愛人(!!!?)生活 番外編 すべての始まり



by新風ゆりあ様



(2)欲情



新一が蘭を連れて入った部屋は、セミスイートで続き間になっていた。

蘭をソファーに座らせ、新一は冷蔵庫からカクテルの缶を取り出して蘭に渡した。

「お酒。さっきワインも飲んでたから、ダメってことはねーだろ?こういうの、好きか?」
新一が尋ねた。

すると蘭は黙って頷いた。

新一は蘭の隣に腰かけて、自分でブランデーの水割りを作った。

蘭はカクテルの缶のプルタブを開け、口をつけた。

「あの、工藤さん、この部屋は?」
蘭がおずおずと尋ねて来た。

「ああ。家が会社からちょっと離れてるから。通えねーことはねーけど、仕事で夜遅かったり、朝早かったりするから、会社に近いここに長期滞在で部屋を借りてるんだ。」
新一が答えた。

「で、でも、ここってすごく高いんじゃ。」
蘭が不安そうな顔をした。

「仕事がらみだから、費用は会社の経費になる。けど、それだけの仕事はしてる。長時間過密労働。でもオレの立場だと、残業代なんてもんはでねーし、労災の適用もねーんだよ」
新一が愚痴った。

「工藤さんって、若いのにすごく高い地位にいらっしゃるみたいですね」
蘭が感心した。

蘭の言葉に、新一は目を丸くした。
(おいおい。こいつ、オレが何者なのか知らないで、ナイトバロン社の面接を受けたのか?)

「なあ、蘭。就職試験受けときながら、ひょっとしてナイトバロン社の社長の名前も知らなかったのか?」
新一が尋ねた。

「社長の名前・・・。確か工藤って・・・。えっ!?」
蘭が考え込んだ後、盛大に驚いた。

(ったく。しょーがねーヤローだな)
新一は呆れながらも、蘭を熱く見つめた。

「まあ、調べた時にはまだオレの名は社長の欄に出てなかったかも知れねーけど。普通、一族だと思わねーか?オレはつい先ごろ交代したばかりの、ナイトバロン東京本社の社長なわけ」
新一がさらっと言ってのけた。

「工藤さん、失礼ですけど、歳はおいくつなんですか?」
蘭が尋ねた。

「オレ?二十四。オレ自身に能力がねーとは思わねーけど、普通の会社だったらペーペーだ。オーナー一族でなければこんなポストどころか主任クラスにもまずいない。最もそうじゃなかったらオレは会社勤めなんかやってねーと思うけど」
新一が答えた。

「社長さん自らが採用試験の面接をなさるのですか?」
蘭が尋ねた。

「うちのような企業では、人材が決め手だからね。それに面接のときにこちらが見て判断したことがどれだけ正しかったか、間違ってたか、後々追跡調査すればいい勉強にもなるだろ?自分の人を見る目がどれだけ正確かもわかるし」
新一が答えた。



しばらくして、飲み終えたのか、蘭が缶をテーブルの上に置いた。

新一は待っていましたと言わんばかりに蘭を抱きすくめた。

「く、工藤さん?」
蘭は戸惑っているようだった。

「新一って呼んでくれよ、蘭」
新一が懇願した。

「新一?」
蘭が新一の懇願に応えた。

「そうだよ、蘭」
そう言うと、新一は激しく蘭の唇を奪った。

新一は自分の舌を蘭の口内に侵入させ、震えて逃げようとする蘭の舌を探り当て、絡めた。

(逃がしゃしねー!ぜってーに逃がすもんか!)

やがて蘭の唇を開放した新一は、蘭の耳元で熱くささやいた。
「今夜は帰さない。蘭、オメーを抱きたい」

「くど・・・。新一・・・」

「最初は、今日はデートだけの心算だったけど。自分で自分が止められねーんだ。コントロールできねーんだ!蘭、オメーが欲しい!」
新一が想いのたけを口にした。

新一が強い力で蘭を抱きしめると、蘭はおずおずと新一の背中に手を回して抱きしめ返して来た。

新一は蘭を抱き上げると、隣の寝室へと運び、ベッドの上に横たえた。

そして覆いかぶさって深く口付けた。

「ん・・・」
蘭がくぐもった声を出した。

蘭は身体を震わせていた。

「蘭。怖いのか?」
新一が戸惑いながらも、優しい声で尋ねた。

蘭は目を閉じたまま、こくりと頷いた。

「もしかして嫌なのか?」
新一が尋ねた。

すると蘭は目を開けた。

(本当にこのまま、こいつを奪ってしまっていいんだろうか?)
新一は戸惑いと不安に駆られた。

しかし、蘭はかぶりを振った。

「ううん。そうじゃない。そんなんじゃないの」
蘭が答えた。

「じゃあ、いいのか?」
新一が尋ねた。

すると蘭は目を閉じ、黙って頷いた。

それを確認した新一は、蘭に口付けながら、ブラウスのボタンを外していった。

新一は指を蘭の胸を覆う下着の下に潜り込ませた。

「ん、う」
蘭が声を上げた。

(うわっ!めちゃめちゃ柔らけー!)

初めて味わうその感触に、新一は溺れて行った。

直に蘭の柔らかい胸を揉みしだく新一の指の感触に、蘭は逃れるように身じろぎした。

新一は指を蘭の胸の頂に這わせ、指の腹でこねくり回すように撫で回した。

「んん。んんんっ!」
蘭がくぐもった声を上げた。

新一は蘭の胸の下着を外し、突起をあらわにした。

新一は蘭の唇を開放して少し身体を離し、上から覗き込んだ。

(なんて綺麗なんだ)
あまりにも美しい蘭の胸に、新一は息を呑んだ。

蘭の胸は雪のように白く、染み一つなかった。

その様は男の影などないように思えた。

新一は手のひらを、蘭の両方の乳房を下から持ち上げるような格好で覆った。

「すげ。想像以上だ」
新一が熱く呟いた。

そして優しく蘭の胸を揉みしだいた。

「綺麗だよ、蘭。それにすごく柔らけー」
新一が蘭の耳元で囁いた。

「あ、あ、やっ」
蘭の胸の頂は、すでに固く尖っていた。

新一はそれを口に含むと、舌先で転がすように舐めた。

反対側は指の腹でちろちろと刺激した。

「はああん!」
蘭の口から高い声が飛び出た。

新一は蘭の肌をくまなく愛撫し、刻印を刻んだ。

そして蘭の秘められた場所を覆う布を取り払った。

蘭は生まれたままの姿になった。

「やあっ。見ないで」
蘭が恥ずかしそうな顔をした。

「蘭。もっとよく見せてくれ。蘭の全てを」
新一が熱くささやいた。

新一は蘭の足を抱え、大きく広げた。

そして足の間に入り込み、閉じられないようにした。

「あ・・・」

「蘭。すごく綺麗だ」
新一が感動の言葉を口にした。

新一は蘭の秘所に口付け、蜜をすすった。

「やっ、あっ、そんなとこ、あああん」
蘭の口から甘い声が飛び出た。

新一は蘭の突起を口に含み、舌で中の豆を探り出して愛撫した。

「あ、はっ、あああん!」
蘭が手足を突っ張らせ、手でシーツをグッと掴んで身体をのけ反らせ、甘い悲鳴を上げた。

新一は力が抜けてしまった蘭の身体を抱きしめた。

新一は全ての衣服を脱ぎ捨てた。

「蘭、そろそろいいか?」
新一が尋ねた。

すると蘭はこくりと頷いた。

新一は猛り狂い熱くなっている自身を、蘭の秘められた入口にあてがった。

そして挿入させた。

「う、く、っつうっ!」
蘭の口から苦しげな声が飛び出た。

「くっ。蘭、オメー、まさか!?」
新一が顔を顰めながらも、驚いた。

(こいつ、処女なのか?男と交わったことがねーのか?)

こんなにも美人な蘭が男と交わったことがないとは、新一も思っていなかったのだ。

「ううっ、あう、しんいち・・・」
蘭が苦痛を訴えた。

「蘭。大丈夫だから。力抜いて」
新一が優しくささやいた。

新一は少しずつ蘭の中に入って行った。

やがて全てが蘭の中に納まった。

「蘭。全部入ったよ、わかるか?」
新一が優しく尋ねた。

すると蘭が頷いた。

新一は蘭が落ち着くのを待って、腰を動かし始めた。

最初は蘭を気遣い、ゆっくりだったが、すぐに激しく動いた。

(やぺっ!たまんねー!)
愛する女の中の感触に、新一は溺れて行った。

「う・・・あ・・・いつっ・・・ああっ」
蘭が顔を顰めて、痛みを訴えた。

(蘭、すまねー。愛してる。愛してる!)
新一は心の中で呟いた。

「あ、あ、しん・・・いち・・・っ、ああっ」
蘭が甘い声を上げた。

「蘭。蘭・・・っ」
新一が熱病に浮かされたように蘭の名を口にした。

「あ・・・わた、し、・・・ああっ・・・変・・・なのぉ」
蘭は快感を感じているようだった。

「・・・っくっ・・・いいよ、最高だよ、蘭」
新一が熱く呟いた。

「あああん、しんいちいっッ、はああん!」
蘭があられもない、高い声を上げた。

「くっ・・・らん・・・!」
新一も高い声を上げた。

蘭は意識が上り詰めたのか、身体をのけ反らせ、手足は逆に強く新一にしがみつかせ、甘い悲鳴を上げた。

それと同時に新一のものは蘭の中で大きく脈打ち、蘭の奥に熱いものを放った。

蘭の奥に大量の熱を放った後、しばらく新一はじっとしていたが、やがてゆっくりと蘭の中から自身を引き抜いた。

「あ・・・」
蘭の中から、新一と蘭の体液と、初めての痛みに蘭が流した血が混じり合って流れ出した。

「蘭。初めてだったんだな」
新一の言葉に、蘭はこくりと頷いた。

「ごめん、蘭」
新一が謝った。

「なぜ謝るの?」
蘭が尋ねた。

「今日いきなりで痛い思いさせちまったから。ごめん」
新一が答えた後、また謝った。

「謝らないで。だって私、拒まなかったから。あなたとそうなってもいいって思ったんだから」
蘭が微笑んだ。

「でもオレ、焦っちまってたから」
新一が表情を曇らせた。

「焦る?あなたが?」
蘭が目を丸くした。

「あぁ。蘭は綺麗で可愛いから。卒業前にモノにしたいと狙ってるやつがいるだろうし、就職したら会社の男たちから絶対狙われるだろうし」
新一が答えた。

「そんなこと・・・」
蘭がはにかんだ。

「ない、なんてことねーだろ?蘭ほどの女性なら、今までにもいろいろ誘いはあったはずだ。蘭の様子にどうもあまり経験なさそうだとは思ったけど、まさか初めてなんて思わなかった」
新一が答えた。

「・・・・・」
蘭が押し黙った。

「なぁ、訊いてもいいか?なんであっさりオレにヴァージンをくれる気になったんだ?今まで守って来たもんを」
新一が尋ねた。

「・・・別に今まで守って来たってわけでもないの。ただ、たまたまそういう気になれる相手と巡り合ったことがなかっただけ」
蘭が答えた。

「蘭?」
新一が目を丸くした。

「だって・・・今まで何回か男の人と付き合ってみたことあるけど、手を握られるのも嫌で、いっつもダメになってたんだもん。でも、新一にだったら、触れられても嫌じゃなかったから・・・」
蘭がはにかんだ。

「じゃあもしかしてキスも初めてだったりしたのか?」
新一が目を丸くしながら尋ねた。

その問いに、蘭は黙って頷いた。

「蘭。オレさ、今まで自分でも気づいてなかったけど、独占欲強かったんだなって思う。蘭の初めてが、キスも含めて全部オレだったってのが、なんかすっげー嬉しい」
新一は嬉しくなった。

「新一・・・」
蘭が顔を赤らめた。

「誰にも渡さない。蘭、オメーはオレだけのもんだ!」
新一が蘭を強い力で抱きしめた。

「蘭、好きだ」
新一が熱くささやいた。

そして深く口付けた。

そしてまた一つになった。

その夜、二人は何度も一つになり、やがて眠りに落ちた。




朝になり、新一は目を覚ました。

新一の隣には蘭がいて、まだ眠っていた。

(寝顔も可愛いな)
新一は蘭の寝顔に見とれた。

やがて蘭が目を覚ました。

「蘭、お早う」
新一は蘭の顔を覗き込んだ。

「あ・・・」
蘭の顔が赤くなった。

新一はそんな蘭が愛おしくてたまらず、抱きしめて口付けた。

「蘭」
新一は唇や指を蘭の身体に這わせた。

「あ、し、新一・・・」
蘭は恥ずかしいのか身もだえしたが、すぐに新一の愛撫に応え、甘い悲鳴を上げた。




「シャワーを浴びておいで。朝ご飯にしよう。そのあと、送って行くから」
ことが終わった後、新一が微笑んだ。

すると蘭はのろのろと起き上がり、バスローブを羽織ってシャワー室に行こうとした。

が、足に力が入らなかったらしく、座り込んでしまった。

新一は蘭を抱き上げた。

「し、新一?」
蘭が目を丸くした。

「ワリィ。無理させたから足が立たねーんだろ?」
新一が謝った後、尋ねた。

蘭は答えなかったが、恥ずかしいのか顔を赤くし、両手で顔を覆った。

新一はバスルームに蘭を連れて行き、そっと立たせた。

「じゃあオレ、出てるから。終わったら呼んでくれ」
そう言って、新一はバスルームのドアを閉めた。

蘭がシャワーを浴びている間、新一はルームサービスで朝食を頼んだ。




「新一、終わったよ」
シャワー室から蘭が出てきた。

「そうか。じゃあ今度はオレがシャワーを浴びるから。蘭はその間に身支度しろよ」
新一が微笑んだ。

そして新一はシャワーを浴びた。

シャワーを終えた後、新一は身支度をし、朝食を食べた後、蘭を運転手付きの車で大学に送った。

「蘭。オレ、今夜は仕事がたぶん夜遅くなっから。先にあの部屋に入って待っててくれねーか?」
新一が頼み込んだ。

そして蘭にルームキーを渡した。

「え?でも新一・・・」
蘭が目を丸くした。

「オレ、たぶん普通の恋人同士のようにデートする時間もそうそう作れねーと思う。でもできるだけオメーと一緒に過ごしてーから。ダメか?」
新一が尋ねた。

すると蘭は首を横に振った。

どうやら蘭の方も新一と一緒に居たいと思っているようだ。

新一はホッとした。

「食事は適当にルームサービスを取るか、レストランで食べてもらってて構わない。ルームキーを見せたらそれで会計は済ませられっから」



新一は蘭を大学に送った後、ナイトバロン社に出勤し、仕事をこなした。

仕事を終えた新一は、ホテルの部屋へ向かった。

新一がホテルの部屋に入ると、蘭はソファーの上で眠っていた。

新一は蘭を抱きかかえ、ベッドに横たえさせ、抱きしめた。

すると蘭が目を覚ました。

「新一?」
蘭が目を丸くした。

「ワリィ。起こしちまったか?疲れてんだろ?もうちょっと眠るといい」
新一が気遣った。

「ううん、平気よ。明日は土曜日でお休みだし。新一は?ご飯食べたの?」
蘭が微笑んだ後、新一を気遣った。

(優しい奴だな、蘭は。ますます惚れちまった)

「いや。食う暇なかったからな。それにもうルームサービスもレストランも終わってる。いいよ。オレも明日は休みだし。今夜くらいご飯食べなくても」
新一が答えた。

「あ、あの、私、作って来たの。よかったら食べる?」
蘭が尋ねた。

「え?いいのか?」
新一が目を丸くした。

すると蘭は起き上がり、隣のリビングの方に行き、作って来たという料理をテーブルの上に並べた。

数品の料理に、新一は口笛を吹いた。

ピュウ。

「スゲーな。これだけのもん手作りかよ」
新一が感心した。

「あの、お口に合わないかも知れないけど。どうぞ」
蘭が料理を進めた。

新一はテーブルにつき、蘭の手料理を食べ始めた。

すると蘭は部屋に備え付けられた湯沸かしポットでお湯を沸かしてお茶を淹れてくれた。

「うめーよ。蘭は料理上手だな。大学に入ってからずっと自炊してたのか?」
新一が蘭の手料理をほめた後、尋ねた。

「え?ううん。大学に入ってからもだけど・・・」
蘭は自分の身の上話を始めた。

その話によると、蘭の両親である小五郎と英理は、蘭が七歳の時に大喧嘩し、英理は家を出て、十年間別居していたということだった。

蘭が高校二年生の時に、ようやく英理は家に戻って来たが、英理はなぜか料理の味付けだけは天才的に不得手で、蘭はほぼ独学で料理を覚えたということだった。

「オレの方はお袋は料理上手とは思うけど、洋風の洒落たものが好きだったから、煮物とか魚の塩焼きとか、普通の家庭料理みたいなのはあんまり作ってくれなかったな。オレも一通り作れないことはねーけど、忙しいとやる暇ねーし」
新一が愚痴った。

「新一のお母さまってどんな方?」
蘭が尋ねた。

「まあ何というか、ぶっ飛んでるよ。蘭もそのうち会う機会があるさ」
新一が答えた。

「え?」
蘭が目を丸くした。

「たまに東京本社にも顔出すことあっから」
新一が微笑んだ。

「ねえ新一。私、採用試験に落ちたんじゃないの?」
蘭が尋ねた。

「ああ。競争率高かったからか?大丈夫。今日採用者は正式決定したから、数日のうちに採用内定通知が届くよ」
新一が答えた。

新一の答えに蘭はホッとした顔をした。

その後、新一は何度も蘭を抱いた。

そのため二人が眠りについたのは明け方近くだった。

二人が目を覚ましたのは、日が中天近く上ってからだった。

その日は二人で映画を見た。

新一は蘭に土日は家に帰らないとならない、月曜の夜再びあのホテルに来るようにと伝えた。




三話目に続く



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