姫紫〜その後〜



By 緑川さつき様



「お願い、信じて……」
(そんな事言われたら繋ぎ止めていたブレーキが外れてしまいますよ!!)
「佐藤さん‘待った!’は無しですよ?!」

ワタルらしい言葉に思わず笑いながら彼の瞳を見つめた。

「ど〜しようかなぁー?じぁ、名前を呼んでくれたら考えるわ☆」

ウィンクしながらの仕草にワタルは顔を真っ赤になってしまう。そんな顔を見られまいと美和子を抱きよせながら耳元で囁いた。

「…な、なら僕の事も、名前で呼んでくれますか?美和子さん?」

囁かれた言葉に身体をビクリと震わすのがわかるとワタルはそのまま唇を耳元から首筋へとゆっくり這わせていく。そして、そっと美和子の頬を包み込み唇を重ねた。
はじめは優しく触れる程度が徐々に激しくなり、いつしか美和子もワタルの頭を引き寄せていた。今までの隙間を埋めるかのように……。息苦しくなり少し開いた唇の間から互いの舌がふれあい、沸き起こる感覚に美和子は酔いしれた。長い時間が過ぎたと思われるころ、ワタルは唇を離して深く息を吸い込んだ。美和子も漸く肩で息をした。そこで改めて、いままでの行為で身体の力が抜けてしまっている事に気がつき、ワタルにしがみつかなくては立っていられない状態だった。

「大丈夫ですか?美和子さん?」
「も・勿論大丈夫よ!」

なんとなく、いつもの調子で強がってはみたものの、美和子はその場から動けずにいた。すると彼女をひょいと抱き上げ、寝室に向かって歩き出した。

「高木君、あ・歩けるって!!」
「無理だと思いますよ?(笑)」

美和子は仕方なく彼の首に腕を回した。そしてベッドに横たえると冷たいシーツの感触に心臓が激しく打ち始めた。そんな彼女の緊張を解すように額にキスすると、ニッと悪戯っぽく笑いこう言った。

「それじゃ、自分で服を脱いでください。この続きをしたければですが?」
「へっ?!な・なんでそうなる訳??」
「さっき、笑ったお返しです。それにまだ、名前を呼んでもらってないですよ??」

そんな言葉をいってみる。

「わ、分かったわよ…脱げば良いでしょう!!」

勢いで返事をしたものの、慌てて手で口を塞ぐがすでに遅く…・・
美和子は口篭もりながらも、観念して脱ぎはじめた。身体に力があまり入らず脱ぐのに戸惑ったが、最後の一枚を取るとワタルをみた。すると思った以上に広くたくましい胸板が目の前にあった。

「高木君て意外と、身体鍛えていたのね?」と言いながらそっと触れてみる。
「そ、そうですか?ありがとうございます。それと、ご協力ありがとうございます、佐藤警部補。」

笑顔で言うとそのまま胸を揉みしだきはじめた。とたんに、触れられた所から電流が走るように身体がひくっと痙攣する。そして胸のつぼみを味わうかのようにゆっくりと舌で転がして楽しんでいると、美和子は息もできないほどの感覚に眩暈がしてきた。ワタルは更に両手で全体を愛撫すると、美和子は弓状に身体を反らせ、たまらず声をあげた。徐々に唇を下に移動させていくのが解ると頭を抱き寄せて阻止しようとしたが、簡単にかわされてしまう。彼は脚の内側に手を這わせ撫で上げキスの雨を降らす。しだいに自分の意思を離れてその行為だけに反応した。全身がまるでとろけてしまったような感覚に呼吸が荒くなり、喉の奥ですすり泣くような声が漏れる。

「・・っあ…!!」

その声に彼女の瞳を覗き込むと、朦朧としながらも美和子はワタルの頬にそっと手をのばした。
「どうしました?我慢できませんか?」
「・・そう…・・じゃぁ…ない……の。でもぉ…わか・・ら…・・ない!」

頬に触れている手にキスをすると、今度は秘部の周りを撫で上げていく。そして中に触れそうな所でかわされ焦らされる。美和子の甘美な声が次第に高くなるのがわかる。彼女自身それが恥ずかしくてキュッと瞳を閉じた。普段見せない表情にワタル自身も嬉しくなり、更に攻めたてて溢れ出る蜜をわざと音をたてワタルが舐めはじめた。

「あぁぁ、そんな…・こと、しなくて・いいからぁ!!」

美和子の意識は現実に引き戻されあとずさるが、ワタルの方が一枚上手で身体を脚の間に入れ閉じられないようにブロックしている。すっとワタルの指が彼女の中に入り動かすと奥から愛蜜が更に溢れて潤い快感がひろがり激しさを増し身体が震えて背中をそらした。強張っていた美和子の顔が次第によろこびへと変わっていった。

「そろそろ…いきますよ…・・。」

再び頬にキスをすると欲望の証を押しあてて身を沈めた。と、たまらず声をあげ彼にしがみつく。
「だっ、大丈夫ですか!?」
「…・わ・たしは、だい・・じょうぶよ…だから…・・」

その言葉に促させそのままゆっくりと進みつづけた。彼女の膝を持ち上げ、さらに深く入っていく。動きを徐々に速めると彼女は快楽の叫び声をあげた。歓喜の波に飲み込まれその歓びが互いにピークに達し、ワタルは美和子の中に解き放った。


「・・・・・あっ・・・・・・。」

ふと目を覚ますと、至近距離に愛しい人の寝顔が目に写り、改めて赤くなってしまう。照れくさくて背を向けるとワタルの手が何かを探すように前後して美和子を抱き寄せた。安心したのかそのままスヤスヤと眠り続けている。

「絶対に、離さないでね?ワタルくん」

そう呟いて、そのままワタルの胸の中でまた眠りについた。。。







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