2004年工藤新一お誕生日記念小説〜番外編〜



プレゼントじゃないの



byドミ


5月4日、工藤新一が18歳になる、19回目の誕生日。

工藤新一の幼馴染兼恋人である毛利蘭は、朝から工藤邸に来て、豪華な朝食とレモンパイを作り、新一に今日と言う日が新一自身の誕生日である事を伝えた。

その日は丸一日、非常に珍しい事に事件に遭遇する事も、新一が警察から呼びつけられる事もなかった。
映画を見て、町をぶらついてふと気に入った店に入って買い物したり、お茶を飲んだり・・・そういったゆったりした楽しい時間を2人は過ごした。



『そう言えば、まだ貰ってねえけど、蘭のプレゼントって何なんだ?』

ふと新一は疑問に思う。
映画のチケット自体は、新一が以前から準備していた前売り券だったし、朝のレモンパイや朝食を除き、今日のデート自体は誕生日だからと言って特別なものではない。

で、新一は、「プレゼントはもう用意してるんだよ」と言った蘭のプレゼントを、実はまだ貰っていないのだった。

「ねえ、新一。買い物して帰ろうよ。今夜は新一の好きなものを作ってあげるからね」

蘭の言葉で、新一は蘭が夜まで工藤邸に居るつもりだと知る。

まあ明日も休日だから、多少遅くなっても大丈夫なのだろうと新一は思う。
そして2人は、近所のスーパーで買い物をして工藤邸へと向かった。



工藤邸への帰り道、欄は俯き加減で、段々口数が少なくなる。
別に機嫌が悪くなっているようではないし、疲れたとか具合が悪いとかでもなさそうなのだが。



  ☆☆☆



工藤邸の台所で、2人仲良く料理を作る。
これは2人が恋人同士になる前から時々あった光景だ。

蘭は笑顔になったり、時々何か考え込んで上の空になったり、明らかに様子が変だった。

「・・・?蘭、どうしたんだ?鍋、吹いてるぞ」
「え?あ、うん・・・あっ!」
「蘭っ!」

料理を始めても、蘭はどこか心ここにあらずの様子だった。
蘭は新一に声を掛けられ、慌てて鍋の蓋を取ろうとして、蒸気を掌に当ててしまう。
新一がすばやく火を止めると、水道の蛇口をひねり、蘭の手を取って有無を言わさず流水に手をさらした。

「新一・・・」
「ったく、気を付けろよ!火を使ってる時に考え事をしてんじゃねえ!」
「ごめ・・・んなさ・・・い・・・」

蘭が本当に申し訳なさそうに消え入りそうな声で謝ったので、新一はつい声を荒げてしまった自分を恥じた。

「あ・・・俺こそごめん、つい怒鳴っちまって」
「ううん。私を心配してくれての事、でしょう?」

すぐに充分流水で冷やした為に、幸い火傷にならなかった手を見ながら、蘭が言った。
この位の火傷だったら負ってもすぐに治るだろうが、やはり蘭に痛い思いはして欲しくない新一としては、素早い処置で無事火傷を免れた事にホッとする。

「新一。ありがと」

蘭が微笑み、お礼の言葉を言った。

何か心配事がある様子ではない。
けれど、蘭が何か考え事をしているのは確かなようで、新一は気がかりだった。



  ☆☆☆



2人で作ったご飯を食べて、2人で後片付けをして。
楽しい時間が過ぎ、蘭の口数が段々少なくなって行く。
新一は、そろそろ別れの刻限が近付いている、と思った。


「蘭・・・もう、そろそろ・・・」
「あっ!!」

新一が言い掛けると、蘭はわざとらしく大きな声を上げた。

「な、何だよ・・・」
「新一、ちょっと待ってて。プレゼント、持って来るから」

そう言った蘭が、バタバタと客間に向かって行く。

客間に荷物を置いていたのか、と新一は思う。
朝新一が目覚めた時は、既に蘭は合鍵を使って上がりこんでいたし、その後はそんな事を気にする間もなかったのだったが。


手にラッピングした箱を持って戻って来た蘭は、常になく緊張している様子だった。

「あ、あの・・・新一、これ・・・誕生日、おめでとう・・・」

赤くなって緊張し手が震えている蘭がそう言って箱を差し出し、新一はそれを受け取った。

小さな箱だったが、持ってみて新一はその軽さに驚く。
心なしか、蘭はとても強張った顔をしていた。

「あ、ありがとな。開けても良いか?」

新一が照れながらそう言うと、蘭も真っ赤な顔で俯いて、消え入りそうな声で答える。

「う、うん・・・」

そして新一は、ゆっくりと包みを開けた。

「!!!!」

思いがけない中身に、新一は驚愕する。
生まれてこの方これ程に驚いた事があっただろうかと思う程だった。

包みの中にあったのは、「ゴム製の避妊具」が入った箱だったのである。


新一は、信じられない思いで蘭を見る。
蘭は俯き、緊張して震えている。

「蘭・・・これって・・・、使って良いのか?」

新一がようやく声を絞り出して問うた。


「こ、今夜は・・・園子と一泊旅行するって言って出て来たから・・・」

それが、蘭の答。
新一は震えそうになる腕で、力がこもりそうになるのを抑え、なるべくそっと蘭を抱きしめる。
蘭の体も、小刻みに震えていた。

新一は、かすれかけた声で言った。

「蘭・・・まさか誕生日プレゼントが・・・蘭本人だなんて・・・思ってなかったぜ」

すると、蘭はぴくりと体を震わせ、抗議の声を上げる。

「ち、ちがっ・・・!!」
「え?違うのか?」
「だ、だってっ・・・!それじゃ私がまるで・・・も、物みたいじゃない・・・」
「・・・蘭を物扱いしてる気はねえよ」
「あ、ご、ごめんなさい。新一が私を物扱いしてるって意味じゃなくて・・・そうじゃなくて・・・うまく言えないけど、あの・・・『それ』が誕生日プレゼントってのは、何だか違うと思うの。私が拘ってるだけなの。だから、気にしないで」

新一は、何となく蘭の拘りがどこにあるか解るような気がしたので、それ以上は何も言わず、蘭の唇を自分のそれで塞いだ。


新一は、知らないしこの先も知る事はないだろう。
蘭が「プレゼントじゃない」と言い張った本当の意味を。

「プレゼントじゃないもん。だって・・・そうなる事を望んでいるのは、私も一緒だから。2人とも望んでいる事なら、どちらかからどちらかへのプレゼントには、ならないでしょう?」

蘭の心の声が新一に届く事はない。



けれど、お互いに解っていた事もある。
何も、物とかお金がプレゼントなのではない。
相手を想う気持ちが最高のプレゼントであるという事が。



「本当に、良いんだな?」

新一が念を押すように言った。
蘭が恥ずかしそうにしながらもこくんと頷く。

新一は再び蘭を抱きしめると、激しく唇を奪った。

繰り返される口付けは徐々に深くなる。
力の抜けた蘭を新一は静かにソファーの上に横たえた。

ジーンズの後ろポケットに入っている携帯のストラップが僅かに音を立て、新一はハッとする。
今、この時だけは誰にも邪魔されたくなかった。
新一は蘭を抱きしめて口付けたまま、片手で器用に携帯の電源を切った。


蘭のわずかに開いた唇の隙間から、新一の舌が入り込み、蘭の口腔内を犯す。

「う・・・ん・・・」

蘭のくぐもった吐息のような声が漏れる。

新一が蘭の唇を開放すると、蘭の目は潤み、頬は上気し、濡れた唇の端から2人の唾液が交じり合ったものが零れ落ちていた。
新一はその唾液を舐め取り、そのまま唇をずらして蘭の首筋に移動させた。

「あ・・・」

蘭の体がぴくんと動いた。

「し、新一・・・お願い、待って」

蘭の首筋に舌を這わせ、蘭の胸を服の上から揉みしだいていた新一が、顔を上げる。

「蘭・・・けど俺、もう止まりそうにねえ」
「あの・・・ここじゃやっぱり・・・それに、汗かいてるし・・・シャワーを浴びたい・・・」

新一は、一瞬蘭を開放するのを逡巡する。
けれどお互い初めてで、無理は禁物だと自分を宥めた。

『蘭が精一杯の事をしてくれてるのに、がっついてどうするよ。しっかりしろ、工藤新一!』
「わーった。じゃあ俺もシャワー浴びっから・・・」

幸い、工藤邸にはバスルームが複数ある。
工藤邸のセキュリティはしっかりしているが、それでも念の為、蘭には2階のバスルームを使わせ、新一は1階の分を使った。


新一がシャワーを浴びて出てくると、タイミング良くと言うべきか、工藤邸の電話が鳴った。
新一は逡巡したが、流石に無視する訳にも行かず、電話に出た。

電話は目暮警部からで、流石に新一は少し舌打ちしたい気持ちになる。
しかしそれを抑え、まず高木刑事が居ないか訊き、交代してもらった。

「ちょっと今は、抜けられない用事があって・・・詳しく状況を話して頂けますか?」

高木刑事の状況説明は、判り易い。
新一は詳しく事情を聞き、ヒントを出す。
どうやらそれだけで、高木刑事にはこの事件が解決出来そうだった。
そう見極めて、新一は息を吐いた。



「じゃあ高木刑事。今夜はこれ以降、俺に連絡が取れないものと思って下さい。健闘を祈ります」

新一はそう言って電話を切った。



  ☆☆☆



新一が電話を切って2階に上がると、蘭はまだ入浴中のようだった。
以前露天風呂で垣間見た蘭の体を思い出し、新一は頭に血が上りかける。
慌てて気を落ち着かせようと深呼吸した。
柄にもなく緊張しているのが、自分でもよくわかった。

新一が自室で待っていると、風呂上りの蘭がドアを開けておずおずと入って来た。
新一が手招きすると、恥ずかしそうに寄ってきて、ベッドに腰掛けた。
蘭が今身に着けているのは、寝巻き代わりにもなる部屋着だが、可愛いお洒落なデザインのものである。
今日と言う日の為に、色々吟味したのだろうと新一は思う。




はっきり言って、新一には余裕など全くない。
下手すると頭に血が上り鼻血が出かねないので、出来るだけゆっくり深い呼吸をして心を落ち着かせようとする。
けれど動悸は速くなる一方だった。





新一が蘭を抱き寄せようとすると、蘭が消え入りそうな声で言った。

「新一・・・お願い・・・明りを・・・」

蘭に乞われて新一は、スタンドの明りだけを残し、ルームライトを消した。
蘭の姿をはっきり見たいのは山々だったが、蘭を萎縮させたくなかったし、新一自身が、強い視覚刺激で自分がどう変化するものか予測不能で自信を持てなかったのだ。




新一は蘭を抱きしめて、深く口付ける。
口付けあったままに、ゆっくりとベッドに倒れこんだ。


新一は蘭の口腔内に自分の舌を侵入させ、蘭の舌を絡め取ると同時に、掌は蘭の胸を服の上から揉みしだいていた。

「んん・・・ふ・・・・」

蘭がくぐもった声を出し、身を僅かに捩った。
2人の唾液が交じり合ったものが、蘭の口の端からこぼれて流れる。


長い口付けの後、新一は一旦体を起こし、蘭の顔を見詰めた。
蘭の顔は上気し、目は潤んでいる。
蘭の瞳の中には、確かに新一と同じ望み、同じ欲望の色がある。

蘭自身が新一とひとつになる事を望んでいる。
新一はそう確信し、歓喜していた。


新一の唇が蘭の首筋に落とされ、ゆっくりと下の方にたどって行き、柔らかな胸の膨らみへと至った。

「あ・・・ん・・・」
「綺麗だよ・・・蘭・・・俺の、蘭・・・」

「ん・・・あ・・・はあああああん!」

新一が蘭の胸の赤く色付く果実を口に含んで舌先で転がすと、蘭は身をのけぞらせて甘い声を上げた。
蘭の全身を隈なく指と唇で触れて行くと、蘭の美しい透き通った肌が、赤く色付いて行く。

新一の指や唇が触れる度に蘭の体がピクリピクリと反応し、その唇からは今までに聞いた事がない甘い声が漏れる。
新一の指が蘭の淡い茂みの奥にある秘められた場所に触れた時、そこは既に蜜を滴らせていた。
そこに触れられて、流石に蘭は身を硬くする。

「あ・・・!やっ、新一・・・!」
「蘭・・・嫌だっつっても、俺、もう止まんないぜ」
「・・・あっ・・・!」

新一の指が蘭の秘められた花を少しずつ開かせて行く。
蘭は恥ずかしそうに身をよじりながらも、抗わなかった。
今日という日は覚悟を決めていたのらしい。
新一は恥ずかしそうにしながらも新一を受け入れようとしている蘭の姿に、愛しさが募るのを感じていた。


新一が蘭の足を広げようとすると、蘭は反射的に足を閉じようとした。
新一は無理に力ずくで事を進めようとはせず、蘭の太腿の内側を静かに撫で、蘭の緊張が落ち着くのを待った。
蘭が力を緩め、新一が蘭の足を開くのと同時に、新一は足の間に自分の体を滑り込ませた。


「あ・・・や・・・新一、見ないで・・・」

新一が蘭の秘められた花を凝視していると、蘭が顔を真っ赤にしてそう言った。

「蘭。綺麗だよ。オメーのここも・・・とても綺麗だ・・・俺だけの・・・」

そう言って新一は蘭のその場所に口付けた。

「あ・・・!やあ、新一・・・!そんなとこ・・・きたな・・・」
「蘭の体で汚ねえとこなんてねえよ。それに・・・良い匂いがする・・・」
「ば、馬鹿っ!」

蘭は抗議の声を上げたが、蘭のその場所は本当に、先程から芳香を放っているのだった。
それが欲情した時に出す女の香りである事を、多分蘭はまだ知らないのであろう。


新一は、初めて触れるそこに丹念に愛撫を施して行った。
蘭は何度も甘い声を上げ体をしならせ、蘭の秘められた場所から滴る蜜が増え、新一を受け入れる準備は充分に整ったようだった。
とは言え、まだ男性を受け入れた事がない蘭だから、「スムーズに」とは行かないであろう事は予測できた。



個人差があるとは言え、女性は初体験で強い痛みを伴う事が多いと聞く。
けれど新一はこれ以上我慢出来そうになかった。


そこで初めて、新一は蘭のプレゼントの箱を開けた。
袋を取り出し破き、中から取り出したものを自分の硬く屹立した分身にかぶせて行く。

初めての事で慣れないのと緊張ゆえ、その作業もなかなかうまく行かず、袋を3つ破く羽目になった。

何とかうまく装着して、改めて蘭に向き直る。

蘭は硬く目を瞑って、身動きひとつせずに待っていた。
その体が微かに震えている事に新一は気付く。

愛しさが溢れ、新一は蘭の体を1度ぎゅっと抱き締めた。

「蘭。愛してるよ。オメー一人だけだ、今までも、これからも」
「新一・・・私も・・・新一だけ・・・ずっとずっと・・・」

新一は再び蘭の唇を深く求めた。
蘭の体の微かな震えは、いつの間にか止まっていた。



蘭の入り口に自分の猛った分身をあてがう。
蘭がビクンと身を震わせた。

「蘭。入れるぞ」

蘭が微かに頷くのを見て、新一は腰をぐっと進めた。

蘭の入り口は狭くきつく、なかなか入る事が出来ない。

「あ・・・つぅ・・・」

蘭の苦痛の声に、互いが望んだ事とは言え、新一は罪悪感を抱かざるを得ない。
苦しめたくない大切な相手に、他ならぬ自分自身が苦痛を与えているという事に。

けれど同時に、その苦痛を蘭に与えているのが自分だという事に、蘭がその苦痛をおして自分を受け入れようとしてくれている事に、大きな喜びを感じてもいた。


愛の言葉を囁き、口付けを交わし、蘭の体を愛撫している内に、蘭の入り口がふと緩み、新一は一気に蘭の中に入った。

「あっ・・・!」
「・・・っ!蘭。俺がオメーん中に入ったの、分かるか?」
「うん・・・分かるよ、新一・・・」

初めて入った蘭の中は、熱く柔らかく新一のものを包み込む。
どうしても苦痛が大きいらしい蘭とは裏腹に、新一はそれこそ「天国にも上る気持ち良さ」を味わっていた。
夢の中や想像での時とは比べ物にならない。

愛する人と結ばれるというのは、精神的にも肉体的にも、これ程に気持ちの良いものだったのかと、改めて思う。
けれど一方で、それは女性側には苦痛やリスクを伴うものでもある事も新一は知っている。

蘭のことは生涯大切にするから、と新一は心の内で誓っていた。


「蘭。動くぞ」
「うん。・・・・・・っ!うっ・・・!」

一旦おさまった蘭の痛みも、新一が動く事で再びぶり返したらしい。
蘭の顔が苦痛に歪む。

「ごめ・・・蘭。・・・俺・・・手加減・・・出来ねえ・・・」

新一は激しく腰を動かし、蘭の中に入っている新一の分身は、蘭の奥深くを何度も突き上げる。

「あ・・・はあ・・・ああ・・・んんああっ!新一・・・っ!」

蘭の中に溢れる蜜が量を増し、蘭の内部のひだが熱く新一のものに絡み付く。
蘭の顔に浮かぶ色が苦痛だけではなくなり、声が甘く艶のあるものに変わって行く。

蘭の変化を見て取って、新一は歓びから更に激しく腰を打ちつけた。

蘭がひときわ高い声を上げて果てた時、新一も熱いものを蘭の中に吐き出した。





新一はゆっくりと蘭の中から自身を抜き出した。
蘭の入り口からは、赤いものが混じった蘭自身の体液が流れ出している。
新一自身の体液は、全て「蘭のプレゼント」であるゴム製品の中に納まっている。

余韻に浸って暫く蘭の中に留まっておきたいところだったが、そうするとせっかくのゴム製品の意味がなくなってしまう。
だから自分の体液がこぼれ出す前に、新一は蘭の中から自身を抜き出したのだった。

今日18歳になった新一は、いざとなれば責任を取れない事はないし、そのつもりも充分あるけれど、やはりまだ高校生である大切な女性に、色々と苦労をさせる事態は避けたいと思っていた。


新一は、数年後には絶対に蘭と、社会的に認められた夫婦になる気でいる。

新一は生涯、蘭以外の女性を愛する事はないと思っているし、蘭以外の女性を「知る」つもりも毛頭ない。
蘭はそこまで深く考えていないのだろうと思うけれど、新一自身は今夜の事は、蘭と2人だけの婚礼と捉えていた。


「蘭。ありがとう。最高のプレゼントだったよ」

新一が蘭の耳元でそう囁いた。


「だ、だからっ!プレゼントじゃないって、言ってるでしょ!」

蘭が体を起こしかけてそう抗議するのを、新一は優しい目で見詰めて言う。

「んだからさ、蘭を物扱いしてるわけじゃねーって。俺がプレゼントって言ったのは、蘭の気持ちが嬉しいから出ただけだよ」

そう言って新一は蘭の唇を塞ぐ。

結ばれたばかりの2人の熱い夜は、まだ終わらない。

この日、蘭の「プレゼント」であるゴム製品がいくつ消費されたのかは、2人だけの秘密である。



Fin.



++++++++++++++++++


プレゼントじゃないの・後書き


この話は、勿論お気付きと思いますが、表の連作で「工藤新一くんのバースデーに初めて一線を越えた2人」の、表では描けなかった部分です。
仕上げるまでに何ヶ月掛かってんだか(苦笑)。

えっと、蛇足ながら、何故18歳が「19回目」の誕生日かは、わかりますよね?


さて、ここで披露した「蘭ちゃんのこだわり」は、私自身の拘りでもあります。

女性の方が初体験においては多大な苦痛を伴う事が多く、不幸な初体験はトラウマになり易く、また妊娠などのリスクも負う為、バージンを「あげる」「捧げる」って感覚になってしまうのはよくわかります。

でもねえ、好きな人とひとつになるのは、女の方も望んでいる事なんではないか?と思うわけですよ。
男性と同じような「欲望」の感じ方ではないでしょうけど。

だから私は、新蘭の初体験が、一方的に「新一くんだけが良い思いをする」とか、「蘭ちゃんが新一くんへの捧げものになる」とか、「新一くんが蘭ちゃんを奪う」って形で描きたくはないのです。
勿論、新一くんは蘭ちゃんへ感謝の気持ちを持つでしょうし、蘭ちゃんが「新一くんの為に」苦痛を堪える、って事はあると思いますが。基本的に、新一くんと一線を越えるのは、蘭ちゃんにとっても幸せな事である筈だと思ってます。


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