熱き荒野の物語



By 中村亮輔様



〈プロローグ〉
昔々あるところに、ベイカータウンという大きな町がありました。
その町は多くのガンマンやカウボーイが住んでいました。
これはそのベイカータウンに生きる8人のガンマンの物語です。




〈1〉



ここはベイカータウンにあるバー。
そこで4人の若い男達がウィスキーを飲みながら会話していた。


「なあ、聞いたか工藤?」
「何をだよ?服部…」
「最近隣町を荒らしまくってる奴等の事や!」
「ああ…保安官の西条大河の部下達の事か。」
「あ、西条の事なら俺も知ってるぜ。奴は隣町で部下を暴れさせて自分で捕まえて名声を得ているうえに、一部のガンマンから賄賂を受け取っているって噂らしいな。」
「そのことなら僕も知ってますよ。確か西条達は銃だけではなくジパングと呼ばれる国の武器である刀や弓矢などを密輸しているらしいですね。」


こんな会話をしている若い男達の名前は工藤新一、服部平次、黒羽快斗、京極真。
4人全員腕利きのガンマンだ。
そして彼らは弱者を傷つけたり、銃を悪用する事を許さずどんなときでも正しい事をする為、ディテクティブとも呼ばれている。


そんな彼らの話に出てくる西条大河とは隣町の保安官だ。
しかし彼は最初こそ真面目だったが最近は悪い噂ばかりが目立っていた。


「さて、そろそろ帰ろうぜ。」
「なんや、工藤?もう酔うたんか?」
「新一はこの中の誰よりも酒に強かっただろ?」
「バーロー!酔った訳じゃねーよ。もう暗くなっちまったからだよ。」
「は?もうそんな時間なんか!?」「外見ればいいだろ。」
「げっ!もうすっかり日が落ちてやがる…」
「早く帰りましょう。」
「せやな。」「じゃあな。博士。また来るよ。」
「みんな気をつけて帰るんじゃぞ。」
「分かってるよ。博士。」
新一達は勘定を済まし、店を出ていった。


現在新一は勿論、他の3人も工藤邸の一室を借りて住んでいるので、工藤邸に向かっていた。


その途中で一行は男達に絡まれている女性4人を見つけた。


「なあ、お前ら。俺達と楽しく遊ぼうぜ。」
「やめて下さい。」「いいじゃねーかよ。少し位…な?」
「嫌です!離して下さい!」


「結構しぶといナンパ野郎共だな…」
「相手の娘(こ)があんなに嫌がってるのを頑無視だからな…」
「助けたほうがええんやないか?」
「そうしましょう。」


意見をまとめた4人は女性達の所へ向かった。


「何回も言ってるだろ?楽しませてやるって。」
「結構です!」「そこまでにしときな…」
「誰だ!」
「なんや誰って言われてもな…名乗るほどの奴でも無いわ。」
「何だ?てめえら?俺達に何の用だ?」
「別にあんたらに用はねーよ。ただ単に相手の娘達が嫌がってるからやめてやれって言いに来ただけだよ。」
「何だと?さっきから生意気な事ばっかり言いやがって…おい!この小癪な奴等を黙らせろ!」
男達は近くに落ちていた角材やウイスキーの空き瓶・ガラス片を手に取り新一達に襲いかかった。

「あーあ…黙って言う通りにしてりゃ痛い目に遭わずに済んだのにな…」
「さっさとくたばらせようぜ。」

新一達は突進してきた男達を素早くかわすと共に男達が持っていた物を蹴り飛ばし、その足で男達に蹴りを入れた。
男達は蹴られた勢いで壁や馬車、樽に激突し、全員気絶した。


「ふん!青二才の分際でやってくれるじゃねーか。だか…何者かは知らないが流石のお前らも銃には勝てまい。さあ、覚悟してもらうぜ。そして俺達の邪魔した事をあの世で悔やむんだな。」
「戯れ言は夢の中で言ってろ。現実世界の俺達に聞かせるな。」
「貴様らのその減らず口、直ぐに閉ざしてやる!!」
リーダー格の男達4人がホルスターから銃を抜き、新一達に向けて発砲した。
弾丸は一直線に新一達のもとに進んで行った。


しかし4人は全員飛んできた弾丸をいとも簡単にかわした。


「な…何?」
「弾をかわしやがった…!?」
新一達4人は、驚きで動かなくなった男達に向かって素早く撃ち返した。
その弾丸は男達の銃を弾き飛ばした。


「ぐあ…」
「うっ…」
「くそ…」
「何だと…」
その衝撃で男達は呻き声を上げながら地面に倒れこんだ。
その事を確認した新一達は男達の銃を拾い、ホルスターに収めた。


「貴様ら…よくも…」
「さっさとどこかへ行くのが身のためだぜ。」
「何だと!」
「お前ら…俺達が誰だかてめえらの目で確認しやがれ!」


快斗の一言で男達は新一達を凝視した。


「おい、こいつら…まさか……」
「ああ。ディテクティブの奴等に間違いねえ…」
「ヤバイんじゃ…」


4人が誰だか分かった男達は途端に顔面蒼白になり、100m走並みの速さで走って逃げ出した。


「大丈夫だったかい?怪我とかないかい?」
新一が長く艶やかな黒髪の女性に尋ねた。


「あ、はい…大丈夫です。助けてくれてありがとうございました。」
「そうか。そいつは良かったな。」
「あ…あの…」
「ん?どうかしたのか?」
「いや…別にどうかした訳じゃなくて…1つ訊きたい事があるんですけといいですか?」
「ああ。俺達が答えられることなら何でも聞いていいよ。なあ、みんな?」
「勿論だぜ。」
「だってさ。」
「じゃあ…伺いますけど…もしかしてディテクティブの方ですか?」
「え…ああ。そうだけど…」
「わ〜本物だ!和葉ちゃん、青子ちゃん、園子!みんな来て!」
「どうしたの?蘭?そんなにはしゃいで…って蘭の目の前にいるのはもしかして…」
「そう。ディテクティブの方々よ。」
「う…嘘じゃないよね。」
「現実ですよ。」
快斗の一言に女性陣はさらにはしゃいだ。


「先程は助けていただき有り難うございました。お陰で助かりました。私は毛利蘭と言います。そして私の右にいる私そっくりの女の子は中森青子ちゃん、その右にいる茶髪の女の子は鈴木園子、そして私の左にいるポニーテールの女の子は遠山和葉ちゃんです。みんなガンマンで、私の親友なんです。」
「へー。噂では聞いてたけど女性のガンマンって居たんだ。」
「はい。」
「蘭さん、園子さん、青子さん、和葉さん。初めまして。俺は工藤新一です。」
「初めまして。俺は黒羽快斗。工藤の生き別れの弟です。」
「おいおい…」
「ん?どうしたんだ?兄貴?」
「俺はお前の兄貴じゃねー!」


新一と快斗が討論(口論?)中……


「さてと…俺は服部平次。ほんで横に居るんが京極真や。よろしゅうな。」
「はい…よろしくお願いします…………あの…」
「ん?どないしたんや?」
「工藤さんと黒羽さん…放っといて大丈夫ですか?」
「ああ。放っといてかまへん。な?京極ハン?」
「ええ。好きなだけやらしておいていいですよ。その内終わりますよ。」
「はあ…(本当に終わるの?)×4」


………1時間後………


「何回言えば分かるんだ!?何で俺がオメーの兄貴なんだよ!」
「顔がそっくりだからだよ!」
「関係ねえーだろ!」
「じゃあ俺はお前のドッペルゲンガーって言いたいのか!?大体『名探偵コナン』より『まじっく快斗』のほうが連載早かったから普通は俺が兄貴だろ!何で俺が弟なんだよ!?」
「知るか!お前は悪魔以上のIQあんだから自分で考えろ!」
「うるせー!」


「…………………×6」

まだ続いていた…


「なんや…だんだん内輪の話になってる気がするんは俺の気のせいか…?」
「………気のせいじゃないみたいですね。」
「………×4」


結局2時間後に2人の討論(口論)は6人がかりで止められた。


「すいません。恥ずかしい所を見せてしまいましたね。」
「いえ…別に構いません。」
「ところで…貴女方は何故まだここにいるんですか?」


「あっ…×4」
快斗の一言で4人は一気に忘れていた事を思い出し、慌てだした。


「ん?どないしたんや?そんなに慌てて…」
「実は私達…隣町の小さい家で4人で生活していたんですけど…」
「隣町!?」
「はい」
「ごめん、続けて」
「その家が誰かに火を付けられて燃えてしまったんです…」
「だから私達はこのベイカータウンで泊まれる宿がないか探してたんですけど…」
「あの男達のせいで探せなかった。」
「はい。」
「なあ、工藤。」
「十分あるぜ。」
「だったら君達…こいつの家の部屋使ったらどうかい?」
「え?」
「こいつの家…無駄にでかいから部屋なんかいくらでもあるぜ。」
「無駄にでかいは余計だがな…」
「いいんですか?」
「俺は別に構わないよ。」
「本当ですか?」
「ああ。」
「有り難うございます。」


こうして工藤邸には計8人が住むことになり、賑やかになったが、彼らはまだ気付いていなかった。
この賑やかで平和な日常が慌ただしい、非日常的な事態に陥ってしまっていることを…


〈2〉に続く



(作者の言葉)
明けましておめでとうございます。(←もう遅い)
さて、今回はガンマンの物語です。
果たして彼らは障害を乗り越え、結ばれるのでしょえか?

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