Sweet Pain




byドミ



(14)誕生日の夜



外泊届は、朝の内に提出した。

授業が終わって、部活が終わって。
それまでが、すごく長く感じられた。


部活が終わると同時に、準備して置いた荷物を持って、学園の門を飛び出して行った。

5月も半ばの今は、もう大分日が長くなっているけど、それでも、部活が終わった今は、真っ暗だった。
学園前のバス停があるロータリーで待つと、ほどなく、見覚えのある先生の車がやって来た。


「蘭。腹減ってるか?」
「うん!部活の後だから、ペコペコ!」
「わりいけど、先に、別の店に寄るから、ちょっと我慢してな」
「えっ?」

別の店って、何だろう?
わたしの疑問をよそに、先生が運転する車は、街中に入り、そして、ある店の駐車場に入って行った。
その店は、高校生のわたしには普段縁のない、高級ブティック。

園子や、他の友達と、服を買いに行く事はある。
でも、自分で稼いでいる訳じゃないから、わたし達が買うのは、「値段が手ごろで可愛い服」で、ブランド物とか高級な物には縁がない。
園子の家はお金持ちだから、高価な服も沢山持っているらしいけど、今の園子がそういう装いをするのは、鈴木家が絡んだパーティとかに限られている。
わたしも、少し値の張る服を持っているけど、それはお母さんが見立てて買ってくれたもので、それこそ、改まった席でしか着ない。

先生は、当たり前のようにわたしを連れて店に入る。

「この子に似合う服を見立ててくれ」
「承知しました」

先生は物馴れた様子で店の人に頼み、店員さんはわたしに服を選んでくれた。
上品な感じの赤いワンピースは、改まった席でもおかしくないけど、多少カジュアルな場面でも違和感がなさそうなものだった。

でも、値段は正直、桁が違う。
自分で買おうなんて、絶対、思えない。
高校1年生のわたしへの誕生日プレゼントとしては、高価過ぎる。
それに、先生だって、社会人1年目で、給料もらい始めたばっかりなのに。

思わず目で訴えるわたしを尻目に、先生ってば、靴やバッグまで揃えてしまう。
嬉しいけど・・・すごく嬉しいけど、申し訳ないよ。


「彼も、まだ若いけど・・・お嬢ちゃん、まだ高校生よね?」
「え・・・?はい・・・」

女性店員さんにこそっと耳打ちのように言われて、わたしは頷いていた。
制服で店に入ったのだもの、高校生というのは一目瞭然、今更、ごまかしようもない。

「覚悟、しておいた方が良いわよ」
「え・・・?か、覚悟って・・・」
「男が女にドレスを贈る魂胆って、知ってる?」
「は?そんなの、あるんですか?」
「そのドレスを、自分の手で脱がす為なんですって」
「ええっ!?」

声が大きくなって、慌てて口元を押さえる。
店員さんは、ちょっと笑って言った。

「あら。知らなかった?」
「で、でも・・・!」

先生は、この前、「一晩一緒にいたら、キスだけじゃ済まなくなる」って言った。
だから、わたしに対して、そういう欲望はある・・・んだと思う。

でも、今回は、わたしを家に送り届けるって言ってた。
先生がそういった事で、嘘をつくとは、思えない。

「まあ、あなたが、その積りっていうなら、良いのよ。ただ、もし、そんな積りないっていうんなら、可哀想だと思って」

わたしは、彼の今迄の言動を思い返してみる。
わたしの意思に反してとか、わたしを騙してとか、そんなの、有り得ない。
でも、そういう事を説明して、分かってくれるとも思えないし。

店員さんは多分、親切心で言ってくれてるんだ。
何となく不快だったけど、わたしは反論はしないでおいた。

試着室から着替えて出て来たわたしを、先生は目を細めて見た。

「うん。よく、似合ってる」
「あ、ありがとう・・・ございます」
「時間取らせて、悪かったな。腹減ったろ?食事に行こう」

先生がカードで支払いを済ませる。
さっきの店員さんは、わたしに意味ありげなウィンクをして見せた。

まったく、もう。


先生にエスコートされて、車に戻った。
先生は、車を出す前に、わたしの頬に手を当てて、顔を覗き込んだ。
わたしは、どぎまぎして落ち着かなくなった。

「蘭?どうかしたのか?」
「え・・・?」
「うかない顔をしてる。気に入らなかった?」
「そ、そんな事、ないです!でも・・・こんな高いの・・・申し訳なくて」
「5年分のプレゼントだって、思ってくれ。これまでは、蘭の誕生日に何かプレゼントできるような状況じゃなかったからな」
「先生・・・」


そして、連れて行かれたのは、米花センタービルの展望レストラン「アルセーヌ」。
席に通されると、窓からの夜景がとても綺麗で、思わず見とれてしまった。
その分、きっとお値段も高そうな気がする。

「せ、先生、大丈夫なの?」
「ん?何が?」
「だって・・・ここ、すごく高そうだし・・・」
「教師としての給料はまだ1回分しかもらってねえけど、アメリカで大学に行っている間は、依頼料を取って探偵活動してたから、それなりに蓄えもある。年に1度の蘭の誕生日だし、それに、さっき言ったろ?5年分だって」
「先生・・・」
「蘭。少しは、オレに見栄をはらせてくれ」

先生が、少し苦笑して、言った。
そして、わたしは・・・先生の「見栄をはらせてくれ」って率直な言葉に、やっと肩の力が抜けた。

そっか。
好きな人相手に、背伸びしたり、良いとこ見せようとしたり、それは、わたしもだけど、先生も一緒なんだ。
今さらだけどようやく、先生がわたしの事を好きでいてくれてるんだって、実感する。


わたしは・・・男女同権!って鼻息荒くする気はないけど、でも、デートで男の人が一方的に支払うのってどうなのかなって、思ってる。
ただ、わたしはまだ、一円だって、自分で働いて稼いだことがない、高校生。
そして、先生は社会人。
わたしが自分でバイトなり何なりして収入を得られるようになるまでは、先生の好意に素直に甘えるべきなのかもしれない。


料理は、とても美味しくて。
お店は、夜景が見えるように照明を落としてて、ロマンチックな雰囲気で。
大好きな先生が、目の前にいて。

すごく、幸せだった。


「お誕生日、おめでとうございます」

お店のスタッフが、小さな誕生日ケーキを持って来た。
こういう演出をする店があるって、聞いた事はあったけど、先生があらかじめ予約して準備してくれていたんだって思うと、すごく嬉しい。

ロウソクはきっちり、16本立っていた。
店のスタッフがロウソクに火を灯す。

期せずして、周囲のお客さんも一緒になっての、ハッピーバースデイの合唱。
そして・・・弱点なんかないだろうと思っていた先生が、音痴だって事実も、判明してしまった。

でも、音を外しながらも一所懸命わたしの為に歌ってくれた先生が、とても愛しい。

「改めて、誕生日おめでとう、蘭」
「先生・・・」

わたしは、16本のロウソクを吹き消した。
周囲からも拍手が起こった。

お店のスタッフが、ケーキを切り分けてくれる。
そして、コーヒーが運ばれてきた。


「蘭。これ・・・」

先生が懐から出したものを見て、わたしはドキリと胸が高鳴った。
ビロード張りの小箱。
あれって・・・どう見ても、指輪の箱・・・だよね?

先生が小箱を開く。
そこにあったのは、緑の石が嵌められた指輪。
緑の石は、わたしの誕生石のエメラルドだ。

わたしは、息を呑んだ。

「蘭。もし、できたら、だけど。蘭の左手薬指に、これ・・・受け取って欲しい」

左手の薬指・・・って・・・まさか・・・!

わたしが固まって動けないでいると、先生は大きく溜息をついて、項垂れた。

「ごめん・・・嫌だったか?」

わたしは慌ててブンブンと首を横に振った。

「そんな・・・そんな事、ない・・・嬉しいよ、すごく!でも・・・左の薬指って・・・」
「蘭」

先生が、テーブルの上に置いてたわたしの手を、上からぎゅっと握った。

「蘭はまだ、高校生になったばっかだし。オレだってまだ、成人していくらも経ってない、社会人になったばかりの、若造だ。けど、蘭を想う気持ちは、真剣だ。決して半端な気持ちで、言ってるんじゃない。蘭の一生を、オレにくれ」
「先生・・・」
「蘭が高校を卒業したら・・・もし、おっちゃん達が許してくれなかったら、蘭が20歳になってからでも、良いけど。オレの、花嫁に・・・」

わたしの目から、涙がぶわっと溢れ出た。

「ら、蘭!?」
「・・・嬉しい・・・そこまで、考えてくれてるなんて・・・すっごく、嬉しい!」
「返事は、イエスと思って、良いのか?」

わたしは、「はい」と答える積りだったのに、声が出ず、代わりに何度も頷いた。
先生が、わたしの左手を取り、そこに指輪をはめてくれた。
サイズはピッタリで・・・そういえば、前に宝石店に行った時、サイズを測っていたなって、思い出した。
あの時は、捜査のために、買い物を考えてるポーズかと思ってたんだけど、先生は本当に、買い物を考えてたんだ。


何だか、色々とあって・・・わたしは、すごく幸せな気持ちで、レストランを出た。
5月の半ば、夜風はまだヒンヤリしていたけど、火照った頬には心地よかった。



   ☆☆☆



先生が、車を出す。
わたしは、ふと、今回帰るって連絡を、お父さんにもお母さんにも、してなかったって事を思い出した。
ウッカリしていたっていうより、わたし、無意識の内に、帰るって連絡するのを避けてたんだ。

「蘭。今夜は、どっちの家に帰る予定なんだ?」

先生が尋ねて来た。
わたしは、膝の上で手を握り締める。
ワンピースを買った店の店員さんは、「男が女に服を買うのは、脱がすため」なんて言ってたけど、先生は、本当に、今夜はわたしを家に帰す積りなんだ。

「蘭?」
「・・・今夜は、先生と一緒にいたい」

突然、ガクンと前のめりになった。
先生がいきなり、ブレーキを踏んだのだ。

後続車からクラクションが鳴らされる。
先生は慌てて、車を路肩に寄せて止めた。
そして、ハンドルの上に頭を乗せ、溜息をついた。

「・・・おっちゃんの方で、良いか?」
「先生。はぐらかすの?」
「い、いや・・・!だけど・・・オメー、旅行の時にオレが言ったこと、覚えてねえのか!?」
「・・・覚えてるよ・・・忘れる筈、ないでしょ?」
「蘭・・・」

先生が、息を呑む。

「わたし・・・先生から、すごく大切にされてるって思う。それは嬉しいの。でも・・・子ども扱い、しないで欲しい」
「蘭・・・?オレは・・・子ども扱いとかじゃなくて・・・!」
「恋人同士って、対等な関係じゃないの?そりゃ、わたしは・・・まだ高校生で、経済力もないし、先生から見たら対等に見られなくても、仕方がないけど」
「そういう事じゃなくて。女の方が、リスクが大きいんだ。ましてオメーはまだ高校生で、何かあったら高校も続けられなくなるし・・・」
「リスクって、何?ロストバージンで、痛い思いをすること?病気とかのこと?・・・赤ちゃんができるかもしれないこと?わたし、相手が先生なら、そんなのリスクだなんて、思わないよ」
「蘭・・・」

ずっと――ずっと後になって、この時のわたしって、何て傲慢な子どもだったんだろうって、恥ずかしくなるんだけど。
でも、子どもだったからこそ、純粋に真っ直ぐに、そういう事を言えたんだなって、思う。

その時のわたしは、何も、怖くなんてないって思ってた。
だって、先生は、わたしと一緒に生きて行こうって、言ってくれたんだもの。

「先生、わたしの事、お嫁さんにしてくれるって、言ったよね?」
「ああ。オメーを、他の誰にも渡す気はねえよ」
「わたしは、今日で16歳になったんだよ」
「ああ。そうだな。オメーと初めて会った時のオレと、同じ歳に、なったんだよな」
「親の許しがあったら、結婚できる歳・・・だから・・・」
「蘭・・・」
「だから・・・今夜、わたしを・・・先生のお嫁さんに、して・・・」

上手く言えなかったけど、先生に、わたしの意図は通じたらしい。
先生が、数回、大きく息をした。
そして、助手席のわたしに、向き直る。
その眼差しの熱さに、わたしはドキドキした。

「蘭・・・本当に、良いのか?」

わたしは、こくりと頷く。
先生が、再び、車を発進させた。

車は米花町に入り、わたしの家の近くで道を曲がり、住宅街に入って行く。
そして、大きな家のガレージに入って行った。
夜だからぼんやりした輪郭しかわからないけど、わたしが5年前、門の前で泣いた、先生の自宅に間違いない。

ガレージから家に直接入るドアがあり、そこで靴を脱いであがると、いきなり先生に抱え上げられた。

「せ、先生!?」
「初夜には、花婿が花嫁を抱き上げて寝室に連れて行くんだよ」

「初夜」とか「花嫁」とかの言葉に、わたしは今更ながら、恥ずかしくなってきた。
顔を見られるのが恥ずかしくて、わたしは、先生の首に手を回し、顔を先生の胸元に埋めた。


先生はわたしを抱えたまま、階段を登って行く。
そして、柔らかいところに下された。

目を開けると、天井が見える。

「ここは・・・?」
「オレの部屋。っても、長いこと、使ってなかったけどな。業者に定期メンテナンスは頼んでたし、今回はオレの帰国前に、整えてもらってる」

先生は、上着とネクタイを取り、シャツの襟首を緩めると、わたしの上に覆いかぶさって来た。
唇が塞がれ、先生の舌がわたしの口の中に入り込んで、舌が絡められる。

甘い痺れが、全身を突き抜けた。
そして・・・先生の手が、わたしの胸の上に置かれ、ゆっくりと揉み始めた。
嫌な訳じゃないけど、一瞬、体が強張る。

「んっ・・・!」

先生が、わたしの唇を解放して、間近で覗き込んだ。

「蘭。怖い?」
「ううん、大丈夫・・・」

わたしは一所懸命笑顔を作ったけど、もしかして引きつっていたかもしれない。

「本当に、大丈夫か?」
「わたしの全部を、先生にあげる。だから・・・」
「蘭?」
「先生の全部を、わたしにちょうだい」

ふっと、先生が笑みを浮かべた。

「ああ。全部、やるよ。オメーに」

先生がまた顔を近付けて来て・・・唇は、首筋に降りてきた。
唇と舌が首筋を這う感触に、ぞくりとする。

「あっ・・・せんせい・・・」

先生が、また、顔をあげた。

「おい。この期に及んで、その呼び方は、ねえだろ」
「え・・・?」
「名前。知ってるだろ?」

あ、そうか。
わたし、さっき、「恋人同士なんだから対等」って自分で言ったのに、ついクセで、「先生」って呼んじゃってる。
でも、何て呼べば?

「し、新一・・・さん・・・?」
「さんは、つけなくて良いよ」
「・・・新一・・・?」

年上の大人を呼び捨てにするのに、すごく抵抗があったんだけど。
新一って呼んだ時、何だか昔からずっとそう呼んでいたような、その呼び方がしっくりと馴染んでいるような、不思議な感覚があった。

先生・・・新一は、満足げに微笑むと、口付けて来た。

「蘭・・・愛してるよ・・・」
「しんいち・・・」

新一の手がわたしの背中に回り、ファスナーが下ろされる。
新一に送ってもらったドレスが、新一の手で脱がされていく。

下着は、この前園子と街に行った時に買っていたもの。
新一に見せる事を、全く考えてなかったって言ったら、嘘になる。

ブラジャーのホックが外され、胸が外気にさらされる。

「あっ・・・」

新一の手が、わたしの胸に直に触れた。
新一の指がわたしの胸の頂をこすると、そこから電流が走り、下腹部が疼くような感覚がある。
声が上がりそうになって、わたしは思わず口元を押さえていた。

新一が、わたしの両手をやさしくどける。

「蘭。声、ガマンするな」
「だ、だって・・・」
「声が出るのが、当たり前なんだから」

それでも、声を出せずにいると、不意に新一がわたしの胸の飾りを口に含んだ。
身を貫く感覚に、声が抑えられない。

「ああん!」
「やっぱここって、感じ易いんだな」
「やあ・・・そんな・・・あんっ!」


彼の手と唇が、体中を這い回る。
その度に、ゾクゾクする感覚・・・不快なのではない。

もしかして、これが、「感じる」って事なのかな?

「蘭・・・すげえ、綺麗だよ・・・それに、やわらけー」
「あ・・・ああ・・・」

わたしの・・・恥ずかしいところから、水が溢れ出る感覚があって、わたしは身を震わせた。
新一の手が、布地越しに、わたしの秘められた場所に触れ、そして、布地の内側に手が入れられる。

「や・・・あん・・・」
「濡れて来てる。ちゃんと、感じてるみてえだな」
「あん・・・そんなこと・・・言わないで・・・」

やがて、最後の布が取り去られ、ベッド脇に落とされた。
わたしの足が抱えられ広げられ、自分でも見たことがない場所が、新一の視線にさらされている。
色々な事を覚悟していた積りだけど、やっぱり恥ずかしくて、わたしは震えていた。

わたしが自分で触れたこともない場所に、新一の指が触れる。

「ひゃっ!ああん!」

何だかすごく敏感な場所があるみたいで、そこを撫でられて、体がびくりと跳ね上がった。
指ではない感触が触れて、わたしは思わず目を開ける。

新一がわたしの足の間に屈み込んで・・・その場所を・・・舐めている・・・!?
そんな事があるなんて夢にも思ってなかったわたしは、思わず新一を蹴って逃げそうになったけど、必死に思いとどまった。

「し、新一、やだっ!」
「・・・蘭、気持ち悪いのか?」
「ち、ちがう、けど・・・そんなとこ、汚い・・・」
「蘭の体で、汚いところなんてあるもんか」

な、何だか、喜んでいいのか、でも恥ずかしくて、全身が熱くなる。
それに、大事なところを色々といじられている内に、何だか、変な感じになってきた。

「あ・・・んあ・・・んやあ・・・」
「蘭。そろそろ・・・」
「え・・・?」

新一が離れて行く気配がして、わたしは目を開けた。
新一がシャツを脱ぎ捨てている所だった。
その、服の上から見た時より意外と逞しい上半身に目を奪われ。

そして、初めて目にする「ソレ」に、思わず目を逸らしていた。
だって、だって、だって!
想像外だったんですもの。

「蘭」

新一が、ベッドに戻って来て、わたしの上に圧し掛かる。
「ソレ」らしいのがわたしの太ももに触れ、わたしは思わず身を強張らせた。

だ、大丈夫だよね。
誰でも、やってる事なんだから。
そ、そりゃ、最初は痛いとかいう話だけど・・・。


新一が再びわたしの両足を抱え上げ、わたしの入り口にソレがあてられる。

「蘭。力抜いてて・・・」

次の瞬間、ソレがわたしの中に押し入って来た。
想像以上の、身を引き裂かれる痛み。

「う・・・あ・・・やあっ!」
「っくっ・・・蘭・・・っ」

わたしがシーツを掴んでいると、新一がわたしの手を取り、新一の背中に回した。
わたしは必死で新一にしがみ付く。

すごく痛いけど、一所懸命、我慢した。
だって、わたしが望んだ事だもの。
それに、この痛みは、新一と結ばれる為の痛み、だもの・・・。


2人とも、汗だくになって、荒い息をついて、でもなかなか、ひとつになれない。

「蘭・・・蘭・・・っ!愛してるよ・・・」
「あ・・・新一・・・わ、わたしも・・・」

新一が、わたしの唇を塞ぐ。
長い口付けの後、わたしは、空気を求めて喘いだ。

その時、期せずして、わたしのそこが緩み、その瞬間、新一のモノがわたしの奥深くまで入った。
わたしは、新一と結ばれて、ひとつになった。



(15)に続く


++++++++++++++++++++


<後書き>


どのお話でも、蘭ちゃんのロストバージンが最低でも16歳以上の線は崩したくないなと。
んで、このお話では、蘭ちゃんの16歳のお誕生日に、という事にしました。

でも、原作でいずれ明らかにされるだろう蘭ちゃんのお誕生日が、全然違う時期だったら、どうしませう。
まあ、その場合も、「このお話は、パラレルなので」と言い抜ける以外、ないですなあ。
こんな妙な事で苦労するなら、2人の再会は蘭ちゃんが高校2年生になる時にすれば良かったよと、思います。

青少年保護条例から行くなら、親が認めた婚約者とかじゃない限り、成人が手を出す相手が16歳以上でも、法律違反ですが。
ワタクシの拘りは、16歳以上、ですね。

なお、今更、言うまでもない事ですが、私は個人的に、現実世界でこのような事を許容しているワケではありません。現実世界で、教師と生徒のエッチなど、とんでもないと思ってます。あくまで、フィクションとして楽しんでいただければ。

この2人、再会してから結ばれるまで14話もかけていますが、作中時間は1カ月半も経ってないです。
で、この先の展開ですが。
まあ、今までと違い、時がポンポンと飛ぶ事になるかなと。

あと、今、一番頭を悩ませているのが・・・何しろ高校を離れて何十年も経つので・・・校内のどこでエッチさせたら良いのかと(☆∈ ====(・・)以下強制終了)


2012年12月17日脱稿
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