未来の思い出―UNDER AFTER―



byドミ



(6)22歳の2人



「蘭。また、オメーにとっての『未来』で、会おうぜ」

新一がそう言った、すぐ後に。
蘭の意識が途切れ、がっくりと力を失った。

「蘭?蘭!!」

新一は思わず、蘭を揺する。
すると、蘭がパチリと目をあけ、微笑んだ。

「新一・・・ただいま」
「蘭・・・オメー・・・オレの蘭、なのか?」

新一は目を見開いた。
つい今しがたまでの蘭と、どこか違う。
その眼差しが、表情が、違う。

「あなたの妻の、蘭よ」
「お帰り。・・・参った。まさか、このタイミングで入れ替わっちまうとは」
「あら。もう少し、17歳の蘭と一緒にいたかった?」
「んなんじゃねえよ。こっちは、もう限界」
「新一?」

新一は、蘭の体を強く抱きしめる。

「そりゃ、蘭だったらさ。17歳の時も、赤ん坊の時も子供の時も、きっとおばあちゃんの時だって、オレにとっちゃ、かけがえのない愛しい存在だけどよ。今を共に生きてるのは、22歳のオメーだろ?」
「うん・・・そうだね。わたしも、17歳の新一に再会して懐かしかったけど。早く、今の新一のところに戻りたかったよ」

蘭が微笑む。

新一は、蘭の顎を掴み口を開かせると、唇を重ね舌を蘭の口内に侵入させて蘭の舌を絡め取った。
むさぼるような、強引な口付け。
蘭は逆らわず、自らも新一の舌に自分のそれを絡めて行く。

新一は、蘭の唇をむさぼりながら、蘭の胸に手を這わせ、揉みしだいた。

「ん・・・ふっ・・・」

蘭は、一瞬ピクリと身を震わせたが、新一の背中に手を回し、自ら新一にしがみついた。
新一が蘭の唇を開放して、蘭の顔を覗き込む。
蘭の唇の端からは、2人の唾液が混ざりあったものが溢れていた。
新一はそれを、指先で拭う。

「オメーを目の前にして、抱けねえってのが、こんなに苦しいとは想像してなかった」
「うん。わたしも。1週間お預けってのがこんなに辛いなんて、想像してなかった」

普段、滅多な事では蘭の口から聞く事がない、新一を欲する言葉に、新一は真っ赤になり方手で顔を覆った。

「参ったな。今夜は、ブレーキが利きそうにないんですけど、奥さん?」
「うん。わたし、壊れたって構わないから・・・」
「オメーな。そういう事、軽々しく言うんじゃねえよ」

言葉を交わしながら新一は、慣れた手つきで蘭の寝巻きを脱がせて行く。
蘭の、生まれたままの姿を目にして、深い息をついた。

「すげ・・・綺麗だ・・・」
「し、新一・・・」

もう、数えきれないくらいに体を重ねた仲だというのに、蘭は恥じらい、手が大事なところを隠そうとするかのように動く。
新一は蘭の両手を握って指を絡めると、蘭の胸元に唇を落とした。
蘭の秘められたところからは、早くも蜜が溢れ、芳香を放ち始める。

「あ・・・」
「愛してるよ、蘭」
「はんっ!」

新一が、蘭の胸の飾りを口に含んで舌先で転がすと、蘭は仰け反って声をあげた。

「どうした?今日はやけに敏感じゃねえか?」

身を起こした新一が、揶揄するような言葉を出した。
しかし、その声と口調は優しい。

「だ、だって。この体・・・」
「ん?」
「わたしが戻った時は、もう、欲情してたんだもの・・・」

蘭の言葉に、新一はまた顔を赤らめる。

17歳の蘭の心が、今夜、新一に抱かれる積りで、覚悟を決めていたから。
まだ、その精神は経験がなくても、幾度も新一に抱かれた体が、蘭のその気持ちに反応してしまったものらしい。

「なるほどな。だからか、あの時、オメーがすぐに体を許したのは」
「そ、それだけじゃ、ないもん!わ、わたし!」
「わーってるよ。オメーの体は、オメーの心に気持に、反応してんだって事は」

蘭が、新一に対して淫らになるのは、新一への気持ちゆえ。
それを読み誤る新一ではなかった。

もう、蘭の体は充分に準備が出来ていそうであるし、新一としても、早く蘭の中に入りたいのは山々であるが。
丁寧に愛撫を施して、じっくり時間を掛けて堪能したい思いも、ある。

新一の指と唇が、蘭の体の隅々に、くまなく触れて行く。

吸いつくような、それでいて滑らかな感触の、透き通る肌。
新一の掌に収まり切れない程豊かで美しい胸の双丘は、新一の掌の中でその形を変える。
その頂にある赤い果実は、新一の指と唇・舌先で愛撫すると、周囲の柔らかさとは裏腹に、堅く勃ちあがる。

蘭の顔は、ややあどけなさを残す可愛い系の美しさだが。
新一の愛撫で感じ始めると、たまらなく淫らな「女」の顔に変わる。
その唇からは、淫らな甘い声が漏れ始める。

蘭の全てが、媚薬となって新一の心をかき乱し、狂わせて行く。

「すげ・・・たまんねえ・・・」
「あ・・・ん・・・」

新一は、蘭の両足を抱えあげ、左右に広げた。
新一以外、誰も見た事がない、蜜をたたえた秘められた赤い花が、姿を現す。
溢れ出る蜜と、立ち上る芳香に、新一は目眩がしそうになった。

蘭のその場所に顔を近づけ、花に口付け、舌を這わせ、蜜をすする。

「あ・・・やだ・・・新一・・・そんなとこ・・・」
「またオメーは、そういう事言う。汚くなんかねえって。オメーの体で汚ねえとこなんか、ねえよ。それに・・・すげえイイ匂いだ・・・」
「あん!はあっ!」

蘭は、シーツを掴みながら、羞恥と快感で身をくねらせる。

「お、お願い、新一・・・わたし・・・」

蘭が、新一を待って焦れている。
新一も、もうとっくに限界だった。

新一は、手早く自分のパジャマを脱ぎすてた。
新一のモノはそそり立ち、先端から先走りの液が滴っている。

「蘭。今日は、このまま、良いか?」
「え・・・?」

蘭が、目を少し開けて、新一の方を見やる。

「大学も、後は卒論の仕上げだけだし。もう、子作り解禁しても、良いだろ?」
「あ・・・」

新一が何を言おうとしているのか分かって、蘭は頬を染める。

「オレ・・・直に蘭を感じたい」
「うん。わたしも・・・」

蘭の口から、素直に言葉が出て来た。

新一は微笑み、少し息を吐くと、蘭の足を抱え上げなおし、怒張した自身を蘭の入り口にあてがった。
そして、一気に貫く。

「ああんっ!」
「う・・・お・・・っ!」

充分に蜜をたたえ、何度も新一を受け入れた事がある蘭のその部分は、怒張した新一のモノをスムーズに飲み込んで行った。
新一は、蘭の中に入り切ると、体勢を変え、蘭の両足を抱えていた腕を放し、蘭の背中に回して抱き締めた。
蘭も新一の背中に手を回し、両足を新一の腰に絡める。

「蘭」
「あ・・・新一・・・」
「オレの、オレだけの、蘭。愛してるよ・・・」
「新一・・・わたしも・・・愛してる・・・」

新一は、蘭を抱きしめたまま、少しだけ身を起こし、蘭の顔を覗き込んだ。

「過去も未来も。オレには、オメーだけだ」
「うん。わたしにも・・・過去も未来も、新一だけよ・・・」

新一は、蘭の唇を己のそれで塞ぎ、舌を絡め合わせた。
そして、少しずつ腰を動かし始める。

「ん!はあっ・・・ああん・・・んああっ!」
「蘭!らん・・・っ!」

ベッドが軋み、隠微な粘着性のある水音と、体のぶつかり合う音、2人の息遣いと嬌声が、部屋の中に響く。
2人の体から滴る汗と、2人の繋がりあったところから溢れ出る蜜が、シーツを濡らした。


「ああ・・・はああ・・・しん・・・いちぃ・・・やあああああっ!」
「くう・・・うお・・・っ・・・蘭っ!」

蘭が仰け反って果てるのと同時に、蘭の奥深くに新一の大量の熱が放たれた。


   ☆☆☆


暫く、2人とも肩で激しく息をしていたが、少しずつ落ち着いてきた。
新一は、蘭の負担にならないように注意しながらだが、ゆっくりと蘭の上で弛緩する。

新一のモノは熱を大量に放って萎えていたが、まだ、蘭の中に入ったままだった。
新一は微笑み、蘭の頬に軽くキスをした。
蘭も、柔らかく微笑んで新一を見上げた。

「まだ、新一の気持ちを知らなかった、あの頃」
「うん?」
「こんなに、スケベだなんて、想像つかなかったわ」

蘭の言葉に、新一は少し顔をしかめた。

「そりゃまあ、蘭に嫌われたくねえからな。抑えてたんだよ」
「新一の事だけじゃないわよ」
「ん?」

蘭の声が笑いを含んでいて、新一は片眉をあげた。

「わたし自身の事。こんな風に新一を欲しがるなんて、予想もつかなかったの」
「・・・今日のオメー、何か、妙に素直じゃねえか?」
「もう!失礼ね!」

蘭が軽く新一の頬に拳を突きつけると、新一は慣れた動作でそれを避けた。
蘭は本気で怒っていたのではなかったから、すぐに表情は元に戻る。

「・・・わたし、この1週間。17歳の蘭の体に入って、5年前の新一と一緒に過ごして。そして、改めて分かった事が、色々あったの」
「オメーが戻ってた時って・・・オレがオメーに告白しようとした直後から、だったんだよな?」
「うん。リアルな17歳の時には気付いてなかったけど、新一がどれだけわたしを愛してくれているのか、すっごく伝わって来て。嬉しかったけど、切なかった・・・」
「蘭?」
「新一。ごめんね。わたし、自分の気持ちばかりで・・・新一の気持ち、全然気付いてあげられなくて・・・」

新一は微笑み、首を横に振ると、蘭の唇に軽く口付けた。

「オメーが謝る事なんて、何もねえさ。ずっと・・・オレの片思いだって思ってた。オメーがオレの事を好きだって言ってくれて、オレはどんなに嬉しかったか。だからオレは、戦えた。オメーの元に、戻って来れたんだ・・・」
「・・・新一・・・」

蘭の頬を、光る滴が伝わって落ちる。
新一は、それを優しく唇で拭って言った。

「オメーの泣き虫は、変わらねえな」
「もう!意地悪!」
「・・・なあ。オメーが今迄、避妊に気をつけてたのは、学業の事だけじゃねえよな?」
「えっ?」

突然、新一の話が変わって、蘭は戸惑う。

「17歳の蘭がここに来た時、子供がいたらお互いに大変だろうから、って考えてたんじゃねえか?」
「・・・もう。そういう事まで、お見通しなのね」
「じゃ、後顧の憂いがなくなったところで、子作りもう一発」
「もう!下品な言い方、しないでよ・・・!え・・・あれ?」
「いや、直にオメーの中にいっと、あんまり気持ちイイもんだから、また元気になっちまってよ」

蘭の中に入ったままだった新一のモノは、一旦力を失った筈だったのに、いつの間にかまた怒張していた。

「もう・・バカッ!・・・あ・・・んああん!」
「・・・っく!今夜は・・・寝かせねえから・・・」
「あああん!」


久しぶりの夫婦生活を送る2人の夜は、まだまだ続きそうだった。




(7)に続く


+++++++++++++++++


<後書き>

このお話。
(5)までは、表にあります。
元々は、2004年10月の新蘭オンリー新刊として、発行されたものです。

当初、続きを書く気は全くなかったのですけど、サイトにアップするにあたり読み返している内に、「続き、書いてみようかなあ」という気に、なってきました。

今回は、22歳の新蘭サイド。
ま、普通に(?)、夫婦生活をやってるだけ(?)です。

次回は、(5)の直後の、17歳の新蘭のお話になります。


(5)「そして始まりの日へ」に戻る。  (7)「過ぎし日への旅」に続く。