First Love,Eternal love UNDER



byドミ



番外編・密やかな・・・


(この話は、表の(11)First Loveの、新一と蘭の初夜のお話です)





新一はそっと蘭をベッドに横たえた。
そのまま覆い被さって抱き締め、キスを繰り返す。
僅かに開いた蘭の唇の隙間から、新一の舌が滑り込むと、蘭の体はビクンとはねた。
新一の舌が蘭の口の中を丹念に這い廻る。

「んん、ふんん」

蘭のくぐもった声が漏れた。
新一の舌は蘭の舌を探り出すと、絡めて吸い上げる。

蘭の体の奥が、ざわざわとざわめき出す。
蘭はその言い知れぬ感覚に怯え、体が震えた。

新一が唇を離し、蘭をじっと見詰める。
その視線に、尚更体の奥がうずきだす。

「怖い?」

新一が優しい声で問うてくる。

「ううん、大丈夫」

そう答えながらも、蘭の体は小刻みに震えている。
蘭の方から迫ったものの、これからどういう事が起こるのか、蘭にはその方面の知識は皆無に等しい。
怖く無いと言えば嘘になる。
けれど、今怖いのは、自分の中でざわめき始めた、言いようのない未知の感覚だった。

新一の手が蘭の背中を這い回る。
新一が蘭のサマードレスを脱がそうとしてファスナーの留め金を探しているのに気付いたが、恥ずかしくて自分から脱いだりなど出来ない。
蘭は羞恥を堪えながら、心もち背中を上げ、新一が脱がせやすいようにする。
新一が探り当てたファスナーの金具を降ろす微かな音が聞こえ、その後、一気にサマードレスが足元まで引き降ろされる。

「あっ、やっ」

蘭が思わず胸を覆って隠す間に、服は足から抜き取られ下に落ち、蘭は完全に下着だけの姿になった。
新一は、反射的に胸を隠した蘭の手を取ると、両脇にどけて、指を絡める。
新一の唇が首からゆっくりと胸元まで降りてきて、唇と舌で蘭の肌を愛撫していく。
新一の鼻が、前髪が、肌を擦っていく。

「蘭、蘭」
「あっ・・・ん・・・」

蘭は出そうになる声を堪える。

新一の手が再び背中に廻り、暫く探っていたかと思うと、胸を覆う布のホックが外され、パラリとはずれる。
中から胸の隆起がこぼれ出て、プルンと揺れる。
新一が息を呑む気配がした。

「蘭、綺麗だよ」

蘭は羞恥に目を閉じ、身を捩った。
新一はもう一度蘭の唇にキスを落とすと、体を離した。
衣擦れの音と、金属の触れ合う音がしたと思うと、再び新一は蘭の上にのしかかってきて抱きしめた。

素肌同士が触れ合う。
新一の皮膚の硬さ、熱さ。
それが心地良く、蘭は新一の背に両腕を廻してしがみついた。
同時に、自分の太腿の付け根あたりに、硬く熱い物が触れる。
脈打つそれが何かに思い至り、蘭は思わず「ああっ」と小さな悲鳴を上げる。

「ん?蘭、どうした?」
「う、ううん、何でもない。ただちょっとビックリしただけ」
「何に?」

蘭は口ごもる。
男性のあれが興奮した時に大きくなる、という話はどこかで聞いたことがあったけれど、目にした事も、勿論触れた事も無かったため、こんな風に硬く熱いものだとは、想像もしていなかった。
新一のそれを今から受け入れるのだと思うと、どうしようもなく不安になってくる。
考えているうちに、新一の手が蘭の胸の隆起を揉みしだき、その頂きに色づく部分を、指で擦りあげた。

「あ、ああっ」

出すまいと思うのに、声が漏れてしまう。
体の奥が痺れたような不思議な感覚に支配される。
新一の唇は、蘭の唇から再び喉を通って胸の方に降りて来ていた。
時々、蘭の肌をきつく吸い上げる。

数日前につけられて、薄くなっていた痣の所も、別の場所にも、赤い色鮮やかな印がつけられる。
榊田の手が這い回った気持ち悪い感触も、新一の丹念な愛撫によって、雪がれていく。
新一の口が蘭の胸のピンク色の頂を口に含み、舌でなめまわして吸い上げた。

「あっ、あああああんん」

今まで感じた事がない、電流が走ったような快感に、蘭は抑えようが無く、嬌声をあげて新一の背中に爪を立てた。



その時、まだ下着で覆われている蘭の秘所から、何か溢れ出る感覚があった。


その覚えのある感覚に、蘭は愕然とする。

榊田の手の平が蘭の肌を這い廻ったとき、おぞましく、心の底から吐き気がする程の嫌悪感を覚えたのに、蘭の秘所からは、今みたいに液体が溢れる感覚があったのだ。



「いや、いや、いやああああああああっっ」



蘭は取り乱し、絶叫を上げ、新一を付きとばして顔を手で覆う。
突然新一を拒絶し、体を震わせて泣き始めた蘭に、新一は戸惑った様子だった。

「蘭、蘭?」

横を向いてしまった蘭を、新一がそっと背後から抱き寄せる。
蘭はビクンと体を震わせたが、振り払いはしなかった。

「蘭、無理すんなよ。おめーがヤなら、これ以上は何もしねーからさ。だから泣くな」

蘭の臀部には新一の猛りきった物が当たり、新一の息遣いは荒い。
蘭にも、今、新一がどれ程に努力して自分を抑えているのか、感じ取れた。

「新一。どうして?どうしてそんなに優しいの?私、そんなに価値のある女じゃないよ。私、私、淫乱なんだもの!」

蘭は、悲鳴のように声を絞り出した。

「蘭?俺に感じてくれるのは、嬉しいけど、なんにもおかしな事じゃね―よ」
「違う、違う!私、私、あの男に触られて、ものすごく気持ち悪かったのに、嫌で堪らなかったのに、なのに、なのに、今みたいに、あそこが濡れたんだもの・・・あんな男に・・・」

苦しそうに言葉を紡ぐと、蘭は堪えきれず、再び嗚咽をもらす。
新一は暫く黙っていた。

『呆れた?嫌いになった?こんな、私の事・・・』

蘭はそう思うと、胸が切り裂かれるように痛んだ。
しかし新一は、背後から抱きしめる腕にほんの少し力を入れて言った。

「バーロ。それは、身を守るための生理現象なんだ。決して淫乱だって事じゃねーんだよ」

新一の声は優しく、蘭に対して呆れたり怒ったりしていないのはよく判った。
蘭は驚いて新一の方を向き直る。
新一は優しい目で微笑んでいる。
蘭の唇に触れるだけの優しいキスをすると、新一は再び語りはじめた。

「蘭、女が、・・・その、濡れるのにはな、2通りあんだよ」

蘭は驚いた目で新一を見る。
新一の瞳は、どこまでも優しい。

「ひとつは、まあ、よく知られてる事だけど、いわゆる感じた時、歓んだ時。自分がパートナーと認めた相手を受け入れるための反応だよな。もうひとつは・・・性的に恐怖を感じたとき」
「・・・・・・」
「乾いた状態で男のものを受け入れちまうと、ヘタすっと出血多量で命を落としかねない。・・・だから、自分の体を守るために・・・防衛反応で、あそこが濡れるんだよ」




蘭は暫らく何も考えられなかったが、徐々に思考力が戻ってくる。
そして新一の言葉を頭の中で反芻した。
その意味がやがてすとんと胸に落ちる。
あの時、歓んだり感じたりしていた訳ではなかったのだと、ようやく自分で納得がいった。
新一の指が優しく蘭の涙を拭い、蘭はようやく笑顔を見せた。

「新一って、そんな事まで詳しいんだ」
「あ?ああ。性的暴力で裁判沙汰になった時に、『濡れたから女の方も喜んでたので強姦とは言えない』という犯人の主張を、医学的な裏付けでひっくり返したという記録があったからな。・・・妃弁護士の手がけた中にも、あったぜそういう事件」
「・・・そうなんだ」
「だから、よく言う、濡れてるから体は嫌がってねーと言うのは、大間違いなんだよ」

蘭は微笑み、新一の首に細い腕をまわして抱きついた。

「ありがとう新一。・・・でも、新一相手の時は、全然違うんだからね?」
「それは、俺には感じてるって事か?」

蘭は真っ赤になって膨れる。

「・・・もう、判ってるくせに、意地悪!」

新一が再び蘭の体を抱きしめ、愛撫を始める。
蘭は今度は素直にそれを受け入れる。
新一の手や唇が触れるたびに体の奥底が疼く感覚――それをも素直に受け止めて行った。


新一の手が、唇が、舌が、丹念に蘭の体中を愛撫していく。
敏感な場所に触れられるたび、蘭の体はぴくんと跳ね、その唇から喘ぎ声が漏れる。
蘭の肌には、いくつもの赤い印がつけられていく。

「蘭、蘭。とても綺麗だ」
「ん、んふ、ああっ、新一、新一・・・」

やがて新一の手が、蘭の秘所を覆っていた最後の一枚の布を取り去り、蘭は生れたままの姿になる。
新一が蘭の膝の裏に手をかけ、足を持ち上げてひろげようとするが、蘭は羞恥のあまり、ぎゅっと力を入れて足を閉じてしまった。
新一は無理しようとせず、蘭の太腿の内側を手で優しく愛撫する。
やがて少しずつ蘭の体から力が抜ける。
新一が蘭の足を持ち上げ広げると、広げた足の間に自分の体を入れて来た。
蘭が思わず足を閉じようとしても、もう閉じる事が出来ない。
新一の視線を感じ取り、蘭はギュッと目を瞑る。
誰にも見せた事が無いところを新一に見られ、恥ずかしくて堪らない。
けれど、他の誰でもない新一だったから、羞恥心はあっても、嫌ではなかった。
嫌どころか、新一ともっと深く触れ合いたいという欲求が心と体の奥から沸き起こってくる。

「新一・・・」
「蘭、愛してるよ」

新一の手が蘭の突起に触れ、中の豆を指でなぞる。

「ん、はあ、ああああああっ!!」

蘭は自分でもそこに触れた事がなかったため、思わぬ強い刺激に身を捩って甘い悲鳴を上げた。
体が仰け反り、手足が突っ張り、言いようのない感覚が全身を駆け巡ったかと思うと、一瞬息が止まり、次に体中から力が抜ける。

『な、何、今の?』

自身に何が起こったのか解らず、蘭は呆然とする。

「蘭、イッたんだね」
「え・・・?イク?」

蘭は荒い息を吐きながら、新一の言葉に不思議そうに答える。

「イッたの、初めてか。自分でやった事ねーのか?」
「自分で・・・やるって・・・何を・・・?」
「ごめん、いいよ、そんな事知らなくっても。俺もこんな事すんの初めてだけどさ、絶対に蘭を気持ち良くさせてやっから」

あれだけもてる新一だから、その気になれば女は選り取りみどりに違いなかった。
ずっと蘭が好きだったとは言ってくれたけれど、「これ」も蘭が初めてと聞くと、何だか嬉しい。

「ホント・・・なの?」
「嘘言ってどうするよ」
「だって・・・、新一・・・、誘惑も・・・多かった・・・でしょ?」
「俺、蘭以外の女には勃たねーもん」
「たたないって・・・あああっっ!!」

新一が蘭の大事なところを舌先でちろちろと刺激し始めたため、蘭の思考力は再び吹き飛ぶ。

「そんな・・・とこ・・・きたな・・・あああんん」
「蘭の体で汚いとこなんてねーさ」

蘭の入り口で新一の舌が蠢いたかと思うと、指でなぞられ、次にその指が進入して来た。

「あっっっ!」

異物感に、蘭の体が強張る。
蘭は空手をやっている為内装式の生理用品を使う事があり、指1本くらいだったら痛みまでは感じないが、新一の指が中で蠢き抜き差しされる度に、何とも言えない感覚が全身を襲う。
新一の指が動くたびに水音が響き、それが酷く淫らに感じられる。

「うっ、つうっ!」

侵入して来る新一の指が2本になった時、流石に痛みを感じて蘭の口から声が漏れ、下半身に力が入る。

「蘭、力を抜いて。大丈夫だから・・・」

新一が優しい声で言う。
少しずつ侵入して来る指の感覚に慣れ、痛みが治まると、入ってくる指が今度は3本になる。
抜き差しを繰り返す指の動きに、蘭の体の奥底がざわめきだす。

「あ、あ、あっ・・・」

蘭の中で、苦痛とも嫌悪とも違う言いようのない全身がざわめく感覚が、どんどん大きくなったかと思うと、何かがはじけて、頭の中が真っ白になる。

「ああ、はああっ、んあああああああああっっ!!」

蘭の体は再び仰け反り、新一の背中に爪を立てる。
両足は突っ張り、痙攣したかのように震える。


その一時が過ぎ去り、蘭は荒い息をしながら、全身を弛緩させていた。

『これが、もしかして、イクって事なの?』

ようやく思考力の戻って来た頭で、蘭は考える。
全てを新一に捧げる心算でいる蘭だが、先程からの痴態を新一に余す事無く見られたかと思うと、恥ずかしくて堪らなくなる。
新一は蘭を抱きしめていて、今の顔を見られていないのがせめてもの救いだった。

耳元に新一の熱い息が掛かる。

「蘭、いくぞ」

蘭には一瞬意味が解らなかったが、蘭の入り口に熱く猛った物があてがわれ、意味を解して覚悟を決める。

「いっ!あっ、あつうっ!」

覚悟はしていたものの、新一のものが入って来る時の、指とは比べ物にならない激烈な痛みに、思わず苦痛の声が漏れる。
蘭は一生懸命力を抜こうとするが、あまりの痛みにうまく行かない。

「蘭、蘭、蘭・・・」

新一が優しく呼びかけ、蘭に口付けて来た。
新一の舌が唇の間から滑り込み、蘭の舌に甘く絡まってくる。
新一の指が胸の突起を擦る。
蘭のそこが少し緩んだ瞬間、新一のものが一気に奥まで入って来た。



自分の中に、新一の存在を感じる。
初めて男性を受け入れた激烈な痛みも、与えてくれたのは、他ならぬ新一である事――その事実が嬉しくて、蘭は涙を零した。

もしも昨日の昼間、新一の助けが間に合わなかったら・・・想像する事さえ怖ろしくて身が震える。
もしもそんな事になっていたら、自分は間違いなく壊れていただろうと思う。


新一は自身を蘭の中に埋め込むと、そのまま動きを止めてじっとしていた。
気が遠くなるような痛みも、随分と和らいできている。

「蘭、ごめん。辛かったか?」

新一が蘭の目を覗き込んで心配そうに言った。

「ううん、ううん、辛くなんかない。痛かったけど、辛くなんかないよ。新一・・・だから・・・」
「蘭」
「私、これで、新一のものだよね・・・」
「蘭、蘭っ・・・!俺の・・・!!」

新一が狂おしく蘭の名を呼び、息もつかせぬほどに激しく口付けて来た。
蘭も新一の舌に自分の舌を絡めて応えた。

「蘭・・・これからまた痛い思いするだろうけど、大丈夫か?」
「うん、大丈夫・・・」
「蘭、愛してる、愛してるよ」
「新一・・・」

新一がゆっくりと動き始めた。

「うっくっ・・・」

蘭は再び襲ってきた痛みを堪える。
この痛みも、ずっと長い事焦がれていた相手と結ばれた証。
新一と結ばれるのでなければ、他の誰ともこんな事はしたくなかった。
一生涯バージンであっても構わなかった。

今痛みと共に、新一の存在が蘭に刻み込まれる。
蘭はその事実に涙を流した。


やがて蘭の体の奥から、痛みとは違う感覚が湧き起こる。

「んああっ、ああああっ、しん・・・いちっ・・・」

声が苦痛を堪えるものから、甘さを帯びたものへと変わっていく。

「蘭・・・最高だよ!・・・蘭の中・・・熱くて・・・すっげー良い・・・!」

荒い息の中で新一が言う。
新一が蘭を感じてくれている、そう思うと蘭は嬉しかった。

新一の動きが激しくなる。
蘭の意識が上り詰めていく。

「ああっ、しん・・・いちっ、新一ぃ、んあああっ、あああっ、はああああああああんんんっっ!!」

蘭の意識がスパークし、喉を仰け反らせ体が弓なりになり、手足は逆に新一の背中と腰にきつくしがみつく。

「・・・っ、くっっ!!蘭っ・・・!」

蘭の意識がはじけると同時に、新一のものが蘭の中で大きく脈打ち、熱いものが蘭の奥に放たれたのを感じた。




  ☆☆☆




新一が大きく息をつくと、蘭の中から自身をゆっくり引き抜き、蘭の隣に横になった。
そして優しい目で蘭を見詰め、抱きしめる。

「蘭。素晴らしかったよ。愛する女を抱くってのが、あんなに気持ち良いもんだとは思わなかった」
「新一・・・」
「でも・・・蘭にはいてー思いさせたんだよな。ごめん」
「新一、そんな事ない。私、新一に抱かれて幸せよ。それに・・・痛いばかりじゃなかったし・・・」

蘭の言葉の後半は、恥ずかしさのあまり小声になっていた。
新一が蘭の額にこつんと自分の額を合わせる。

「蘭、俺たち結ばれたんだよな。すっげー幸せ。最高の気分」
「・・・新一、それって、どっちかって言えば女性が言う台詞じゃないの?」
「え?そうなのか?」
「・・・よくわかんないけど。でも私も、新一と結ばれたって事、凄く幸せ」

新一が優しく笑うと蘭に口付けて来た。

「・・・ん・・・」

背中を撫でる新一の手がひどく熱い。
そして、蘭の太腿の付け根辺りに、固く熱いものが触れる。
蘭が身じろぎすると、それはぴくんと動いた。
それが何であるかに思い当たり、蘭は焦る。

『え?え?今終わったばかりなのに・・・ええっ!?』

「蘭」

耳元で囁く新一の息が熱い。
新一の指が、唇が、再び蘭の肌をたどり始め、蘭の肌もそれに応じて熱を帯びてくる。

そして・・・。





その夜、蘭は何度も新一に求められ、朝まで何度も甘い悲鳴を上げることになる。







幸せな眠れない夜。

2人がそうと意識していた訳ではなかったけれども、それは紛れも無く2人にとって実質的な結婚の儀式――密やかな婚姻を果たした夜であった。




Fin.



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