特別プロジェクト岡崎京子 |
||
岡崎京子の作品の内、原則として単行本未収録の作品を除く(一部含む)全作品のレビュー。 リストアップは、単行本の発行順ではなく、出来る限り個々の作品の発表順に行いました。 誤り等、お気づきの点がありましたら、メールか掲示板で、ご指摘いただければ幸いです。
(1999.06.11プロジェクト開始)
(2001.02.14プロジェクト完了) |
||
presented by tach |
名作 | 必読の名作!(だと思う) |
傑作 | 個人的趣味を越えて素晴らしい作品。誰が読んでも面白い!(はずだと思う) |
佳作 | 個人的には傑作だと思うが、万人向けではないかもしれない。 |
好 | そう出来のいい作品ではないかもしれないが、個人的に何となく好き。 |
注目作 | そう好きでもないけど、まぁ注目しておくべき作品かな? |
【注】記念すべき第一作品集。
大部分が、エロ漫画雑誌「漫画ブリッコ」に掲載されたもの。当時の編集長は大塚英志。彼の語る岡崎については「大塚英志のおたく社会時評」を参照のこと。 殆どが日常の一瞬を切り取ったような10枚前後の作品。所々でキラキラと光るものが感じられるときもあるが、まだまだ「作品」にはなり切れていないような気がする。「あとがき」に曰く、その頃、イギリスの某グループ(注:「ヤング・マーブル・ジャイヤンツ(YMG)」)★bbiwのレコードに凝っていて、「そのあまりのつたないちせつさと、そのあまりにゆうがな何もなさにずいぶん勇気づけられた」と。まさにそんな作品集。絵柄はこの頃の方がウェットで叙情的。奥平衣良(或いは奥平イラ「モダン・ラヴァーズ」けいせい出版1980.11.10、「地図と記号」JICC出版局1982.12.15)の影響を感じる。(1999.06.16新規追加、20000102/20000830/20010218改訂)★bbiw V |
コンニチワ。始めのごあいさつです。私が作者の岡崎です。訳あって目次はありませんが次の次のページから全32話あります。大変ですががんばって読んで下さい。あとがきでお逢いしましょう。では。ソー言われたので、がんばって久しぶりに読み返してみたら、意外と笑える作品だったことを報告しておきます。(1999.06.22新規追加、20010218初出追加)★落ちる犬★bbiw V
【注】第二作品集。基本的に第一作品集と同じ路線を引き継ぐ生活雑感的な叙情小品集。さすがに第一作品集よりは肩の力を抜いた作品が多いか? でも「図鑑少女」と「ウォーキン・オン・サンデー」は初期の佳作だと思う。★bbiw V |
【注】第三短編集。叙情的な作風が目立ったこれまでの作品集に比べて、えげつない話が目立つ。「女のコのエッチ漫画家」の面目躍如。幾分拾遺集的性格?★bbiw V |
【注】特別な傑作とは思えないのに何故か再版を繰り返されるラッキーな作品集。版元が解散しても別な版元から再刊。★bbiw V |
【注】第一作品集からの流れを受け継ぐ最後の「叙情小品」集。この後「エンド・オブ・ザ・ワールド」まで5年間も本格的な短編集(連作短編集は除く)の刊行は途絶える。編集者増淵俊之氏の証言によれば、旧作から最新作まで入り混じっていて、作者の指示通りに並べ見ると巧妙な流れに落ち着いたので驚愕した由。
後に、氏は、雑誌「SWITCH」の岡崎京子特集(2000年1月号)を殆ど一人で執筆している。その特集号の表紙を飾ったのが、この短編集の表紙と同じ、胸ポケットに赤いバラを挿した女性の横顔。(19990818新規追加、改訂20000119・20010219・20210702)★bbiw V |
【注】「好き好き大嫌い」以来実に5年ぶりの短編集。事実、89年から93年にかけての期間は長編を専らとして、連作ものを除けば、ほとんど短編を描いていない。93年の中頃から再び短編の執筆が盛んになり始めるのだが、既に作風は初期の叙情小品から大きく隔たったものへと変貌を遂げている。★bbiw V |
【注】粒ぞろいの傑作短編集。平均点ではこれが短編集のナンバー・ワンではないかと思う。特に表題作「わたしは貴兄のオモチャなの」と「でっかい恋のメロディ」は凄い…★bbiw V |
「この短編集を編んでみて、読みなおしたり描きなおしたりしながら、あらためておもったことには、人はいろいろなことがコワいんだな、ということです。(人によってその種類や質はちがいますが)。そしてわたしは、自分がいろんなことがコワくなくなるように、これらのマンガを描いていたような気がします…(1996年3月31日日曜日)」…そして自分もいろいろなことがコワくて、それに立ち向かう勇気を奮い起こすために、岡崎を読むのだろう…。おそらくその通りなのだ。 (20010213追加)
【注】「わたしは貴兄のオモチャなの」に匹敵する高レベル短編集。全短編中の最高傑作とも言うべき表題作「チワワちゃん」はもちろん「GIRL OF THE YEAR」や「チョコレートマーブルちゃん」も捨てがたい。★bbiw V |
【注】「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)から2年後、作者が「関与」できない状況の下で出版された「未定稿」に基づく作品集。岡崎は雑誌掲載作を単行本としてまとめる際に大きく手を入れることが多いのだが、その意味で、これらの作品はすべて「未完成」であることに留意すべき。★bbiw V |
【注】「事故」(詳細は星野氏の岡崎HP参照)から7年後、単行本未収録だった旧作を集めて編まれた短編集。短編集としては5年ぶり。見逃せない佳作がきちんと収録されている上に、全体を通読すると「巧妙な流れ」(©増淵俊之)を感じさせるという意味で、単なる寄せ集めではない。その編集姿勢の中に岡崎作品への理解と愛情が感じられるような気がするのは、筆者(tach)の「思いこみ」だろうか? これから岡崎を読もうという人がまず手に取るべき本とは言えないかもしれないが、少なくとも既に岡崎ファンで、新しい本が出ることを心待ちにしていた人たちにとっては、思いがけない贈り物。(2003.5.25追記)★bbiw V 【追記】初版発行から12年後の2015年8月27日、何と新装版が出ました。しかも収録作品増のおまけ付きで。皆から長く愛される本です!(2021.07.01) |