レジスタ!
By 泉智様
秘密の花園:2:ヴィラ・ローザ編
「お待たせいたしました。」
そう言った店員がデザートと共にサーブしてきたのは、来店した女性客それぞれのイメージに合わせた色合いの1輪のバラだった。
「!・・わあ・・っ/////、綺麗っv。」
女性好みのロマンティックな雰囲気のレストランに美味しい食事、そして“ヴィラ・ローザ”の名に相応しい“バラのサービス”に、この日のメインゲストの快斗・青子は喜び。園子・和葉も嬉しそうに目を輝かせた。
そんな4人の様子に、ホスト役の新一と蘭は嬉しそうに微笑み会ったが、平次と真は嬉しそうな中にも、その目にフクザツな思いを滲ませてもいた。
それは、この日のメインゲストの快斗にとっても同じだったのである。
☆☆☆
「今日はありがとう。工藤君、蘭ちゃん。凄く素敵なお店だったよv。」
「どういたしまして。」
「青子ちゃんが喜んでくれて良かったわ。」
デザートも済ませた新一ら8人は、レストランを出ると、和葉をそのまま寝屋川の家まで送るという平次を除き、一旦、新一の家に戻る事にしていた。
「和葉ちゃん、今日はわざわざありがとう。」
「ううん。うちこそ、今日はホンマありがとう。工藤君、蘭ちゃん。凄く素敵なお店やったわ。ホンマおおきに。・・黒羽君と青子ちゃんも、今日はありがとうな。滅茶楽しかったわ。二人とも、また大阪に来る時には、アタシにも声を掛けてな。色々案内するから。」
「うんv。きっと、連絡するねv。」
「ああ。その時は宜しくな。」
笑顔で快斗と青子と言葉を交わした和葉が平次の車に乗り込んだ時。快斗は運転席側の窓ガラスを叩き、平次に声を掛けた。
「何や?快?」
「いや、今日はありがとうって言っておこうと思って。」
快斗の他意の無い笑顔に、平次は苦笑すると、
「こっちこそな。今度大阪に来るときは、声を掛けるんやで。良えトコ、案内するよって。」
和葉と同じ言葉を快斗に掛けた。
快斗は、そんな平次と和葉の似たもの同士ぶりに苦笑すると。
「サンキュ、そうさせてもらうよ、平ちゃん。・・・・それより、一寸・・。」
「ん?」
一瞬、和葉の方をチラッと盗み見ると。そっと平次の耳元に顔を寄せ、イタズラっぽい笑みを浮べて囁き。
「くれぐれも、“送り狼”にはなるなよ?」
「/////!」
その内容に真っ赤になった平次が何事か叫ぶ寸前、パッと体を離して、素早く一歩後退した。
「オイコラ、快/////!お前、何言うて・・・/////!」
快斗は、運転席で真っ赤な平次の素直な反応に楽しそうに笑うと、
「それより、そろそろ行かなくて良いの?早く送ってあげないと、和葉ちゃんの親御さんが心配すんじゃねえ?」
手を振って、助手席の和葉に声を掛けた。
「それじゃ、和葉ちゃん。またね〜♪」
「ウン。黒羽君、またな〜♪」
それに嬉しそうに言葉を返した和葉の声にハッと我に返った平次は、悔しそうに快斗を一睨みしてから窓を閉めると、アクセルを踏んで、その場を離れた。
助手席の和葉は、そんな平次の様子に気付かず、助手席側の窓から蘭・青子・園子に手を振ると、姿が見えなくなるまでレストランの方を見詰めていた。
☆☆☆
平次が今住んでいる“ビッグ大阪”の本拠地、そして改方学園大学・医・看護学部キャンパスのある此処から、平次の実家と和葉の家がある寝屋川までは、電車を乗り継いで1時間ほど掛かる距離にある。
和葉は、大学に上がってからも大学近くのアパートを借りる事なく、自宅から通っていた。
和葉は、早くに母を亡くして父一人・子一人という家庭環境であり。父親が気がかりだという和葉側の事情があったのだが。
父親側の裏事情としては、一人暮らしをさせて、ヘンな虫が愛娘に付いては困る・・・それがたとえ幼い頃から良く知っている平次であっても・・・という事があり。
和葉はいずれ嫁がねにと考えている平次の両親(特に静華)と、和葉を大切に思う父親の厳重なガードの下、大事に大事に育てられてきた。
当然、この日行われたパーティーの事も、ちゃんと平次と和葉・双方の親の了解している事であり。
『平次、ちゃんと和葉ちゃんを、無事、家まで送り届けるんやで?』
と、特に母親である静華から厳しく釘が刺されていた。
しかも。
二人が寝屋川に車を向けて間もなく、和葉の携帯に電話が入り。
『今日は色々スマンなあ、平次君。和葉の事、くれぐれも宜しゅう頼むで。』
『平次。気ィ付けて、運転してくるんやぞ?』
『くれぐれも、間違いの無いように送ってくるんやで?』
「〜〜〜#。」
・・・などと、釘刺し半分、実に楽しそうな声で両親‘Sから声を掛けられた日には。
いくら“強引”な平次でも“奥手”になろうというもの。
「(・・・ったく。快のアホォ。何〜〜〜が“送り狼”や。んなモン、“したくっても、できひん!”っちゅうねん#。)」
助手席に掛ける愛しい彼女が嬉しそうに“お土産のバラ”に微笑みかける横顔を、実はちょっぴり鼻の下を伸ばしながら見詰めつつも、コッソリ溜息を吐く平次。
・・一寸?!哀れな18歳の春であった。
☆☆☆
その頃、真と快斗も、新一宅を辞して、それぞれの帰途につこうとしていた。
「それでは、園子さん。」
「ええ。・・・おやすみなさい、気をつけて。」
互いに切なそうな顔を浮べつつ、軽く唇を重ね。
わずかに名残惜しさを目の端に浮かべながら、真は寮に戻った。
玄関先で真と園子が別れを惜しんでいる頃。
リビングでは、寂しそうにして自分の袖をつかんで離さない青子と、困ったように微笑みつつ、でもどこか嬉しそうな顔の快斗が並んでソファに掛けていた。
「・・青子。」
「・・うん。」
「・・何?帰る時間になったら、急に寂しくなった?」
「/////!そ、そんな事・・そんな事ないもんっ/////!」
「ふ〜ん。オレの袖を掴みながら言われても説得力ないんですけど?青子ちゃんv。」
「/////!な、何よバ快斗!う〜〜〜っ。もう、知らないもんっ/////!」
勢いこんでバッと手を離してソッポを向く青子の声は、意地を張っている時のソレで。
「・・青子。」
快斗は嬉しそうに微笑むと、そっと背中から青子を抱き寄せて、意地を張って紅潮している頬に優しく口づけ、そっと囁いた。
「・・・オレもホントは帰りたくねえけど。流石に門限破るとヤバイからさ。・・・勘弁な。」
「・・・うん・・。分かってる・・・。」
「今日、青子が応援に来てくれて、凄っげー嬉しかった。・・・ありがとな。」
「うん・・・。」
意地を張っていた青子が快斗に身体を預けるように力を抜いた事を感じた快斗は、そっと青子を自分の方に向き直らせると、青子の頬に手を当てて、青子の瞳を見詰めた。そして、もう片方の手を、青子がバラを手にしたままの手に重ね。ゆったりと微笑んで、そっと言葉を紡いだ。
「・・この花が枯れないうちに、デートしような。」
「うん・・。約束だよ?」
「ああ。・・約束する。」
「うんv。」
ようやく青子が笑顔を見せたところで、快斗は嬉しそうに微笑むと、そっと青子の唇に優しいキスを落とした。
「・・・じゃ、そろそろ行くから。」
「ウン。・・・おやすみなさい。気をつけて。」
「・・ああ。青子もおやすみ。」
☆☆☆
来た時同様、帰路も新一の車で送られることになった快斗は、
「・・潮時なんじゃねえ?」
新一のこの言葉に、物思いを抱え込む事になった。
「・・は?」
「今のお前らの気持ち。・・俺達にも覚えがあっからさ。」
「何言って・・。」
信号停止で自分を伺った新一が。
「俺達は、昨年1年間、遠恋だったからさ。今のお前らの・・・離れたくないっていう気持ち、凄っげー、分かるんだ。」
「新一。」
フッと微笑んで、何かを思い出すようにして語り始めた言葉は、まさに今の快斗の心境そのもので。
「・・・。」
宿舎までの僅かな距離・時間の間ではあったが。
快斗は静かに聞き入った。
「・・今日の青子ちゃん見てるとさあ、やっぱ、違うんだよな。お前が居ると居ないとじゃあ、表情から何から違うもんな。・・・お前もそうだし。」
「/////!・・・それは新一。お前だってそうじゃねえか。」
「(クスッ)ああ、そうだよ。・・・だから、あの日(桜見物の名目で、初めて大阪に来た蘭が帰った日)。アイツに告白した時にした約束を絶対果たすって改めて誓ってさ。・・・昨年一年間、必死だったな。」
「・・んだよ。今は必死じゃねえのか?」
「バーロ。んなワケ無えに決まってんだろ。今も必死なのには変わりねえよ。婚約しようが結婚しようが。アイツの傍に居るに“世界中の誰よりも”相応しい男であり続けてえかんな。・・・お前だってそうだろ?」
「/////!・・・ったりめーに決まってんだろ。」
「(フッ)・・まあ、その想いを青子ちゃんに言うも言わないもお前次第だけど。大事なら、ちゃんと守れよ?・・何もこの世界に限った話しじゃ無えけど、名前が売れてくると、色々誘惑が多いからな。」
「・・んだよ、ソレ。まさかお前。」
「バーロ。オレはそんなモンに乗らねえよ。でも“その手の手合い”はオレ自身やオレの両親を含め、色々見てっから。・・まあ、お前も親父さんが有名人だから、分かるだろうけど。」
「・・ま〜な。」
「オマケに俺達、容姿がソックリだろ。オレには蘭が居るっつうのに、未だにマジで迫ってくる輩がたま〜に居るんだよな。・・勿論、蘭は“その辺”を分かってくれてるけど。オレには気付かせないようにって、オレの前では平気なフリをして、物陰でコッソリ落ち込んでんだ。“自分なんかがオレの傍に居て良いのか”ってな。その度に、オレは必死で気持ちを伝えて、蘭の心が離れない様に、壊れない様に心がけてんだ。」
「・・そっか。」
「・・なあ、快斗。婚約してたって、こんな心配をかけちまうんだ。お前は、実際は兎も角、世間にはまだ“フリー”で通ってる。青子ちゃんの心配は、多分、蘭以上だと思うぜ。・・まあ、俺達みたいに“約束”があるから絶対安心とは簡単には言えねえだろうけど。少なくとも、必要以上の“不安”を持たないで済む様に、そろそろ青子ちゃんに何かを伝えても良い頃合じゃねえか?・・・今日の様子を見てたら、オレはそう思ったぜ?」
そう新一が語っている間にも、二人の乗った車は、快斗の宿舎の前に着いて。
「・・・そうか。」
「・・・まあ、どうすっかはお前次第だけど。」
「・・サンキュ、新一。」
「別に。・・・余計なお世話だろうけどな。」
「(クスッ)全くだ。・・・でも、心に留めとくよ。・・・じゃな!」
微笑を交し合った二人は、そのまま別れた。
快斗が宿舎のドアを潜ったのを確認した新一が車を出し。
それをドアの向こうでガラス越しに見送った快斗は、フッと新一のマンションのある方向を見やった。
「・・“約束”・・か・・・。」
ヴィラ・ローザでの幻想的で可憐で綺麗だった青子の姿と。
別れ際の青子の切なそうな顔が快斗の瞼の裏に妬き付いて、離れなくて。
別れ際に抱きしめた青子の身体の熱さが、快斗の想いと身体を熱くした。
「・・確かに、色々な意味で“潮時”には違いねえよな・・。」
宿舎で自分に割り当てられた部屋に戻った快斗は、その夜、今日初めて発見した青子の新たな魅力に、何時に無く身体に熱を感じ、もてあまし。
「(青子・・っ・・!)」
『快斗・・・っ。・・・あっ。』
『青子・・っ。』
『快斗・・っ。あっ!・・あっ、あああんっ!』
『青子・・愛してる・・っ!くっ!』
『快斗・・快斗ぉ・・・っ。あ・・・っ、あああああっ!』
そして快斗は、夢の中で、何時に無く激しく、青子を抱いた。
☆☆☆
快斗が新一と話をしてモンモンとしながらも眠りについた、同じ頃。
青子は、快斗と別れた寂しさに、なかなか寝付けずにいた。
同室で健やかな寝息を立てて寝む園子を起こさないようにして、そっと客間を出た青子は、
「・・お水、頂こう。」
小声でそう呟きながら、ダイニングに足を向けた。
「・・・ふうっ。」
冷蔵庫からミネラルウォーターを少し頂いた青子は、部屋に戻ろうとして、自分達が泊まっている客間とはLDをはさんで反対側にある廊下の方からかすかな声と物音がするのを小耳に挟んだ。
「(えっ?・・・何だろ?・・猫・・の鳴き声?)」
こんな時間に猫がこんなマンションの高層階に居るんだろうか?
そんな疑問がふっとわいて、そっと青子は猫らしい声のする方に、そっと足を向け。
数歩歩いたところで、その“猫の声”の正体が分かって、固まってしまった。
『・・っ、はあっ・・はあっ・・あっ、し、しんいち・・ぃっ。』
『はあっ・・・、声・・だせよ、蘭。』
『だ、ダメよぉ・・っ、・・ふ・・たり・・聞こえちゃ・・・あっ、あああああっ。』
『聞こえねえよ。二人の部屋はリビングと台所の向こう、此処とは正反対の端っこだ。間にいくつも部屋があるんだ。聞こえねえよ。・・それともお前は、ガマンできんのか?』
『で、でも・・っ。・・・あっ、し、しんいち・・っ、ソコは・・っ、あっ、やっ・・ダメよぉ・・っ。あっ、あっ・・あああああんっ。』
『クスッ。・・・良い声。もっと聞かせてくれよ、らん。』
『あっ・・・やあっ、はあっ・・・ああん・・っ・・。し、しんいちの・・い、いじわ・・るぅ・・・っ、あん・・っ、あんっ、・・・あっ、あああああんっ。』
それは、きちんと閉められている二人の寝室のドアの向こうから、かすかにもれ聞こえる睦言の声。
「(嘘ぉっ。ど、どうしよう/////。)」
青子は寝室のドアから見てリビングにかなり近い所で、真っ赤になって立ちすくみ。
戻らなきゃ拙いと思いつつも、金縛りにでもあったように、足が動かなかった。
『はあっ、あっ、ああっ・・・あん・・っ、もぅ・・ダメえぇ・・っ、・・・あっ、あああああんっ。』
『くっ・・・良いぞ、蘭・・っ。はあ・・っ。』
『あ・・っ、あっ、あんっっ・・し、しん・・いちぃ、アツイよぉ・・っ、しん・・ちぃ・・っ。』
二人の声は、青子が、いけない、聞いちゃいけないと思うほどに(実際にもれ聞こえる音量にいささかの変化も無いのだが)大きく聞こえてきて。
睦言に伴う行為の音も、そう思うほどに(上に同じくいささかの変化も無いのだが)大きく響いて聞こえた。
『あ・・っ、もう・・ダメぇ・・っ、とけちゃ・・っ、あっ、ああっ、・・・い、いっちゃうぅっ・・・。』
『はっ・・・良いぜ・・・いこう、らん・・っ、はあっ・・。』
『はあっ、ああっ・・・しんいちぃっ・・・、あっ・・あっあっ・・・あっ・・あ・・・あああああん・・っ・・!』
『くっ、らん・・っ、はっ・・ああああっ・・!』
やがて、ドアの向こうからかすかにもれ聞こえる声が一際高くなった後、急に静かになって。
「(あ・・・/////。か、帰らなきゃ・・・/////。)」
ようやく金縛りにでもあった状態から開放されたかのように、青子は心臓をバクバクさせ、真っ赤な顔で客間に戻ると、頭から一気に布団を被って、目をつぶった。
今、耳にした声から断定できるドアの向こうでの光景は、紛れも無く自分と快斗にソックリなカップルの愛の交歓の儀式そのもので。
まだ彼とそういう経験が無い青子にとって、音声だけでも耳にしたのは、物凄く刺激が強い、衝撃的な経験となった。
「(ふ、二人は、夫婦なんだから、当たり前なんだよね/////。・・・青子も、いつか“結婚”って事になったら・・・“ああいう事”をするんだよね・・・って/////!そ、そんな事。は、恥ずかしいよおっ/////!・・・でも、夫婦になるんなら避けて通れっこないし・・。快斗はどう思ってるんだろう。青子みたいにムネが無くっても、あんな風に愛してくれるのかなあ・・って/////!青子ったら、何考えてんのよお・・・って、・・・・・あっ/////。)」
だからだろうか。
快斗の顔を思い浮かべた途端。
さっき耳にしてから離れない二人の睦言の声が、自分と快斗のソレに自動変換されて。
「(や、やだあ/////。どうしよぉ・・っ/////。)」
別れ際に抱きしめられた快斗の腕の中の温かさと力強さが甦ってきて。
自然に身体が熱くなって。
無性に快斗が恋しくなって。
「(か、身体が・・・身体がアツイよお・・っ。快斗ぉ・・っ/////。)」
目を閉じてイケナイ考えを振り切ろうとすればするほど、自分が快斗と行為をしている妄想が強くなって。
「(快斗・・っ/////。)」
身体をギュッと抱きしめて、初めて感じるアツさを抑えながら意識を遠のかせていった青子は。
『快斗・・・っ。・・・あっ。』
『青子・・っ。』
『快斗・・っ。あっ!・・あっ、あああんっ!』
『青子・・愛してる・・っ!くっ!』
『快斗・・快斗ぉ・・・っ。あ・・・っ、あああああっ!』
まさかその夜、自分と快斗が全く同じ夢を見て。
快斗が自分と同じく、身体と心のどこかに疼きの様なアツさを抱えたまま、早くに目を覚まし。
「なんて夢だ・・・。」
そう呟いて。
モンモンとした朝を迎えていようとは、自宅に戻るまで知る由もなかったのである。
翌朝。
「(うう〜っ、気まずいよぉ〜っ/////。)」
園子より早くに目を覚ました青子は、一人そう思っていたが。
同室の園子も、家主の新一・蘭夫妻も、まさか青子が偶然新一と蘭の睦言を耳にして居るとは知らないわけで。
「青子ちゃん、どうしたの?目、赤いよ?あ〜、もしかして。快斗君と離れ離れになって、寂しくなって、寝付けなかった?」
目を覚ました園子に、勘ぐられ。
「青子ちゃん、大丈夫?」
「どうした?風邪でもひいたのか?」
自分に睦言の一部を耳にされたと知らない新一と蘭には、真顔で心配され。
「ち、違うよ。風邪じゃないよ。ただ、なかなか寝付けなかっただけだから、心配しないで。・・多分、昨日、良い試合をしっかり観れて、素敵なレストランにも行けて嬉しくて、目が冴えちゃったんだと思うの。工藤君も蘭ちゃんも園子ちゃんも、気にしないで。心配かけて、ゴメンね/////。」
青子は頬を染め、必死になって弁解した。
「そうか?」
「・・なら、良いけど。」
青子の必死の弁解に、まだ不思議そうな新一と蘭であったが。それ以上、問い質しはせず。
園子を交えて4人で朝の食卓を囲んだ。
「今日って、新一は午後の練習よね。明日にはまたチームに合流してアウェーの試合に行っちゃうし。」
「ああ。」
「ふ〜ん。次は確か、名古屋シャオロンズだっけ。アソコもキーパーが良いのよね。まあ、真さんほどじゃないけどv。」
「園子。お前なあ〜。フル代表の正GKを捕まえてそこまで言うか?」
「言うわよ!真さんの成績は、その人に勝るとも劣らないって言えるもの!・・それともなあに?新一君はそうじゃないって言うワケ?」
「バーロ。誰も其処までは言ってねえだろ。ただ、良いキーパーには間違いねえんだから、舐めてかかるとロクな事になんねえんだって言いたいだけ。」
「あっそ。」
「(はあ〜っ)・・ところで、蘭。今日はどうする予定なんだ?買い物か?」
「それがねえ。昨夜、新一が快斗君を送った後ね。園子の家から電話が掛かってきたのよ。急に財閥の用事が出来たから、すぐに戻って来いって。だから“青子ちゃんはどうする?”って確認したんだけど。青子ちゃんとしても、園子が居ないと心細いだろうから。二人とも、今日、帰ることになったのよ。」
「ふ〜ん。・・そうか。何時の新幹線だ?」
「それがねえ、ご飯の後、スグに仕度を済ませて出発なんだって。なるべく早く帰って来いって言われてるらしくって。」
「そうか・・。じゃ、オレが新大阪駅まで車で送るよ。朝っぱらから荷物を引っ張って駅まで歩くのも、しんどいだろ?」
「わあ〜っ。流石、新一君。優しい〜っ。」
「ハハハ。よく言うぜ。・・・じゃ、メシが済んだら、急いで仕度しろよ?今日は連休の中ごろだから、無茶苦茶に混んでいるって事は無えだろうけど。チケットの取り直しをしなきゃなんねーだろ。」
「そうね。感謝するわ。」
「ヘイヘイ。」
☆☆☆
それから1時間ほどした頃。青子は園子と新幹線を待っていた。
新一は、こういった場面ではいつもしているようにダテめがねを掛け。
蘭も(新一と一緒の今回は)そうしていた。
「慌しくて、ゴメンね。新一君、蘭。」
「否、良いよ、そんな事。それより、気をつけてな。青子ちゃんも、快斗に会ったら、宜しくって伝えといてくれ。」
「あ、ハイッ///。」
急なことではあったが、指定席券のチケットが取れた二人は、間もなく到着した新幹線で帰京し。新一と蘭は穏やかな顔で二人を見送ると、腕を組んで、駅を後にした。
☆☆☆
一方、快斗は青子より少し遅い便で、横浜に戻り。すぐさまGW最終日のホームゲームに向けて、練習に入った。
数時間の練習で汗を流し(何とか妄想を吹き飛ばした)後、身支度を済ませて寮に戻るばかりになっていた快斗は、携帯に新一からのメールが入っている事に気付いた。
「メール?新一から?・・珍しいな。何だ?」
そして、何気にメールの内容を確認して。
「何だって?!」
目を見張った快斗は慌てて寮に戻ると、車に飛び乗って、実家のある(っちゅうか、青子の家のある)江古田に向かった。
現在快斗が暮らす横浜と青子が今も住む江古田は、県境を流れる川を中心に挟んで、ほぼ線対称・等距離に位置する海沿いの街である。
時間帯による道路の混み具合もあっていつもより若干余分に時間は掛かったものの、快斗は息を切らせて青子の家の前に立っていた。
【青子ちゃんは、一緒に来た園子が家の用事で今日帰京するのにあわせて、一緒にそっちに戻った。今朝の様子を見てると、昨日と比べて、やっぱり元気が無えように感じる。お前も忙しいだろうが、早いうちに会ってやれよ。じゃあな。 新一。】
「青子・・。」
息を切らせ、車を飛ばしてきたのは良いものの、青子の親父さんの中森警部が在宅していないとは限らないし。ましてや、青子が在宅しているとも限らない。
そんな可能性を考えつつも、快斗は青子に電話をかけて確認するような事はしなかった。
根拠は無いが、青子は家に居る、そんな気がしていたからである。
「(青子。・・・青子。居るなら、出てこい。顔を見せろよ。・・・青子。)」
新一からのメールを見て、練習で意識から追い出した筈の“熱”が甦ってきたことを自覚しつつ、快斗は青子の部屋の窓を見上げ、心でそう呟いた。
☆☆☆
一方、その頃、青子は。
「(快斗・・・。)」
快斗の予想通り、自分の部屋の中に居た。
こちらは、昨夜見た夢の余韻を発散するどころか、自宅に戻って益々強くなって。
抑えようの無い熱さをもてあましつつも、どうすることもできなくて、時間だけを重ねていた。
「(青子・・・。)」
そんな青子の耳に、快斗の声が聞こえた・・・ような気がした。
「!・・・快斗?!」
反射的に立ち上がった青子は、無意識に窓に足を向け。外を見て、驚いた。
「快斗!」
快斗の車が家の前に横付けにされ。
快斗がその傍らに立って、自分の部屋の窓を見上げていたからである。
反射的に青子は階段を駆け下り、勢いよく玄関と門扉を開け放った。
「快斗・・・。どうして・・・。」
窓に青子の影を認めた快斗は門扉の前に笑顔で立っていて。
驚いて固まっている青子を力強く抱き寄せると、
「新一からメールが来たんだ。今日、青子がコッチに戻ったって。朝方、元気が無かったから、会ってやれ・・ってな。」
そう言って、嬉しそうに笑った。
「快斗ぉ・・・。」
青子は、快斗の腕の中に納められて心地よさを感じると同時に、どうしようもなかった“熱”が、快斗によって穏やかなものにかわっていく・・・そう感じていた。
この時は。
☆☆☆
この後、二人は往来で抱きしめあっていても仕方ない・・というより、世間の目も気になるので、青子の家に入った。
家の中は、自分と青子の気配しかなく。
いつもの様に、青子の部屋に向かいながら、快斗は高まる胸の鼓動を抑えつつ、そっと訊ねた。
「青子、親父さん・・警部さんは?」
青子の父親が警官である以上、その仕事は“年中無休”。
GWだろうが年末年始だろうが、お構いナシにローテは回ってくるワケで。
なまじ今の自分が昨夜見た生々しい夢のお陰で“熱”をもてあましているとはいえ。
もし警部が今日〜明日と泊まり勤務だったら、この状況は、快斗にとって実に美味しすぎるシチュエーションなのである。
快斗が期待半分(いや全開か?!)で恐る恐る?!訊ねた言葉に。
「お父さん?・・・ここ暫く警察にカンヅメよ。何でも、“シャノワール”って大泥棒が狙っている宝石がGWの期間中、美術館に展示されてるらしくって。その関係で、青子が大阪に行く少し前から、ずっと家を空けてるの。その展示はGWいっぱいだって言ってたから、もうあと一寸は、青子一人でお留守番なの。」
「/////!」
青子はあっけらかんと応えて、台所に入って行った。
快斗は一足先に青子の部屋に入ると、いつものように窓際にどっかりと座り、青子の部屋全体を見渡した。
旅行から帰ったばかりの証拠に鞄が部屋の片隅に置かれており、ベッドサイドのチェストの上には、あの時レストランで貰ったバラ一輪が花瓶に生けられていた。
「・・・。」
バラを見た途端、あの時の青子の美しさを瞼の裏に甦らせた快斗は、必死に冷静さを保ちながら、青子が入ってくるのを待っていた。
「お父さんも、大変よね。今朝の新聞を見た限りじゃ、その泥棒が出たって記事は載ってないから、大丈夫だと思うんだけど。・・・このままその泥棒が出る事無く、無事に展示が終わると良いんだけどなあ。」
「そうだな・・・。」
青子は、とりあえず快斗の邪な?!想いには気付いてないらしく、快斗の好きなココアをトレーに乗せて入ってくると、いつもの様にニッコリ笑って、快斗専用のマグを差し出した。
「美味え・・。」
「フフッ。良かったv。」
さり気なく?!色違いでお揃いのペアマグを見ながら、快斗は、
「(こうして二人っきりだと、新婚っていうか・・・。まるで一緒に暮らしているようだよなあ・・。)」
そう思い。
青子は青子で、
「(なんだかこうしてると、工藤君と蘭ちゃんみたい////・・・って、ハッ、やだっ/////。青子ったら、何考えてるのよっ/////。)」
快斗に会って抑え込まれたと思っていた“熱”が、ここにきて再び燻り出すのを感じていた。
「(ん?・・青子?)」
快斗は、青子が急に頬を染め、お揃いのマグのココアを飲まず、じっと見詰めているだけなのを不思議そうに見詰めると。自分のマグを青子の机の上に置き、青子のソレもさりげなく取って同じ場所に置き。そっと青子に近寄って顔を覗きこんだ。
「青子、どうしたんだ?顔、赤いぞ?・・まさか、風邪でもひいたのか?」
「えっ/////?!」
抵抗する間もなく、快斗がグッと自分のアタマを引き寄せて、オデコに唇を当てて検温してくれるから、青子の顔は益々赤くなって。
「か、快斗/////!だ、大丈夫、風邪なんかひいてないから/////!」
「・・・ホントか〜?」
他意無く青子のオデコに付けていた唇をそっと離した快斗は、疑わしげな目で再び青子の顔を覗き込み。
「(うわっ/////!)」
恥ずかしさで頬を真っ赤に染め、瞳を潤ませた青子の顔に、ノックアウトされた。
「青子・・・。」
無意識のうちに快斗の片手は青子の頬に伸ばされ、もう片方の手は青子の腰に回され。
「快斗?」
青子は、抵抗する間も無く、快斗に唇を奪われていた。
「ん・・っ。」
告白と同時に、快斗と初めてのキスをして。
それ以降も、何度か快斗とキスはしてきたけれど。
いつも、そっと触れるだけの、優しいキスだった。
でも、今日のキスは、包み込むように熱くて。
何度も何度も、執拗に絡むように重ねてきて。
「(快斗・・・。今日は・・・いつもと・・違う・・・。)」
執拗に重ねられる唇から伝えられる快斗の熱い想いが、怖くもあり。
でもそれをどこかで喜んでいる自分自身を感じても居て。
「はあ・・っ。快斗ぉ・・。」
「青子・・。」
キスの合間に漏れた互いの名を紡ぐ声が、いつもの自分の声じゃないと驚くほどに艶っぽくて。
無意識に閉じていた目をそっと開けた時、瞳に映った快斗の顔は、今までになく男性的な顔で。
青子は、今までに感じた事が無い程に、胸に甘く切ない疼きを覚えた。
「ど・・したの?今日・・いつもと・・違う・・。」
そして、切れ切れの吐息と共に紡ぎだされた声は、自分のモノじゃ無いと思える程に、艶めいて響いた。
「・・わかんねえ。・・・昨夜、バラを手にした青子を見てから、どうしても、青子にもっと近づきたくて・・青子が欲しくて、たまんねえんだ・・・。自分で止められねえんだ。」
「え・・っ/////?!」
青子は、快斗が言った事が、昨夜の新一と蘭のしていた事と同じ事を求めている・・そう分かって目を見張り、反射的に身体を強張らせた。
「(やっぱ・・・、怖えよな・・・・・。)」
そんな青子の強張りと戸惑いを取り違える快斗では無く。
「・・でも、無理にそうしたく無えから。・・・青子が良いと思えるまで・・待つよ。」
そう言って、切なそうに瞳を揺らめかせると、そっと青子を抱き寄せる腕の力を緩め、離れていった。
「快斗・・・。」
青子は、自分の心の準備が出来るまで待つ、そう言ってくれる快斗の熱い・・でも優しい心に打たれ。
離れていった体を捕まえると、ぎゅっとしがみついて、快斗の胸に顔を埋めた。
「あ、青子/////?!」
驚いて。反射的に青子の背に腕を回した快斗は。
僅かに震えつつも、自分の胸に顔を埋め自分に全てを預けてくるような青子に、驚きと、戸惑いと・・・期待を抱いた。
「快斗となら・・・良いよ・・・。」
「青子。」
「怖いけど・・・快斗なら、良い。きっと・・・きっと、大丈夫だから・・・。」
そして、勇気をふりしぼって微笑んで、潤んだ瞳で自分を見つめ上げる青子に、
「!・・・青子・・・っ!」
快斗は本当に嬉しそうに微笑んで、熱く唇を重ねた。
☆☆☆
青子のベッドの上で。
舌をからめあい、熱く唇を重ねあった二人は、そっと唇を離すと、お互いを見詰め合った。
「ふ・・っ、快斗・・。」
青子の瞳は今までになく艶っぽく潤み。
頬は赤く染まり。
深いキスであがった息の合間に自分の名を呼ぶ声が色っぽくて。
「青子・・可愛いよ・・。」
快斗は満足そうに微笑むと、そっと青子の首筋に唇を落とした。
「ん・・っ!ああんっ・・。」
初めて感じる甘い刺激に、自分の口から漏れた声に驚いて。
青子は恥ずかしさの余り、手で口を塞いだ。
「青子?」
「だって・・恥ずかしいよお・・。」
「どうして?オレに感じてる証拠だろ?全然恥ずかしくなんかねえよ。」
「だ、だってぇ・・。」
「聞かせて。青子の可愛い声。聞くのはオレだけなんだからさ。」
「/////!・・・快斗に聞かれるのが恥ずかしいんじゃない。」
「フッ。・・・だったら、恥ずかしさなんて忘れさせてやるよ。オレのことだけで一杯にしてやっから。」
そう言って、快斗は、青子の口に当てられた手を握り締めてシーツに押し付けると、話の間に外しておいた上着のボタンの間を広げ、青子の胸元に顔を埋めた。
「えっ?快斗?・・っ/////!あっ/////!」
「・・良い声。・・・もっと聞かせて。」
快斗は、青子の胸元に小さな花を咲かせながら、青子の手を押さえていた手を離し、そっと、青子の胸元のなだらかな双丘を覆う布を外し、優しい愛撫を与えた。
「あっ・・や・・っ、見ないでえ・・っ、青子の胸・・。」
「はあ・・っ、・・どうして?」
「だって・・っ、あん・・っ、青子の胸・・小さ・・無いもん・・ああんっ。」
青子が大阪でスタイルの良い蘭・園子・和葉と自分をさり気なく比較して、一人でコッソリ落ち込んでいる事は分かっていた。
だから、快斗は青子が自分は女性としての魅力が無いのだと思い込んでいることにも気付いていた。
「クスッ。・・・バカだな〜、青子は。」
快斗はそんな青子に益々愛しさを募らせると、青子の胸の綺麗に色づいた頂を強く吸い上げ、もう片方の胸をそれまでより少し力を込めて愛撫した。
「バカって何よぉっ・・・っ、あんっ、あああんっ/////!」
それに過敏に反応し、身体を仰け反らせる青子に、快斗は満足そうにし、手で愛撫を与えながら、言葉を続けた。
「青子は凄く魅力的だよ。胸だって、丁度良い大きさだし。凄く感度が良いしv。最高だぜ?」
「/////!」
「オレをこんなにしてるのは青子なのに。魅力が無えだって?・・・冗談じゃねえぞ?」
そう言って快斗が青子の下腹部に触れさせたモノに、青子は驚いて。
「/////!か、快斗!」
赤く染まった頬を益々赤くさせた。
「オレがどれだけ青子に狂わされてるか・・・。教えてやるよ。」
「か、快斗ぉ/////。」
快斗が初めて見せる、熱い想いの丈をこめた瞳に魅入られて。
再び快斗と熱く深い口付けを交わしあった青子は、そのまま、快斗の与える熱を素直に受け入れ、翻弄されていった。
☆☆☆
「はあっ、はあっ、あっ・・あっ・・か、かいとぉ・・。」
いつしか二人は生まれたままの姿になって、お互いを求め合っていた。
青子を求める快斗の指は、そっと青子の下腹部の柔らかな茂みに隠された泉に触れ。
「ああっ/////!」
そっと中に入っていった。
「あっ、快斗・・っ。あ・・っ、ああん・・っ。」
「はあ・・っ。青子の中・・スゲエ、熱くて、柔らかくて、気持ち良い・・。」
「あっ、やっ・・あっ・・ああっ、快斗ぉ・・っ。」
快斗は、青子が慣れてくるのを確かめながら、一本ずつ青子の中に触れる指を増やし。
同時に、そっと柔らかく快斗の指を飲み込んでいる青子の中心部に唇を寄せた。
「あっ/////!やっ!そんな・・・恥ずかし・・っ、やっ、あんっ、ああああんっ/////!」
青子の中心部から溢れる水を、残さず絡め取るようにする、快斗の舌と唇の与える愛撫は青子に強い快感を与え。
「恥ずかしくないよ。・・綺麗だよ、青子。・・・嬉しいよ。こんなにオレに感じてくれて。」
「そ・・んな・・っ、かい・・っ、あっ、はあっ、はあっ、はあああんっ。」
恥じらいと執拗に与えられる愛撫による快感で、青子の意識はぼんやりしてきて。
始めは恥らって閉じようとしていた足の力が抜け。
「かいと・・かいとぉ・・っ。」
「青子・・。凄く良い・・っ。可愛いよ。」
口からは、もう愛撫に応える女の声だけがつむぎだされていた。
「(・・そろそろ、だな。)」
快斗は、自分の指を数本飲み込んだ青子の内部が十分に潤ったことを確かめると、そっと指を引き抜き、満足そうに指に絡んだモノを舐め。
「青子。一寸、ガマン、な・・っ?」
そっと青子の頬に手を滑らせ。
熱く猛った自身の分身を埋め込んでいった。
「/////!」
瞬間。
青子の身体がその熱さから逃れるようにせり上がろうとし。
快斗は、逃げようとする青子の腰を捕まえて、ゆっくりと、青子の中に入っていった。
初めての痛みで辛そうな青子の唇の上に降りて深く口付け、舌を絡めとり。
綺麗に色づいた胸の頂を愛撫して。
青子の中心部から痛みで強張っていた力が抜けた時。
「あ・・・快斗ぉ・・・/////。」
「青子・・。ありがとな・・/////。」
二人は一つになった。
そのまま暫し、青子の痛みが治まるのを待ってから、快斗はゆっくりと腰を動かし始め。
「あっ・・痛っ・・、かい・・っ、ああっ。」
「青子・・っ。」
徐々に青子の反応が変わっていくのを確かめて、腰の動きを激しくしていった。
「あっ、かいと・・っ、あっ・・あっあっ、ああっ。」
「良いぞ、青子・・っ。」
「はあっ、快斗・・っ・・。何か・・ヘンな感じが・・するぅっ・・!」
「良いぞ、青子。イカせてやるよ・・っ。」
「あっ、快斗ぉっ。あっ、ああっ、怖い・・っ。」
「大丈夫。そのまま・・・オレが一緒・・っ。」
「あっ・・はっ、あっ・・・快斗・・っ。あ・・・あい・・っ。」
「オレも・・・はっ・・・愛してる・・っ、青子・・っ。」
「かいと・・っ、かいとぉ・・っ・・・あっ、あっあっ・・あっ、あ・・・あああああんっ!」
「はっ、青子・・っ、くっ・・はあああっ・・。」
☆☆☆
初めての行為の後。
そのまま快斗の腕枕で青子と二人、ベッドの上で休む二人の顔は、この上なく幸せそうだった。
それからというもの。
快斗がアウェーで出かける前やオフ日になると必ず、快斗は青子の胸に甘えに来るようになり。
新一と同じく、彼女の元に帰ってきた時と、出掛ける時は、熱いKiss&Hugをするようになった。
このGW以降。
青子という勝利の女神の力を頂いてゲームに望んだ快斗は、新一・真ら相手チームのライバルも認める大活躍をし。
結果、(平次との)大接戦の末であったが、J1の新人王をモノにした。
そのオフに入ると、早速、中森警部に挨拶に出向いて青子の大学卒業と同時に結婚をする許しを得た快斗は、新一同様、早々に婚約発表をし。青子との仲を世間に知らしめて、青子に群がる虫を追い払った。
そして、寮を出て、青子と婚前生活に入り。
かねてからの約束どおり、新一・蘭と(尾行するマスコミを無視して)ダブルデートを楽しんだのは、後の話である。
Fin…….
後書き
この話は、本編28話の4カップルによるデートの後日談です。
快青は、あの後、進展しそうだったので、思い切って(笑)コッチの話を書きました。
青子ちゃんが身体を熱くし、快斗をスンナリと受け入れる遠因を作ったのは、新蘭の房事(爆)だったりします。当事者に自覚はありませんが(核爆)。
青子ちゃんが快斗に『実はね・・。』とばらす事は、しません。・・ちゅうか、出来ないでしょう。逆の立場だったら、嫌でしょうし。
仮にばらしたとしても、快斗が青子ちゃんに厳重に口封じをする事は間違いありません。
ばれたら最後、大阪に行けなくなるどころか、ダブルデートの約束も、破談の危機ですから(笑)。
まあ、原作の快斗(KID)の台詞ではありませんが、“世の中には、秘密のままにしておいた方が良いこともある”という事で(笑)ご了承ください。
それにしても、やっぱり“裏”は難しいですね。
特に“本番”描写は(核爆)。
それぞれの姫が貰ったバラの色目ですが。特に指定はしていません。
でもまあ、何となく、蘭ちゃんなら“赤”。
青子ちゃんなら“ピンク”っぽい色。
和葉ちゃんなら“オレンジ”に近い赤か黄色。
園子ちゃんは・・“朱色”か“白”かなあ?・・・どうも、園子ちゃんには“緑”のイメージがあって(笑)。
表のあおり様の素敵なお話に、バラにまつわる花言葉の話しがありました。
私はその方面に疎いのですが、つぼみが少しほころんだ程度の開き具合で上の色目だと、どんな花言葉になるんでしょうね?
結果が恐ろしくて仕方ありませんわ(笑)。
皆様に(こちらも)快青らしいと納得していただければ、幸いです。
では。
泉 智 拝
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