夕方から降り出した雨は、ますます激しさを増していた。
客間で1人横になって居ると、寂しさと共に、恐怖感が募ってくる。
突然、一瞬視界が真っ白になった。
その意味に気付いた頃、すさまじい大きさの雷鳴が轟く。
「きゃああああっ。新一っ!」
蘭は堪えられず、廊下に飛び出すと、一目散に新一の部屋へと向かった。
新一の部屋のドアをあけ、中に転がり込むと、驚いて身を起こした新一に飛びつく。
「新一っ!」
新一は、眠ってはいなかったようだった。
「蘭、どうした」
と抱きとめてくれる。
「嫌、嫌、一人は嫌っ。今夜はここに居るっ!」
新一は溜め息をつきながらも、蘭を抱きしめた。
蘭は雷が苦手なのを、知っているのだ。
外は雷鳴。激しい雨。
新一は、蘭の震えが落ち着くまで、優しく抱きしめていた。
☆☆☆
新一は蘭をベッドに横たえると、自分はベッドから抜け出す。
「新一、どこ行くの」
「どこも行かない。ここで付き添ってるから。お前は眠れ」
「嫌、お願い。私の横で、一緒に寝て」
新一は深く溜め息をつく。
「蘭。ききわけのない事を言わないでくれ。俺の方が、それじゃ耐えらんねーよ」
蘭は起き上がって、新一にしがみつく。
「馬鹿、馬鹿、新一の馬鹿っ。雷の事なんか忘れさせてよっ。私を新一で一杯にして。他の事なんか考えられない位に。お願いっ」
新一は呆然として、まさか、と呟く。
「蘭。・・・いいのか?」
蘭は潤んだ目で新一を見上げると、こくんと頷く。
新一が、最初はそっと、やがて力を込めて、蘭を抱きしめる。
抱きしめる腕が、震えていた。
「蘭。俺、絶対途中では止めらんねーぞ。本当に、いいのか」
「新一。私を新一の物にして。心はとっくにそうだけど・・・この体も・・・全部、新一のものにして!」
「蘭、蘭、蘭っ!!」
新一は蘭を抱きしめ、激しく口付ける。
もう、外の嵐は、2人の耳には入らない。
☆☆☆
スタンドの灯りだけが点る暗い室内。
2人はベッドで、生まれたままの姿で抱き合っていた。
新一の胸板と腕は、見た目よりずっとたくましく、素肌が触れ合う感触が心地良い。
ただ裸で抱き合っているだけで、安らぎを覚える。
『でも、これで終わり、じゃないのよね』
蘭は、未知の体験への恐怖に、僅かに体が震えていた。
見上げると、どこまでも優しい新一の瞳があった。
「蘭、愛してるよ」
何度目かの口付けを交わす。
新一の舌が、蘭の唇をそっとなぞったかと思うと、するりと蘭の口腔内に滑り込んできた。
「ん、んん」
思わず声が漏れる。
新一の舌が蘭の舌に絡められ、強く吸い上げてくる。
蘭の体の奥底で、ぞくり、とした感覚が走った。
不快感ではないが、それが何なのか、まだ蘭には判らなかった。
新一は、いったん蘭から体を離すと、じっと蘭を見下ろす。
「やだ、見ないで」
「・・・綺麗だよ、蘭」
思わず、胸と秘所を隠そうとする蘭の手を、新一が掴んで止める。
「隠すなよ」
「や、やだっ」
羞恥のあまり、蘭は赤くなって顔をそむけた。
「全部、俺のもんなんだろ?見せろよ、全部」
「っ!意地悪っ。大体、新一、前に見た事あるじゃないっ」
「へっ?」
「お父さんの同窓会の時、露天風呂で」
蘭が言うのは、新一が何らかの理由で子供の姿になり、江戸川コナンと名乗っていたときの事。
ただし、新一は自分がコナンだったと、はっきり認めたわけではない。
「見てねーよ」
「とぼけないでよ」
「見てねーって。そんなにまじまじとはな」
「えっ?」
間接的ながら、自分がコナンだったという事を認めたような言葉に、蘭は驚く。
けれど、蘭の思考力は、胸を揉みしだく新一の手の感触に、吹き飛んでしまった。
蘭の豊かな胸は、はりがあり、横たわっていてもその形を綺麗に保っている。
「蘭の胸、やわらけー。すっげー気持ちいい」
「な、なにを・・・あっ!」
新一の指が乳房の先にあるピンク色の乳首を擦ると、電流が走ったような感覚に、思わず蘭は声をあげる。
新一の唇が首筋に落とされ、ゆっくりと肌をたどって胸の方へと降りてゆく。
さっき新一の指で擦られて、固くなった乳首を口に含んで吸い上げる。
「ああああんっ!」
今まで感じた事のない感覚に、蘭は体をのけぞらせ、甘さを帯びた悲鳴のような声を上げる。
「・・・ここって、そんなに感じるんだ」
新一の言葉に、激しく羞恥心が込み上げてくる。
「嫌!」
蘭は顔を覆い、涙が頬を伝った。
泣き始めた蘭に、新一が慌てる。
「蘭、今更嫌って言われても・・・」
「違う、違う、違うの」
蘭はかぶりを振る。
「新一が嫌なんじゃないの。私、私、自分が、こんな・・・」
ああ、と呟き、新一は蘭を抱きしめる。
「バーロ。感じるのは、おめーが俺に心を許してるって証拠じゃねーか。何も変なことじゃねーよ」
「いやらしい子だって、思わない?」
「思うわけねーだろ!蘭が俺に感じてくれるなんて、すっげー嬉しいぜ」
そう言いながらも、新一の手と唇は、蘭の体中をたどっていく。
愛撫が加わるたびに、蘭の体は熱をもち、敏感な部分に反応して、あえぎ声が漏れる。
やがて新一の手は、淡い繁みをかきわけ、今まで誰も見たことも触れた事もない、蘭の秘所にたどり着く。
新一の指がそこを刺激し始めると、蘭は今までとはまた違った快感を覚え、体をのけぞらす。
「濡れてる・・・」
新一の言葉に、蘭は真っ赤になる。
「嫌、嫌、そんなこと、言わないでっ」
「蘭。恥ずかしがらなくっていい。俺を受け入れるために、そうなってんだから」
新一は蘭の両足を抱えて広げると、その間に自分の体を入れる。
蘭の秘所が、新一の目の前にさらされる格好になる。
「蘭、すっげー綺麗だ」
自分ですら見た事のないところが、新一の目にさらされている。
恥ずかしさのあまり、蘭はぎゅっと目をつぶった。
新一は、蘭のそこを口に含むと、舌で愛撫し始めた。
さっきから溢れ始めている蘭の愛液が、更に量を増す。
「ああん、そ、そんなとこ、あ、あああっ」
「ん?気持ちいい?」
「嫌、言わないでっ」
「・・・蘭。指入れるぞ」
「え、ええっ?そんなことするの?」
「初めてで、いきなりあれを入れたら、きついから、慣らすんだよ」
蘭は、そう言うものなのか、と思い、けれど、どうして新一がそんな事を知っているんだろう、と疑問に思う。
もしやと思い、悲しくなってくる。
「新一。まさか、経験あるの?」
「はあ?また何変な事言い出すんだよ」
「だって、慣れてる風なんだもん」
「他の女とこんなことする気はねーよ!ったく、どうしてそういう事考えるかな。いつかは、って思ってっから、本で調べたんだよ!」
んな事、言わすんじゃねーよ、とぶつぶつ言う。
「新一、ごめんなさ・・・あう!」
新一の指が入ってくる異物感に、思わず体が固くなる。
「蘭、力抜いて」
言われた通り力を抜こうとするが、なかなかうまく行かない。
それでも、徐々に異物感になれ、新一の指をスムーズに受け入れるようになっていく。
新一は、入れる指の数を、2本から3本へと増やしていった。
「あん、あふ、ん、ん」
蘭のあえぎ声が、一段と艶を増す。
「蘭。・・・いいか?」
新一が蘭の耳元で、かすれた声で訊いて来た。
蘭は赤くなりながら頷く。
初めての時は痛い、という話は聞いていた。
だから、覚悟はしていた筈なのだが。
新一のそれが入って来ようとする時の体を引き裂かれる様な痛みに、蘭は耐えられず、声をあげる。
「ううっ!痛っ!痛い!」
「っ!蘭、力抜いて」
新一の方も、なかなか奥まで進む事が出来ず、きつそうだった。
新一は蘭に優しく口付けを繰り返す。
「蘭、蘭。愛してる。愛してるよ」
手は優しく、胸を愛撫する。
少しずつ、蘭の体から力が抜け、きつくしまっていたそこが、僅かに緩む。
新一はゆっくり蘭の中へ入り込み、奥まで達すると、動きを止めた。
そのまましばらくじっとしていると、蘭の痛みは徐々に落ち着いて来た。
「蘭、わかるか。今俺はお前の中にいる。俺達は今、一つになっている」
痛みのあまりにぎゅっと目をつぶっていた蘭は、新一の優しい声に、目を開けた。
新一の優しい微笑み、どこまでも吸い込まれそうな瞳。
蘭の目からひとすじ涙が零れ落ちた。
「ごめん。痛かったか」
心配そうな新一の声。
「・・・痛かったよ。でも、これは嬉し涙なの!結ばれたって事、嬉しくて・・・。痛いのだって、新一と一つになれた証だもん」
「蘭。俺もすげー嬉しいよ。ありがとう、俺を受け入れてくれて」
再び優しい口付けが降りてくる。
「蘭。もう少し、頑張れるか」
「えっ、これで終わりじゃないの?」
「入れて終わり、じゃねーよ。これから動くから。またいてー思いをすると思うけど、辛抱してくれな」
動く、という意味がよく判らず、きょとんとしている蘭に、新一はまた口付けた。
そしてゆっくり腰を動かし始める。
再び激しい痛みが襲ってきて、蘭は思わず新一の背中に爪を立ててしがみついた。
けれど、徐々に、痛みとは違う感覚が、体の奥から湧き上がってくる。
「あ、あ、新一ぃ、何か、変、変なのお」
「蘭っ!」
「ああああああっ、新一、新一いっ、あああっあんあんああああんんんっ」
蘭は嬌声をあげ、羞恥心も何もかも吹っ飛んでしまっていた。
今まで感じた事のない快楽に体をのけぞらせ、新一にしがみつく。
新一の動きが激しさを増す。
やがて頭の中が真っ白になり、蘭は意識を手放した。
☆☆☆
気がつくと、新一の腕の中で、新一に覗きこまれていた。
「気が付いたか?」
「あ、・・・私」
「失神したんだよ。まさか初めてで蘭があんな風になるとは思わなかったな」
蘭はさっきの事を思い出し、恥ずかしさのあまり、真っ赤になって、顔を覆ってしまう。
「新一、私を嫌いにならないで」
涙声で言う。
「はあ?何で俺が蘭を嫌うんだよ」
「だって、初めてであんなになっちゃうような、す、すけべな子、嫌いにならない?」
「バーロ。あのな、さっきも言ったろ?蘭が俺に心許してくれた証拠だって。嫌いになんかなるわけねーだろ。初めてん時は男だけ気持ちいいって事が多いらしいからな。蘭の方も気持ち良くなってくれて、すっげー嬉しかったぜ」
「新一は?」
「へ?」
「新一は、その、・・・気持ちいいって・・・思ってくれた?」
「すっげー気持ちよかった」
「そう?良かった」
「なに?可愛い事言ってくれるじゃん」
「だって・・・私、気を失っちゃったから、新一がどうだったか、わかんなかったんだもん」
新一は優しく蘭を抱きしめ、口付ける。
今日何度目かわからないキス。
触れ合っている素肌が、さっきの行為の名残で、まだ火照っている。
優しい口付けが、徐々に、熱く激しくなってくる。
二人の体が再び熱くなり始めるまでに、さほど時間はかからなかった。
嵐は何時の間にかすっかり止んでいたが、2人は気付かない。
明日は休日。
2人の夜は、始まったばかり。
Fin.
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