Sweet Pain




byドミ



(17)帝丹学園祭



6月になった。

帝丹学園は、6月に学園祭がある。
行事全体は、中高一貫で行われる。

わたしの所属している空手部は、道場で組手を見せる事になっているし。
園子の所属しているテニス部は、テニスのミニ試合を見せる。
運動部のほとんどは、文化祭といえど、出し物は自分たちの普段の活動だ。

文化部は、もちろん、部活の内容に沿った展示をしている。
物理部はミニロケットを作成し発射実験をやるし、園芸部は鉢植えの展示即売会、手芸部では手芸作品の数々を披露、茶道部はお茶会を、華道部は活け花展示を、家政科部は食堂を、行っている。

講堂兼体育館では、演劇部の演劇・合唱部のコーラス・ブラスバンド部の演奏、他に有志のバンド演奏なんかが行われる。

クラスごとの企画は、さまざまなものがあるけど、喫茶店については、あまり多くならないように、各学年2つ、高等部6つ・中等部4つ(中等部1年は模擬店を出せない)までと決められている。
希望が多い時はくじ引きだ。

わたしと園子が所属する1年B組は、担当の委員が見事くじを引き当て、喫茶店をやることになった。
男子はギャルソン風スーツ姿、女子はメイドさんの衣装で揃えることとなった。

これだけの衣装を揃えるには、ずいぶんお金がかかる筈だけど。
帝丹学園の卒業生には各界のお偉方が結構いるため、そこからの寄付金で結構資金が潤沢である、そうだ。
なので、イベント1つごとにかなりの予算が割り当てられている。

メニューを何にするか、頭を絞る。
何しろ、6つも喫茶店があるし、茶道部のお茶会や家政科部の食堂もあるし、その店の売りを考えなければならない。
いくら、「赤字で当たり前」といっても、努力は必要だ。

それやこれやで、部活がない日でも連日門限ギリギリとなり、週末も学園祭準備の仕事が多く、新一との逢瀬の時間も減ってしまっていた。

それでも、毎日顔を見ることはできるし、夜、電話で話をしたり、メールのやり取りをしたりはできる。
多忙で充実した日々の中、寂しいと感じる暇はあまりない。
それに、忙しいのも学園祭が終わるまで、もう少しの間だけ。


でも、夜布団の中で、ふっと、新一の逞しい腕や胸板の感触を、わたしの中を突き上げる新一のものを、思い浮かべて恋しくなる瞬間がある。

……ああ……わたしってわたしって……何てエッチな女の子になってしまったんだろう?



「蘭。顔が赤いよ!」
「え?園子?」
「絶対、熱がある!」
「ええっと……」
「今日の週番は?ああ、北田君。わたし、蘭を保健室に連れて行くから!先生が来たら、伝えて置いて!」

突然、園子が言い出して、わたしは園子に保健室に連れて行かれた。

「園子!いったい、どうしたのよ!?」

有無を言わせず、園子がわたしの脇の下に体温計を挟むが、当然のことながら、36度台、平熱だ。

「熱があるわね、よしよし」
「ちょ、ちょっと〜〜!」

園子は、保健室の日誌に、勝手にわたしの名と「38度5分」という架空の体温を記入した。
そして、無理やりわたしを布団に突っ込む。

「今日は幸い……とと、違った。あいにく、保健室の先生は不在だけど。おとなしく寝てるのよ!いい?」
「だから、園子!」
「毎晩うるさくてうるさくて眠れなくて、限界なのよ!」
「へっ?」

園子がこちらを向いて真剣な顔で言った。

「アンタさ。一所懸命我慢して我慢して抑えて抑えて……その挙句、寝言言ってるわよ。新一、新一って!」
「え?ええっ!?」

全然、知らなかった。
夢を見てた記憶すら、ない。

「かといって。色々な役目をサボるなんて、蘭にはできないだろうし。保健室の先生がいなくて、工藤先生の授業もないこの時間、逢瀬の時間を提供してあげようかなって思ってさ!」

園子がウィンクして去って行った。



   ☆☆☆



布団に入っている間に、いつの間にか、眠りにおちていたみたい。
気が付くと、わたしの額と髪を撫でる、優しい手があった。

目を開けると、大好きな人の顔がそこに。

「新一……?」
「気が付いたか。熱は下がってるようだな」
「……来てくれたんだ……」
「そりゃあ。鈴木が、すごい勢いでオレのとこに乗り込んできたからな。本当だったら担任の岸田先生が対応しなきゃだけど、午前中授業が入っちまってるからって……」
「……」
「でも、大したことじゃなさそうで、安心した……」

そう言って、新一は立ち上がろうとする。
わたしは、咄嗟に新一の服の裾を掴んだ。

「行かないで……」
「蘭?」
「ちゃんと、治療してよ……」
「へっ?治療っつっても、オレは……」
「新一にしか治せないの……だって……新一不足なんだもん……」

わたしの言葉を聞いて、新一は、真っ赤になった。

「じゃあ。蘭も、オレの治療をしてくれ」
「新一?」
「オレも、蘭不足だから」
「うん……」


新一は保健室のドアに内側から鍵をかけ、わたしのところに戻ってきた。
時間があまりないので、ゆっくりできないことは、お互いに分かっている。

深く口付け合いながら、新一の手がシャツのボタンを器用に外す。
シャツの前を開け、ブラジャーをずり上げた状態で、新一の掌がわたしの胸に触れる。
その手が異様に熱い。

「あ……新一……」
「蘭。辛いだろうけど、あんま声は出すなよ」
「無理。声が出そうになったら、新一が塞いで」

新一は一瞬目を丸くした後、微笑んだ。

「ああ。わーった」

新一は、上は着たまま、ズボンと下着だけを下す。
そこから飛び出た新一の分身に、胸ポケットから取り出した小さな袋を開けて取り出したゴム製品をかぶせる。

「新一!何でそんなもの……んんっ!」
「しっ。声を出すなって。いつ機会が出来ても良いように持ち歩いてて、正解だったなー」

新一にまた口をふさがれて。
新一のものがわたしの中に容赦なく突き入れられる。

まだそこまで慣れていないうえに、久しぶりの行為だったので、少しだけ痛みが走る。

「ん!ん!んん〜〜〜っ!」

わたしの声は新一の口の中に消え、新一は荒い息を吐く。

激しく揺さぶられ、わたしは新一に必死にしがみついた。
大きな快楽の波が何度も襲い、やがて2人とも上り詰めた。

新一が名残惜しげにわたしの中から出て行く。
溢れ落ちるのは、わたしの体液だけ。
新一の体液は、膜の中に納まっている。

「オメーは、何も身に着けてない姿が一番きれいだけど……半脱ぎのその格好も、なかなかにそそるな……」
「なっ!ば、ばかっ!」

更に抗議しようとしたわたしの唇は、新一の唇でまたふさがれた。
汗で額に張り付いたわたしの髪を、新一がそっとかきあげる。

「ごめんな……こんな中途半端で……」

わたしは首を横に振った。

「蘭」
「なあに?」
「学園祭最後の夜……お前と過ごしたい」
「……うん……」
「それまで、お互いちょっとだけ辛抱な」
「新一……」
「ちょっとだけ、充電できたから」
「うん、わたしも……」

ちょっとだけの逢瀬だったけど。
ずいぶん、充電できたと思う。

学園祭まで、あと少し。



   ☆☆☆



帝丹学園学園祭。
金土で行われ、金曜日は学園関係者以外入れないけど、土曜日は一般開放される。
辺鄙な場所にある帝丹学園でも、他校の生徒や学生たちが来て、結構にぎわう。


金曜日は内部の人達だけだからまったりしてたけど、土曜日は、目が回るほど忙しかった。
空手部の組手と、クラスの喫茶店の当番もあるし、演劇とかバンドとか合唱部の発表とか、文化部の展示とか、友達のやっているところも見て回る。

その合間に、家政科部の食堂や茶道部で色々食べて。

すごく楽しい。
楽しいけど……新一と一緒に過ごせないのが、ちょっぴり……ううん、だいぶ寂しい。


メイド衣装を新一に見せたかったけど、教師は色々役割があるみたいで、全然会えない。
むう。
何だか、つまんない。


喫茶店は、衣装のせいもあるのか、結構、他校の生徒が多くて、繁盛していた。

「あ!蘭、一緒に写真撮ってくれって!」
「それって、禁止されてるでしょ。学園祭はあくまで学業の一環なんだから」
「えー!蘭って、真面目過ぎ!」

他校男子生徒と写真を撮ろうとしていたクラスメートをたしなめると、ブーイングがあった。

わたしは、別に、真面目なんじゃない。
わたしが写真を止めたその訳は、わたし達の身を守るためだ。
学校にばれると処罰されるし、そうじゃなくても今の世の中、SNSとかに投稿されて、自分の顔が全世界にさらされるってことも、あるんだから。

そういう風な話をすると、

「蘭って考え過ぎよ〜。裸の写真って訳じゃないんだし。いっつもそんなんじゃ、疲れるでしょー。ほどほどにしなよー」

って言われちゃうけど。


もしも、子どもだったあの時、園子の写真がSNSで出回ったりしていたら。
園子もわたしも、今頃、命はなかったかもしれない。

そういうことを敢えて言ったりしないけど、その怖さを知ってるから、わたしは絶対にそこは曖昧にしない。
クラスメートたちが鼻白んでも、妥協はしない。


「蘭って意外と頑固なのよね」

と言われたことがある。
そうかもしれない。
自分で納得したこと以外は、流されないし、譲らない。

初対面の人は、わたしは大人しく、簡単に相手の言いなりになりそうだと誤解するらしいけど。


これでみんなに嫌われたって仕方がない。
写真は絶対駄目、で押し通した。
何人かは、つまらなそうにぶすっとしていた。

「あんたたちねえ。いい加減にしなさいよ!いくらメイドの格好してたって、ここは街中のメイドカフェじゃないんだから!」

園子が腰に手を当てて一喝した。
園子は、茶髪なのもあって、いい加減そうに見られるらしいけど、園子にまで一喝されて、皆、渋々ながら収まった。


で、これは後日談になるのだけれど。

クラスの中で、本当におとなしい子の中には、他の学校の男の子から肩に手を回されて写真を撮られそうになって、嫌なんだけど言えなかった子も、結構、いたらしく。
学園祭の後、わたし宛になぜか女子たちからのファンレターが結構舞い込んだのだった。


その後は、そういう不逞な輩もいなくなって、男の子も女の子もたくさん来る、なかなか楽しい雰囲気だったんだけど。

あと少しで、学園祭も終わりの時間となる頃に、事件は起こった。


「きゃっ!」

胸に伸びてきた手を反射的によけようとして、わたしは手に持っていたトレーを傾け……コーヒーの入ったカップが転げ落ちてしまった。
プラスチックのカップなので割れる心配はないのだけど、コーヒーが飛び散る。

「あちっ!」

僅かだけど、飛び散ったコーヒーがかかったみたいで。
そこに座っていた、どこかの大学生らしい男の人が、憮然とした表情で立ち上がった。

「す、すみません!」
「……口で謝るだけ?もうちょっと誠意を見せられないの?」
「え……?」
「火傷、痕が残るかもなあ」
「あ、あの……だってあなたが……」
「俺がどうかしたの?」


わたしの胸の方に伸びてきた手は、確かに、その男の人の手だったけど。
わざと触ろうとしたって証拠はどこにもない。

……でも、何となく、この後の流れは分かる。
因縁をつけて、わたしに何かを要求しようと思っているんだ。

こういうとき。
コーヒーを掛けてしまったこと自体は謝っても、それ以上に下手に出るのはよくない。
まして、相手の要求を呑むなんて、とんでもない。


園子がいきり立って何か言おうとしたのを、わたしは手で制した。
ここで園子まで出張ったんじゃ、面倒なことになる。


わたしは、そっと拳を握りしめながら、相手の出方を待った。


すると。

突然、すごい勢いで飛んできたものが、その男性の顔にめり込み、男性は昏倒した。
そのまま、部屋の隅に転がって行ったのは、サッカーボール。


喫茶店がある教室は2階だというのに、サッカーボールが飛び込んでくるなんてと、皆が思わず窓の方を見ていると。


「わりぃわりぃ。足元が狂っちまってよ」

教室の入り口から飛び込んできたのは、新一だった。

「く、工藤先生!」
「ええっ!?先生がボールを!?」
「わりいな。久しぶりにサッカーやってたら、つい、熱くなっちまってよー」
「よくないですよ!幸い、クラスには誰も怪我人はいなかったけど、余所のお客さんのその男の人が……」
「おおっと、こいつは、気の毒なことしたなあ」
「先生!気の毒どころの話じゃないです!」
「しょうがねえなあ。おい、相原、稲葉。こいつを保健室に担いでいくから、手伝ってくれ!」
「えー?先生、マジっすかあ?」
「すまんな。後でカフェオレくらい奢ってやるよ」
「なら、コーラにしてくださいよ」
「あ、オレはブラックコーヒーで」
「ああ、わーった」


そう言って、新一は、大学生らしい男の人を抱えて去って行った。
1度もわたしの方を見ることなく。


まさか、まさかよね。
新一がわたしを助けてくれたなんて……。


「すごいコントロールねえ、工藤先生は」

園子がわたしの横で、呆れた声で言った。

「そ、園子!?」
「姫を助けるナイト……かあ」
「まさかぁ……!」
「だって蘭。何もないのに、サッカー名手の工藤先生が、校舎に向けてボールを蹴ると思う?」
「……!」
「それにホラ。校庭には模擬店もあるし、誰もサッカーなんてやってないよ?」


新一が、どこかから様子を見ていてくれて、わたしが危なそうと気付いて、助けてくれた……?
どうしよう。
何だかすごく、嬉しい……!



そして、学園祭は終わり、お客たちは帰って行った。
中等部の子たちは寮に引き上げないといけないけど、高等部だけ、後夜祭がある。
今日だけ特別に、高等部の下校時間は8時で、寮の門限も8時20分になる。

ただ、今日は土曜日だし、月曜日は代休になっているから、今日から外泊する人もいる。
わたしも、外泊届を出していた。


体育館で色々催し物が行われている、後夜祭。
去年までのわたしは、高等部に上がったら後夜祭に参加できるのを、すごく楽しみにしていた。


でも。
今は……今は、後夜祭よりもずっと大切なことが、あった。


体育館で響くブラスバンドの音を聞きながら、わたしは教室にいた。
今夜は良く晴れて、月明かりが差し込んでくる。

足音が聞こえて、ドアが開く音がした。

「蘭」
「新一……」


後夜祭で皆体育館に出払っているから、今、この校舎には誰もいない。
誰もいない教室での逢瀬。


「メイド服、着たままなんだ」
「後夜祭に出るなら、着替えないといけなかったんだけど……」

新一に、この格好を見てもらいたかったから。
今日、新一がサッカーボールを蹴りいれた時、わたしの方を見もせずに去って行ったんだもの。

「学園祭、高校の方は結構大がかりだったんだな」
「え?新一は見たことなかったの?」
「ああ。中等部の頃は、最低限のことだけやって、あとはサボってたしな。わざわざ高等部の方まで足を運んだりしなかったから」

そうだった。
新一は、高校1年の時に日本を去って、高等部の学園祭は経験していないのだ。


「そういえば、あの人は……?」
「丁重にお帰りいただいたよ。何、蘭、あの男が気になんのか?」
「ううん。ただ、あの後帰って来た相原君と稲葉君が、何となく、怯えているふうだったから」
「ふうん……」

新一は、それ以上何も言おうとしない。
わたしも、あんまり追求したいわけじゃなかったので、それ以上何か言うのはやめた。

「新一」
「あん?」
「助けてくれて、ありがとう……」
「あれはたまたまボールが……」

不思議なの。
新一はなんで、「オレが助けたんだ」って言わないんだろう?

「それより、蘭……」
「新一?」

新一はわたしに近付くと、強く抱きしめ、深く口付けてきた。
そしてそのまま、押し倒される。

教室の中で、教師と生徒の立場の2人が、抱き合う。

写真撮影に絡めての昼間の会話を思い出していた。
わたしは、真面目なんかじゃない。
だって、仮にも教師である新一と、こんなイケナイことをやってるんだから。


「ん?」

わたしのブラウスのボタンを外した新一が、ブラに手を掛けて戸惑っている。

「あ……これ、フロントホックの……」
「もしかして、蘭。オレが脱がし易いように、これにした?」
「ち、ちが……っ!」

正直なことを言うと、はっきり違うとは言いきれない。
でも、恥ずかしくて、「そうよ」なんて言えるはずがない。
新一がフロントホックをはずし、わたしの胸が露わになって、新一が頂を摘まんだ。

「ああん!」
「はあ……メイド服ってのも、エロいな……すげーそそる……」
「そ、そんな……ん……あ……」

今日は、この前みたいに時間がないわけじゃないのに、新一はわたしの胸をはだけただけで、全部脱がそうとしない。
それに、メイド服がどうしてエロいんだろう?
だって、露出してるところなんて、全然、ないのに……。

新一がわたしの胸の頂を口に含み、舌先でなぶる。
身を貫く快感に、わたしは大きな声を上げていた。

昼間、大学生らしい男の人が、わたしの胸に手を伸ばしてきたことを思い出す。
避けたので、触られていないけど……もし触られたらって思うと、ゾッとする。

不思議だ。
新一にだったら、触られても何されても、すごく気持ちいいのに。
これが他の男の人だったら、想像しただけでおぞましい。


スカートの裾から、新一の手が侵入してきて、太ももを撫でる。
そして、パンティがずり下され、わたしの大切なところに新一の手が触れた。

「すげえ。もう、びしょびしょになってる」
「やっ!言わないでよ!」

事実なんだろうけど、新一のデリカシーのない発言に、涙が出そうになる。

「はあ……じかに、入れてえ……」

新一の言葉の意味を、一瞬、考え込んだ。
そして、言う。

「いいよ……」
「蘭!?」
「新一がそうしたいのなら……いいよ、そのまま来て?」
「……可愛いこと言ってくれるけど、そういう訳には行かねえだろ?」

新一は、胸ポケットから、四角い袋を取り出した。
それを開けて中身を出すと、新一のものにかぶせる。

わたしの入り口に熱く猛ったものがあてがわれ、一気に貫かれた。


「あああっ!!」
「……っ!蘭……すげえ……オメーん中……熱くてオレを締め付けて……スゲー気持ちいい……」

新一が激しくわたしの中を突き上げる。
気が狂いそうなほどの快楽の波が襲ってくる。

「あ……ん……ああ……んんああっ……しんいちぃ……っ!」
「蘭……く……うっ!……蘭……!」

やがて、わたしが背中をそらして大きな声を上げて果て、同時に新一の動きが止まり、わたしの中で新一のものが大きく脈打ち、熱が放たれた。
窓の外では、ひときわ、ブラスバンドの音が高くなっている。

ややあって、新一がわたしの中から出る。
それと同時に、わたしの体液が溢れ落ちた。

新一が、わたしの足をグッと押し広げたまま、わたしのその場所を見詰めている。


「や……何を見てるのよ……」

事の真っ最中は、恥ずかしいなんて感じる余裕もないけど。
快楽の波が去った後に見られるなんて、恥ずかしくてたまらない。

「いや……オメーのここってさ……絶頂に達した後は、口が開いてんだなって思って……」
「え!?え!?そうなのっ?」
「ああ。入れる前は、ここ、きゅっと閉じてんだけど」
「もう、やだあっ!」
「ごめん。オメーは本当にオレのものになってくれたんだって、何だか嬉しくてよ」
「新一……?」
「抱いている間、オメーは、他の誰も知らないだろう妖艶な女の顔をしてる。でも……事が終わったら、オメーはまた、清楚なあどけない汚れのない乙女に戻る。まるで、オレとのことが何もなかったかのように……」
「そ、そんな……わたし……」
「許されるものなら、ずっとお前を抱き続けていたい……」
「いいよ。新一が望むなら、そうして?ずっと、2人だけで……」
「オメー……」

新一が苦笑した。
その苦笑の意味は分からなかったけど。

新一は、そっとわたしの服を整え直すと、わたしの体を起こした。


「新一?」
「今夜、来るだろ?」
「うん……」

制服に着替えて一旦寮に戻り、外泊届はもう出しているので、私服に着替えてそのまま寮を出て、林の中に入る。
街灯もない林の中、1人で歩く勇気はなかったけど、思った通り、新一が林に入ってすぐのところで待っていてくれた。

職員寮の裏口から入る。
ここに来るのは、久しぶりだ。


新一が食材は買ってきていたので、簡単にご飯を作って食べた。
そして、お風呂に入り、新一のベッドに2人で入る。


ベッドに入ると同時に、新一にパジャマを脱がされ、お互い生まれたままの姿になって抱き合う。


「やっぱ、普通に、全部脱いで抱き合う方が良いな」
「新一、さっきと言うことが全然違うじゃない」
「ま、たまにはああいうのも気分が変わっていいけどよ」
「ねえ新一。メイド服とかに、やっぱ萌えるの?」
「いや。別に服には萌えない。蘭があのカッコしてるから、良いんだよ」
「ええっ?んああっ!」

会話の続きは、新一がわたしの胸の頂を強く吸ったので中断した。

「お前、最初の時より、胸おっきくなったな」
「うそっ!」

でも、心当たり、ある。
ブラジャーがきつくなった。

「あああっ!」
「オレがこうやって可愛がってるから、育ったのかな?」
「何、バカなこと……んんっ!」

胸は揉んだら大きくなるってのは、俗説だっていうし……。
たぶん、高校1年のわたしは、そっちの方もまだ成長期なんだと思う。

「まあオレは、蘭の胸なら、おっきくてもちっさくても、好きだけどよ」
「ば、ばかあっ!」
「うん。オレは、蘭バカだからな」
「んもう!」
「他の女がどんな格好してようが、裸でいようが、全然感じない。オメーだから、萌える……蘭だから、スゲー、エロいし、感じるんだ」
「し、新一……」
「他の男には、ぜてー渡さねえ……!」
「うん。わたしも、触られて気持ちいいのは、新一だけだもん……」
「蘭……」


新一が、わたしの中に入ってくる。
もう、痛みは全くない。
あるのは、ただただ、新一とひとつになる歓び。


「蘭……オレの蘭……」
「ああ……新一……新一……」


学園祭の後には、新一とわたし2人だけの祭りの夜が更けて行った。



(18)に続く


++++++++++++++++++++


<後書き>

えーっと。

今回のお話は、ラブラブとストーカーは紙一重というお話?
いや、保健室エッチと教室エッチに、制服プレイとメイド服プレ……((((c=(゚ロ゚;q)(以下略)

すみません。
2人が一線を越えたら、一気に変態話になってしまったような……。


えっと。
次回あたり、内田麻美嬢とのお話を書きたいと思います。
園子ちゃんと色黒王子とのエピソードはその後に。

ただ。園子ちゃんと色黒王子の出会いは、なんか、「血よりも深く」と似たパターンになってしまいそうなんですよね。
戻る時はブラウザの「戻る」で。