつまの合わないところが多々見受けられるが、これはこれで、とりあえずの出版を強く希望。こんな作品を眠らせておくなんて、犯罪だ!…と書いたせいではないと思いますが、2003年4月、初の単行本が出版されることになりました。ありがとう、祥伝社!(&多分、シュークリーム!)(2003.04.02追加)bbiw Sbbiw V


  143. 「にちようび」 初出:ビッグコミック1995年8月増刊号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    終戦五十周年記念増刊号の中でもひときわ異彩を放ったという異色作。ある日曜日、ドライブに出かけた「すてきな」カップルの「すてきな」一日。二人の倦怠感漂う会話と硬質で乾いたナレーションが交錯するうちに、ちらちらと見え隠れしてくる「取り繕われた平和」の「舞台裏」…彼の走らす「すてきな」車を作った会社は、同時に、遠い海の向こうの戦争で肥え太る軍需産業でもある。彼が彼女に贈った「すてきな」金のピアスは第三世界の労働搾取の賜物。彼らが木陰で食べる「すてきな」ランチを提供したファスト・フード産業も第三世界の環境破壊の上に成り立つ。満腹した後での生殖を目的としない「エレガント」な性行為。営みはだらだらと夕刻まで続く。不必要な精液はコンドームの中に閉じこめられてゴミ箱に廃棄される。目的地の海に着いたのはもう夜。天候が急変して真っ黒な空から雨の降り注いでくる海岸にたたずんだ二人は、何となく戯れに、戦争になったらどうしようと話し始める。二重スパイになって逃げて逃げて逃げまくると答える彼。とりあえず勝ちそうな方についてパンパンにでもなると答える彼女。二人は互いを軽く軽蔑しあい、そしてもっと好きになる。つまり、哀れで分別のある同志であることを確認しあったのだ…(2003.5.25追加)bbiw V

  144.   短編集「私は貴兄のオモチャなの」祥伝社1995.9.25
    【注】粒ぞろいの傑作短編集。平均点ではこれが短編集のナンバー・ワンではないかと思う。特に表題作「わたしは貴兄のオモチャなの」と「でっかい恋のメロディ」は凄い…bbiw V
    1. 「でっかい恋のメロディ」
    2. 「虹の彼方に」
    3. 「私は貴兄のオモチャなの」
    4. 「3つ数えろ」


  145. 「ロシアの山」注目作 初出「コミック95」秋号 1995年11月15日発売(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    「ヘルタースケルター」連載中に並行して発表された短編。「安藤ヤスヒサと八橋久美子は同じ団地に住んでいる。彼は12階に。彼女は14階に。そして2人が出逢ったのは2ヶ月前で、それまではお互いに知らなかった。いつ出逢っても不思議はなかったのだが…」アヴァンギャルドな手法で語られる「初体験モノ」。同じ主題の初期作品「CURRY RICE」と比較するのも一興。語り口は変わっても、岡崎の視線はいつも醒めてる。ここでも大島弓子の引用が効果的。(20010214追加)bbiw V

  146. 「恋愛依存症 KARTE.1」 初出「ヤングロゼ」1995年11月号(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    同じく「ヘルタースケルター」連載と並行して発表された3つの連作短編の1。結婚を申し込まれた夜、帰りのバスの中で「つまんない、つまんない」と一人泣き崩れる鈴木洋子28歳。(20010214追加)bbiw V

  147. 「恋愛依存症 KARTE.2」 初出「ヤングロゼ」1995年12月号(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    「ヘルタースケルター」連載と並行して発表された3つの連作短編の2。男にふられた面当てに手首を切ったようこさん、たちまち幽体離脱してあちらにふらり、こちらにふらり… モロに大島弓子の「四月怪談」。(20010214追加)bbiw V

  148. 「恋愛依存症 KARTE.3」 初出「ヤングロゼ」1996年1月号(短編集「UNTITLED」角川書店1998収録)
    「ヘルタースケルター」連載と並行して発表された3つの連作短編の3。姉の結婚をしあさってに控え荒れ狂う超シス・コンのヨシオ君。見ず知らずの女性に行き当たりばったりに声をかけ「一緒に死のう」と迫るのですが…(20010214追加)bbiw V

  149. 「あなた」 1995.12.16描き下ろし(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    短編集「ヘテロセクシャル」の各編の間に挟み込まれた一人称の短文(一種の「掌編小説」?)の1。部屋の中で一人、「不在の恋人」について想いを巡らせる「わたし」。(20010214追加)

  150. 「わたしたち」 1995.12.16描き下ろし(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    短編集「ヘテロセクシャル」の各編の間に挟み込まれた一人称の短文(一種の「掌編小説」?)の2。男2人女4人の酔っぱらいたちがタクシーの中でギュウギュウ詰めになって繰り広げる上を下への大騒動。(20010214追加)

  151. 「彼女」 1995.12.16書き下ろし(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    短編集「ヘテロセクシャル」の各編の間に挟み込まれた短文(一種の「掌編小説」?)の3。これだけ三人称。「ボヴァリー夫人」の一節と女性の職業に関する「アフォリズム」?(20010214追加)

  152. 「わたしたち2」 1995.12.16描き下ろし(短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995収録)
    短編集「ヘテロセクシャル」の各編の間に挟み込まれた一人称の短文(一種の「掌編小説」?)の4。深夜のワンルームマンションの一室でふたりの女が迎える気怠い時間。部屋の中に立ちこめた女の体臭だかフェルモンだかで息が詰まりそうな感じ。(20010214追加)

    椹木野衣によれば、岡崎は、1995年1月から翌年3月にかけて筑摩書房のPR誌「ちくま」に「エッセイとも創作ともつかない文章」を連載していた(「平坦な戦場でぼくらが生き延びること」2000.12.15筑摩書房)という。「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)に会わなければ「小説家」岡崎京子が誕生していたかもしれない。(20010214追加)

  153.   短編集「ヘテロセクシャル」角川書店1995.12.16
    【注】「あとがき」で本人が認めているように作風の「端境期」に描かれたものを中心に集めただけに、やや不調か?bbiw V
    1. 「うまくいってる?」
    2. 「あなた」
    3. 「それいゆ」
    4. 「わたしたち」
    5. 「恋人はあなただけ」
    6. 「彼女」
    7. 「コレクター」
    8. 「わたしたち2」

  154. 「Blue Blue Blue」 初出「anan」No.1001号(1995年12月29日/1996年1月5日合併号)短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    未読。ただしゆきぽんさんの紹介によれば、「結婚して数年の女性と学生の男の子が出会い、恋におちて街を出ていこうとするのだけれど結局は元さやにおさまるという感じです。筋だけ書くとなんだか俗っぽいですが非常に良い作品でした。」とのこと。(20010110追加)
    3年目にして早くも行き詰まった結婚生活。広い部屋。まだ若くてきれいな自分。週に一度の水泳と月に一度のエステ。何一つ不満のない生活であるはずなのに、仕事にのめり込んでゆく切れ者の夫に取り残されたように感じる彼女。胸の内には空虚さが広がってゆく。そんなときふとしたはずみで年下の学生と知り合って迷い込む袋小路…あまりにもありふれた設定の「よろめきドラマ」も、この時期の岡崎の手にかかると、異様な迫力で読む者に迫ってくる。冴える技巧。研ぎすまされた感覚。「恋」は「嗅覚」から始まる。「匂いはいつもあやうい。ことばではない何か。何かが反応してしまう。匂い。夏の。夜の。アスファルトの。あなたの。匂い。」ますます奔放に躍動しはじめる岡崎の「ことば」。(2003.5.25追加)bbiw V


  155. 「森」 初出「フィール・ヤング」1996年6月号(単行本未収録)
    未読。三回連続掲載の予定だったが、「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)のため掲載第1回で中断とのこと。(20010213追加)bbiw Sbbiw V


  156. 「ピンク・ガールズ・ブルース」 初出マガジン・ハウス社月刊「pink」1996年6月創刊号(短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22収録)
    ピンクの憂鬱。「ときにはピンクな女の子もブルーになる」色鉛筆でノートの片隅に描かれたような小さなポエジー。(2003.07.10追加)bbiw V


  157. 「LOVE, PEACE & MIRACLE」 初出1996.7.1描き下ろし(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    短編集のプロローグとして書き下ろされた絵本風のラフなスケッチ6枚。(20010213追加)

  158. 「空を見あげる―あとがきにかえて―」 初出1996.7.1描き下ろし(短編集「チワワちゃん」角川書店1996収録)
    実質的に「あとがき」。徹夜明けに近所で一番高いマンションに登って東京の夜明けを迎えた思い出をつづった短文。「夜明け」というものは岡崎にとって何か特別の意味を持ったものだったらしい。…彼女は書いている。
    「この短編集を編んでみて、読みなおしたり描きなおしたりしながら、あらためておもったことには、人はいろいろなことがコワいんだな、ということです。(人によってその種類や質はちがいますが)。そしてわたしは、自分がいろんなことがコワくなくなるように、これらのマンガを描いていたような気がします…(1996年3月31日日曜日)」
    …そして自分もいろいろなことがコワくて、それに立ち向かう勇気を奮い起こすために、岡崎を読むのだろう…。おそらくその通りなのだ。 (20010213追加)


  159.   短編集「チワワちゃん」角川書店1996.7.1
    【注】「わたしは貴兄のオモチャなの」に匹敵する高レベル短編集。全短編中の最高傑作とも言うべき表題作「チワワちゃん」はもちろん「GIRL OF THE YEAR」や「チョコレートマーブルちゃん」も捨てがたい。bbiw V
    1. 「LOVE, PEACE & MIRACLE」
    2. 「夏の思い出」
    3. 「チョコレートマーブルちゃん」
    4. 「GIRL OF THE YEAR」
    5. 「チワワちゃん」
    6. 「空を見あげる―あとがきにかえて―」
    7. 「好き?好き? 大好き?」

  160. 「くちびるから散弾銃’96」 初出1996.7.23描き下ろし(「くちびるから散弾銃」講談社1996.7.23合冊完本収録)

  161. 合冊本のために新たに書き下ろされた「最終話」。詳しくは「推薦作品コーナー」の「合冊本に関する覚え書き」参照のこと。現時点では完結したものとしてこれが「最新作」かもしれません…但し、あくまでも現時点では…(20010213追加)bbiw V

      短編集「UNTITLED」角川書店1998.5.15
    【注】「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)から2年後、作者が「関与」できない状況の下で出版された「未定稿」に基づく作品集。岡崎は雑誌掲載作を単行本としてまとめる際に大きく手を入れることが多いのだが、その意味で、これらの作品はすべて「未完成」であることに留意すべき。bbiw V
    1. 「万事快調」
    2. 「恋愛依存症」
    3. 「ロシアの山」
    4. 「お散歩」

      短編集「恋とはどういうものかしら?」マガジンハウス2003.5.22・新装版2015.08.27
    【注】「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)から7年後、単行本未収録だった旧作を集めて編まれた短編集。短編集としては5年ぶり。見逃せない佳作がきちんと収録されている上に、全体を通読すると「巧妙な流れ」(©増淵俊之)を感じさせるという意味で、単なる寄せ集めではない。その編集姿勢の中に岡崎作品への理解と愛情が感じられるような気がするのは、筆者(tach)の「思いこみ」だろうか? これから岡崎を読もうという人がまず手に取るべき本とは言えないかもしれないが、少なくとも既に岡崎ファンで、新しい本が出ることを心待ちにしていた人たちにとっては、思いがけない贈り物。(2003.5.25追記)bbiw V
    【追記】初版発行から12年後の2015年8月27日、何と新装版が出ました。しかも収録作品増のおまけ付きで。皆から長く愛される本です!(2021.07.01)
    1. 「SLEEPLESS DOG NIGHT」
    2. 「スペシャル四コマ ヒトメボレには気をつけろ!!(1)」新装版で追加
    3. 「東京・ラヴァーズ(1) ジェラシーのスイッチ」
    4. 「東京・ラヴァーズ(2) グッバイ マイ マン」
    5. 「東京・ラヴァーズ(3) ブランニュー デイズ」
    6. 「ピンク・ガールズ・ブルース」
    7. 「いつか、あなたの椅子を買いに行こう」
    8. 「東京は朝の7時」
    9. 「スペシャル四コマ ヒトメボレには気をつけろ!!(2)」新装版で追加
    10. 「ねえ、女の子って何でできてるの?」
    11. 「恋愛に限界はあるのか?」
    12. 「素敵な時間」
    13. 「スペシャル四コマ ヒトメボレには気をつけろ!!(3)」新装版で追加
    14. 「恋のワンダー・ウルトラ・スーパー・ガール」
    15. 「スペシャル四コマ ヒトメボレには気をつけろ!!(4)」新装版で追加
    16. 「砂漠王子と砂漠女王」
    17. 「我買うゆえに我有り」
    18. 「HUMMING BIRD」
    19. 「初恋・地獄篇…またはヨーコと一郎」
    20. 「恋人たちI」
    21. 「スペシャル四コマ イヤな女」新装版で追加
    22. 「恋人たちII」
    23. 「恋とはどういうものかしら?」
    24. 「Blue Blue Blue」
    25. 「冷蔵庫女」
    26. 「みりん星人大襲撃」
    27. 「DONADONA」
    28. 「にちようび」
    29. 「オザケン大好き。」新装版で追加
    30. 「東京カジュアル物語、おしゃれ買物編」新装版で追加
    31. 「中華刑事・周 夜霧よ今夜もありがとう」2003.08.22版のみ
    32. 「中華刑事・周 夜霧よ今夜もありがとう 完全版」新装版で差替



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