忘れられない景色+(プラス)
(お題提供:「恋したくなるお題」「遥か3お題」16. 忘れられない景色)



byドミ



後ろから抱き締められた後、蘭の体がゆっくりと後ろに倒れる。
見慣れない天井。
新一の部屋に入った事は何度もあったけれども、こうやって天井を見上げることはなかった。

けれど、すぐに、新一の顔で視界がいっぱいになる。
新一の顔が近づき、蘭は自然と目を閉じた。


唇に、馴染んだ温もりが触れる。
新一の舌が蘭の唇の間を割り侵入してきた。
深いキスは、初めてではない。
ここ最近は多くなっていた。

そして、蘭の下腹部がきゅんと疼く感覚も、初めてではなかった。


クリスマスの時も。
年末年始を一緒に過ごした時も。
バレンタインデーの夜も。

そういう雰囲気になりかけながら、けれど一線を越える事なく、ここまで来た。
けれど、今夜の新一は最初から、その気である事を宣言している。
蘭はとっくの昔に、いつか新一に求められる時の覚悟は決まっていた。


新一の唇が離れる。

「蘭・・・」
「し、新一・・・」

蘭の唇から溢れた2人の唾液が混じったものを、新一が指で拭う。

「今日は、おばさんじゃなく、オレの名を呼んでくれよな」
「え?えっ?」
「ことの真っ最中に『お母さん、助けて』って叫ばれたら、オレ、どうしていいか・・・」
「あ、あれはっ!」

蘭は、新一との「芝居」を思い出して、頬に血がのぼるのを覚えていた。

「だ、だってあれは、お芝居だしっ!そ、それに・・・」
「それに?」
「あの時の設定は、好きでもない男の人に凌辱されるって事だったじゃないの!」

蘭は、新一の無神経な言いように、思わず涙を流していた。

「・・・ごめん、蘭。泣くなよ・・・」
「わたしは・・・新一にだったら、何をされてもいいの」
「蘭・・・?」
「そりゃ・・・痛いらしいって聞くけど、でも・・・お母さんに助けを求めるなんて・・・」
「蘭・・・悪かった・・・オレ・・・」
「新一・・・?」
「オレは、ずっと蘭のことが欲しいと思ってたけど・・・蘭は女だし、オレの事を好きでいてくれてるとしても、そういう事は本当は嫌なのかもしれないと思って、つい臆病になっちまってさ」
「嫌じゃ、ないよ・・・そりゃ、怖いし、多分痛くて泣き言も言うだろうけど・・・でもわたし・・・新一に・・・抱いて欲しいよ・・・」

羞恥のあまり、蘭の言葉の最後の方は小さくなっていたが、新一にしっかりと届いていたようだ。
もう一度、深く口付けられる。

「んっ!」

新一の手が蘭の胸に置かれ、ハッキリと意図を持ってうごめく。
胸の下着は着けていない。
布越しに新一の手が蘭の胸の頂をこする感触に、蘭の身を電流が走った。
下腹部がきゅんと甘く疼く。

蘭の唇が解放され、蘭が喘ぐ。
新一の唇が蘭の喉元を這って下へと降りて行く。

「あ・・・んっ・・・」

新一が荒い息を吐きながら蘭のパジャマのボタンを外す。
新一の手が震えていて、なかなか上手く行かない。

『新一も・・・緊張してるの?』

2人共にこの行為は初めての事で、お互いに緊張しても無理はないことであった。
蘭は新一に対して、今まで以上に愛しい気持ちが湧き上がって来るのを感じていた。

蘭のパジャマの上着が広げられたところで、新一は一旦体を起こし、蘭の裸身をジッと見つめて来た。

「すげえ・・・綺麗だ・・・蘭・・・」
「し、新一・・・」
「夢みてえだ。こうやってオメーに触れられるなんて・・・」

蘭はいつの間にか閉じていた目を開ける。
天井を背景にして、新一の顔が目の前にあった。
新一が蘭をジッと見つめている。
新一の眼差しの中には、灼熱の欲望・優しさ・切なさ・愛が入り混じっていると、蘭は感じた。

新一の手が直に蘭の胸に触れる。

「あああっ!」

胸の頂を新一の指でこすられて、蘭は高い声をあげた。
新一が屈み込み、乳首の片方が新一の口に含まれ、強く吸われる。

電流に似た感覚が蘭の身を貫き、蘭はまた高い声をあげた。
それが性行為に伴う快感であることすら、今の蘭にはまだ分かっていない。
蘭の秘められた場所から、何かが溢れて蘭の下着を濡らす。
新一の唇が蘭の腹部へ移り、同時にパジャマのズボンと下着がずり下ろされた。

足が抱え上げられ大きく広げられ、蘭本人も見た事がない秘められた場所が新一の目にさらされる。
蘭は羞恥で顔面に血が上っているのを感じていた。
新一が屈み込み、蘭の花びらと花芽を舌先で愛撫し始めた。

「あ・・・やっ!新一、そんなとこっ!」

新一になら何をされても良いと本心から思っているが、蘭の羞恥心は頂点に達していた。
けれど、弱々しい蘭の抵抗にも新一の行動は止まらない。
そして、蘭の羞恥心を凌駕する感覚が、湧き上がってくる。
敏感な花芽を刺激され、蘭の頭は白くはじけた。

「あっやっ・・・はあああんん!」

蘭は荒く息をつきながら、手足が痙攣したようにビクビクと動くのを感じていた。
一体今のは、何だったんだろう?

ぐったりして息を整えていると、蘭の上に新一の顔が見えた。
いつの間にか新一も自分のパジャマを脱ぎ捨てている。
水着姿などで見たことはあるが、服を着ている時には気付かない胸板の厚さと逞しさに、蘭はドキドキした。
そして、新一の下腹部には、蘭が初めて見るものがそそり立っていた。

思わず目が泳いでしまった蘭の頬を、新一が手で挟むように優しく拘束した。

「蘭。入れるよ」
「え?あ、待っ・・・」
「待たない。もう、これ以上、待たない」


新一が蘭の足を大きく押し広げ、そして、蘭の中に灼熱の塊が押し入って来る。
今までの快感全てを打ち消すような痛みが走った。

「う・・・あ・・・いたっ・・・ああっ!」

耐え難い位に痛くて・・・けれど、ここに確かに新一がいると感じて、蘭は必死で痛みに耐える。

「蘭・・・ごめんな・・・愛してるよ・・・」
「・・・んっ・・・くっ・・・!」

蘭は、呻き声をあげるのが精いっぱいで、新一の名を呼ぶどころではない。
初めて男性を受け容れる蘭の入り口は狭く、新一のモノはそこを無理やり押し広げるように入って来る。
蘭の眦から涙が溢れて落ちた。
やがて新一の動きは止まった。
蘭の下腹部は痛みと痺れで、何が何だかよく分からなかった。

「蘭・・・オレの・・・オメーの中に、全部入ったぜ」
「し、新一・・・」
「オレ達、今、1つになってんだよ。分かるか?」
「新一・・・うん・・・わかるよ・・・」

新一と蘭はお互いの背中に手を回し、キュッと抱き締め合った。

「蘭。大丈夫か?」
「うん。嬉しいよ、新一・・・」

痛みに気が遠くなりそうだったけれど、新一と結ばれて嬉しいのも事実だった。

新一が腰を動かし始めると、また痛みがぶり返した。
蘭は新一にしがみ付いてそれに耐えた。

「蘭・・・蘭・・・っ!」
「あ・・・う・・・新一・・・っ!」

やがて、新一の動きが止まり、蘭の奥で新一のモノが脈動するのを、蘭は感じていた。
ややあって、新一が蘭の中から己を引き抜いた。
新一は優しく微笑み、蘭の頬に口付けた。

「蘭・・・ありがとう・・・」
「新一?」
「オレを受け容れてくれて・・・オレ、スゲー幸せだ」
「わたしも、幸せ・・・」
「蘭?でもまだオメー・・・痛いばかりで、気持ち良くなかっただろ?」
「気持ちイイとか何とか、そういうのは分からないけど・・・でも・・・体いっぱいで新一を感じられたんだもん・・・」
「蘭・・・」

新一が蘭の唇に触れるだけの口付けを送り、蘭は本当に幸せだと思った。



   ☆☆☆



新一が、濡らしたタオルを持って来て、蘭の下半身を綺麗に拭ってくれる。
いつの間にか新一は避妊具を準備していたので、蘭の中に新一の精は放たれていないが、蘭自身の体液と破瓜の血が流れたのだった。
下腹部に残る違和感と痛み・・・それすらも、新一と結ばれた証であると思えて、蘭は幸せだった。

「新一・・・わたし、不安だったの・・・」
「・・・何が?」
「新一が、いつか、わたしを置いて行ってしまうんじゃないかって・・・」

それまで、蘭を抱き締め、その髪を撫でていた新一が、跳ね起きた。

「はああ!?何だよ、それ!?せっかくやっと手に入れた蘭をオレが置いてってしまう?んな事、ある訳、ねえだろうが!そんなにオレは信用ならねえか!?」
「あのね、新一。違うの。ちょっとだけ、話、聞いてくれる?」
「あ、ああ・・・」

新一は、不承不承といった体で、口を閉じた。
その表情がむすっとしているので、蘭はおかしくなった。

「新一がコナン君だった時。新一の戦いは、苦しかったかもしれないけど・・・でも、戦いが終わった後の平和に、馴染む事ができていないんじゃないか、新しい戦いを刺激を欲しるんじゃないか、いつか我慢できなくなって、飛び立つんじゃないかって・・・」
「・・・戦争とかで、それが心理的トラウマになって、平和な状態では落ち着けないヤツが大勢いる事は知ってっけど。でも、オレは・・・」
「新一、自分で気付いてなかったみたいだけど。時々、何だか苦しそうにしてる時があったの」
「はあ?」
「何だか、満たされないような、苦しそうな表情で・・・で、わたしね、実はそれを、読み誤ってたの・・・」
「ワケ、解んないんですけど・・・」
「あ、あの、あのね・・・」

蘭が、真っ赤になって口ごもる。

「おい。そこまで話引っ張って置きながら、何だよ!?」
「・・・わたし、わたしが想像してたよりずっと、新一に愛して貰ってたんだなあって、今、とても幸せ!」
「は?何、1人で納得してんだよ!?」
「うん、だからね、その・・・新一が、わたしに手を出さずに我慢してくれていたのを、わたしが、誤解してただけ」

蘭が、少し舌を出して、恥ずかしそうに言って。
新一は、意味が分かると、耳や首筋まで真っ赤になった。


「間違うにしても、程があるだろ!」
「うん。だから、ごめん」
「ったく!オレの18年・・・いや、もうすぐ19年の、思いの丈を知れ!」
「えっ!?新一、何を・・・きゃあっ!」


蘭の為に、蘭を怖がらせまいと、蘭を苦しめまいと、必死で自分を抑え続けていた新一は、蘭の勘違いを知り、何かが切れたようである。
今夜は一度だけでそれ以上求めるまいと思っていたようだが、遠慮は無用だったとばかり、再び新一の愛撫が開始された。


「んっ!」
「ごめん。辛いか?」
「だ、大丈夫・・・」

新一が再び入って来た時、痛みに身を強張らせた蘭を見て、さすがに新一も少し焦ったようだった。
ただ、最初の時に比べ痛みは随分と軽くなっていたし、新一が蘭の中で動くと、最初の時には感じられなかった高まりが、蘭を襲い始めた。


「あ・・・や・・・はあ・・・新一・・・ああ・・・何だか変なのぉ・・・」
「蘭っ?大丈夫か?」

蘭の変化に、新一が驚いて一旦蘭の中から己を引き抜く。
蘭は喪失感に身を震わせ、新一にしがみ付いた。

「い、いや・・・新一・・・やめないで・・・」
「蘭!?」
「お願い・・・」
「もしかして、オメー、感じてんのか?」
「意地悪!」

新一がまた蘭の中に入って来る。
蘭は思わず歓喜の声をあげた。

「蘭・・・蘭・・・はあ・・・たまんねえ・・・スゲー気持ちイイっ!」
「ああ・・・新一・・・新一ぃ・・・はあ・・・やああん!」

蘭もいつの間にか腰を揺らし始め、2人はお互いを貪り合うように激しく動いた。
やがて、新一も蘭も上り詰める。

「くうっ・・・はあっ・・・蘭・・・イク・・・っ!」
「あああっ新一ぃっ・・・んあああああっ!」

新一が膜越しに熱い欲望を放つと共に、蘭も上り詰めて新一にしがみ付きながら背中を反らした。

2人はゆっくりと弛緩し、微笑み合い、口付けを交わした。

「蘭。イッタんだね」
「あれが、そうなの?」
「・・・多分」
「あんな風になるんだ・・・何だかわたし・・・すごくエッチになりそう・・・」
「そりゃ大歓迎だが、相手はオレだけにしてもらいたいもんだね」
「何よ、当たり前じゃない!他の男の人には触れられるのも嫌だもの!新一の方こそ・・・!」
「ああ。オレは、オメーじゃなきゃ勃たねえから、他の女の人とって無理」
「えっ!?」
「オレは、オメーにしか反応しねえんだよ。だから、浮気しようにも、物理的に無理だっての」
「そ、そういうもんなの?」
「ああ・・・・・・っと!やべ・・・」
「どうしたの?」
「また、勃っちまった」
「えっ!?」
「また、入れさせて」
「え?ええ!?ちょちょ、ちょっとー!新一のスケベ、エッチ―!」
「蘭相手なら、際限なくエッチな男だよ、オレは」

タガが外れてしまった新一の欲望には本当に際限がなく、蘭は幾度も求められ・・・蘭も本気で「嫌」な訳ではない為、本気で抵抗できず。
その後、数回繰り返された行為に、蘭は早くもスッカリ慣れてしまい、苦痛よりも快楽が大きくなったのだが・・・快楽であっても繰り返されると、とても疲れるものだという事を、知る羽目になったのだった。



Fin.


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<後書き>


シーンそのものを書くのは蛇足かなあと思いつつ。
ありがたい事にご要望もございましたので、書かせていただきました。


2013年9月30日脱稿
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