First Love,Eternal Love UNDER



byドミ



クリスマスプレゼント



2人で将来を誓い合ったクリスマスイブの夜。
新一と蘭は東都タワーに程近いホテルの一室に居た。
「高校生の身には贅沢だけど予約した」のは、ディナーの席だけでなく、ホテルの事も指していたらしい。



クリスマスイブの今夜、既にうっすらと雪が積もり始めていた。
ディナーの予約をした東都タワーのすぐ傍にホテルを取っていて良かったと、新一はほっとする。
今日の蘭はいつもと違う大人っぽいドレス姿で、靴もそれに合わせて新一の母・有希子が特注していた服と同じワインレッドの洒落たパンプス。
蘭の足に合っており、見た目よりはずっと歩きやすいが、それでも雪道を長時間歩ける代物ではない。



部屋に入ると、蘭はコートを脱いだ。
大きく開いた胸元と背中が艶めかしい。

「凄く綺麗だよ、蘭」

新一は蘭にさっきレストランで言えなかった言葉を告げる。

「ホント?でも、新一この格好何となく嫌そうじゃなかった?」

妙なところで鋭い蘭に、新一は苦笑する。

「恋人の綺麗な姿を他の男に見せたくないだけだよ」

プロポーズを受けてもらったばかりのせいか、今日は素直に言葉が出る。

「あの・・・それって・・・まさかと思うけど、焼餅なの?」
「んだよ・・・俺が妬いちゃおかしいか?」
「ううん、そんな事・・・でも、新一が焼餅を妬く様な事ってきっとないと思うから」

新一の思い人は、自分がどれ程男心をくすぐる容姿をしているか、どれ程男たちの熱い視線を集めまくっているか、全く自覚がないのだった。

新一と愛し合うようになってからは、以前にも増して美しくなった事にさえ、まるで気付いていないのだ。
この先も気苦労は耐えないだろうなと新一は苦笑する。



  ☆☆☆



蘭は羞恥に頬を染めながらも新一に素直に体を開く。
深く信頼し、愛する相手に、安心し切って全てを任せる。

「蘭・・・」

自分に全てを委ねてくる蘭が、新一は愛しくてたまらない。

「愛してる、愛してるよ」

新一にとっては、快楽を得たいという欲望より、身も心も1つになりたいという欲望の方が遥かに強い。

「あっ・・・」

初めて新一に抱かれたときの蘭はいわば固い蕾だった。

「新一・・・」

今は大輪と咲く花。
開花させたのは新一。
それはテクニックなどではなく、溢れる気持ちのままに愛おしんだ結果。

「んあっ、はっ・・・あああん」

新一の愛撫に応えて、肌が赤く色付き、甘さを帯びた声を上げる。

「新一、新一、ああっ・・・愛してるわ・・・」
「蘭・・・」

これからも愛情を注ぎ続け、この花を決して枯らすような事はしない。

「蘭、俺も、愛してる」







新一の愛撫に応え、充分に潤った蘭のそこに、新一は蘭を欲しがって屹立した自身を入れようとする。

「あ、ま、待って、新一」

蘭の声に、新一は動きを止める。

「ん?蘭、どうした?」

優しく問う。

「あの、あの、あのね・・・お願いがあるの・・・」

真っ赤になって告げる蘭。
その困ったような上目遣いの眼差しもとても可愛いと思ってしまう新一だった。

「お願い?」
「あのね・・・」

蘭がきゅっと目を瞑った後おねだりした言葉に、さすがに新一も動揺して焦った。









「私・・・あなたの子供が欲しい」









「新一?」

難しい顔をして考え込んでしまった新一に、蘭はおずおずと声を掛ける。

「ごめんね・・・もしかして迷惑だった?」
「い、いや。俺にとって迷惑なんて事はねーよ。けど・・・俺は高校生だし・・・マスコミの餌食になったりして辛い思いをするのはおめーの方だぞ」
「覚悟はしてる。今からだったら、出産は20歳になってからだし、お母さんが私を産んだのと同じ年だもん。私ね、万一の時のあなたの身代わりなんて事考えてるわけでもない。ただ、うまく説明出来ないけど・・・誰よりも愛してる人の子供が欲しいって、ただ、そう思うだけ」
「蘭・・・」
「それに、新一、5月4日には籍を入れてくれるんでしょ?だったら、未婚の母にはならないし」

蘭の笑顔に、新一はいつの間に蘭はこれだけの強さを身に付けたのだろうと思う。

『いざとなったら女の方が強いってよく聞くけど、それって真実かもな』







新一は素早く頭の中で計算する。

はっきり言って今は「危険日」、避妊しなければ子供が出来る確率は非常に高い。

けれど――



新一は、自身に嵌めていたものを外す。
そして再び蘭を抱きしめる。

「蘭、いくぞ」

新一のものが蘭の中に入っていく。

「んああああああっ」

蘭が仰け反り甘い悲鳴を上げる。

「くっ・・・!」

新一の方も、膜越しでなく直接蘭の内部に触れる快感に我を忘れそうになる。



誰よりも愛しい相手。

その女性に自分の子供を産んで貰えるのなら、こんなに嬉しい事はない。

けれど、何があっても蘭をマスコミの餌食にするわけにはいかない。

新一はある決意を固めていた。







この夜はいつにも増して、2人激しくお互いを求め合い、新一は何度も蘭の中に熱いものを放った。







そしてこの夜、蘭が新しい命を宿した事を2人が知るのは、もう少し先の事になる。





Fin.



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