レジスタ!
By 泉智様
秘密の花園:1:初めての夜編
元旦。
天皇杯で新一の所属する“ビッグ大阪”が優勝。
新一が“MVP”に選ばれ、その表彰の様子もしっかり瞼に焼き付けて、志保・園子・新一の両親と一緒に米花町への帰路についた蘭は、
「一寸、蘭ちゃんに話したい事があるのよ。よかったら、家に寄ってかない?」
そう有希子に誘われて、工藤邸に立ち寄った。
「悪いわね、無理言っちゃって。」
そう言ってお茶を出した有希子とリビングのソファに掛けていた優作が、この後、蘭に切り出してきた話は、蘭の心拍数を上げる事になった。
「蘭ちゃん。私たちね。実は、今日の夜にはアッチ(LA)へ飛んで、アッチで行なわれるパーティーに出なくちゃいけないのよ。」
「そこで、蘭君に折り入って頼みがあるんだが。明後日、帰省してくる予定の新一の様子を見てもらえないだろうか?新一君がコッチに居られるのは冬休みいっぱいだから4〜5日程度のことだし、私たちのLAでの用事は、それまでには必ず終わるからね。」
「私たちの帰国予定日は6日だから。それまでの3〜4日間。ちゃんとご飯を食べてるか、見てくれる程度で良いの。・・・新年早々、こんな無理をお願いしちゃって申し訳ないんだけど。・・・良いかしら?」
「あ・・は、はいっ///!」
☆☆☆
その後。
帰宅した蘭が切り出す前に、英理は蘭の部屋に一緒に入ると、(小五郎に聞こえないように)小声で、
「有希子から、連絡、貰ったわよ。」
そう囁いた。
そして、そっと音を立てないようにドアを開け、居間で退屈そうに正月番組を見ている小五郎の様子を確認した英理は、丁寧にドアを閉め。
「・・まあ、近々新一君が“義息”になるのは確かだろうから、私は構わないけど。」
「///!」
「・・・“その時”が来たら。貴方達はまだ高校生なんだから、“するべき事”はちゃんとしなさいよ?」
「/////!」
「・・これは、私から“二人へのお年玉”。」
そう言って、エプロンのポケットから小さな紙袋を出して蘭の手に握らせると。
「・・?・・・/////!お、お母さんっ/////!」
英理は、中身を確認して耳まで真っ赤になった蘭の顔を満足そうに確かめて、さっさと部屋を出て行った。
☆☆☆
「・・・んもう/////。・・・どんな顔して新一にコレを渡せば良いって言うのよ/////。」
袋の中身は、ごく一般的な“房事用品”。
しかも有名メーカー製で、素材はシリコンゴムだったりする。
(シリコンゴム製の方が、天然ゴム製のソレより、はるかに伸縮が良く、丈夫だとか/爆。)
まだ“そういう関係”に至ってない蘭が新一にコレを見せたら最後、“GOサイン”と取られる事は間違い無いし。
悲しい現実だが、一般的に“そういう関係”に至った男女間でも、コレを使って欲しいと女性側が言うのは(個人差があるだろうが)なかなか辛いものであり。
しかも、そう言ったところで、男性側は着用を好まないケースが実に多いのである。
コレを出して、新一に変に誤解をされるのも辛いが。
“その時”に、新一がソレを使うのを拒んだら・・・ヘタすると、二人の人生を大きく変える事になる。
「どうしよう・・・/////。」
蘭は、それでも一応、ショルダーバッグに紙袋ごとソレを仕舞うと、夕食を食べ、ベッドに入った。
翌朝。
「何だ。今日も、あのボーズの家に行くのかよ。」
そう、小五郎が拗ねたように言うイヤミを流して、蘭は、工藤邸を訪れた。
この冬休み期間中、有希子たちが帰るまで工藤邸の鍵を預かった蘭は、真っ直ぐ新一の部屋に向かうと、新一のベッドに座って、考え込んでしまった。
「(・・・“お嫁さん”になるってことは、つまり・・・///だもんね・・・///。)」
主が不在の部屋は広々として、きちんと片付いていて。
「(そういえば、この部屋で・・・キスを・・・したんだよね・・///。)」
新一の誕生日の時。
此処で新一を待って、転寝をしてしまった自分が、新一のキスで目覚めた事を思い出した。
「・・・///。」
そっと指先を唇に当てた蘭は、頬を染めて、あの時のキスの感触を思い起こしていた。
あの日、新一から与えられた“目覚めのキス”は、何時になく深くて・・・甘くて・・・。
「・・・/////。」
その感触をリアルに思い出した蘭は、
「(・・もし、あの時。新一を突き飛ばさなかったら・・///?!)」
思い出しただけで瞳が潤んで。
胸がキュンと甘くなって。
身体の内部深く・・・何処かが熱を持ち出した事に遅れて気付いて。
「・・・・・あ/////・・。」
自分が新一を拒んでいない・・・むしろ、求めてる?!
「・・私・・・/////。」
その事実に心が甘く疼くと同時に。
新一が怖いような・・でも一歩踏み出したいような・・そんな不思議な感覚に囚われて。
蘭は、自分で自分自身の身体をギュッと抱きしめ、目を閉じた。
その途端。
これまで何度も閉じ込められた新一の胸や腕の感触。
強さ。
匂い。
新一が鼻骨骨折で入院し、付き添った時に垣間見た、鍛え上げられて均整のとれた、新一の身体のライン。
それらがイッキに甦ってきて。
恥ずかしくなるほどに、その感触に自分が甘く酔いしれて。
新一に見惚れていた事実に、蘭は今更ながらに気付かされた。
「(どうしよう・・・。新一は、多分、無理矢理なことはしないだろうけど・・・・・。)」
今はまだ口約束とはいえ、“結婚”を考える、となれば。
今すぐではなくても、いつかは・・・。
「・・・。」
蘭は、ショルダーバッグを明け、暫しためらうように中を見ていたが。
「・・・置いておくぐらいなら、良いよね?・・紙袋に入ったままなら、中身が何か分かるわけじゃないし。」
そう、自分を納得させるように呟いて、サイドテーブルの上に、ソレを置いた。
そして翌日。
「行ってきます。」
工藤邸に入って窓を開け、家の中の空気を入れ替えて新一を待とうと思った蘭は、努めて自然に出掛けの声を掛けた。
そんな蘭の背に、英理がこれまた自然に、声を掛けた。
「ああ、蘭。一寸待ってくれる?」
「え?・・何?お母さん。」
小五郎は、英理に急き立てられ、なにやら渋々挨拶回りの仕度にいそしんでいる。
そんな小五郎の様子をチラリと一瞥した英理は、小五郎に聞こえるような声で告げた。
「今日は、あなたも分かってるでしょうけど、私もあの人も、仕事の関係者への挨拶回りに出かけるの。」
「?・・うん。そう言ってたね。」
「新年のご挨拶だから、少々時間が掛かるし。明後日の同窓会前には済ませておきたいから、一寸、帰りが遅くなると思うの。」
「?・・・・うん・・。」
「蘭。あなた、今日。有希子から、新一君の食事の支度を頼まれてるでしょう?」
「!・・う、うん/////。」
「まだ陽が落ちるのは早いし。遅くなるようだったら、泊まってらっしゃい。」
「!お、お母さん/////?!」
「有希子の了解は取れてるし、夜道を歩いて危ない目に遭うよりはマシでしょう?」
「・・・ま、マシ・・って/////・・・・・。」
この言葉に頬を染めた蘭に、英理は意味深な笑みを見せると、
「じゃ、そういうことだからv。新一君に、宜しくね。」
そう言って、仕度にもたついている小五郎の下へと行ってしまったのである。
☆☆☆
「・・・遅くなるなら泊まってきなさいって・・・/////。」
出かけ間際に英理に一本取られた格好になった蘭は、そうブツブツと零しながら、工藤邸の門を潜り。フクザツな想いで頬を染めながら、よく使うリビング・ダイニング、キッチン、そして新一の部屋の窓を開けると、簡単な掃除を始めた。
「・・よし、っと。」
(セキュリティのこともあり)まず1階にあるL・D・Kから掃除をし、窓を閉めると、2階にある新一の部屋の掃除を始めた。
昨日自分が入っただけだから、室内はほとんど汚れていないのだが。
蘭は丁寧に掃除機を掛けると、綺麗なシーツに取替え、布団を整えて、窓を閉めた。
「・・よし。・・これで、完了!」
満足そうな笑みを浮べた蘭は、ふと、昨日自分が置いたままの紙袋をじ〜っと、見詰めた。
「・・・。」
特別な意図があるわけではないが、紙袋は、ベッドの上から取りやすい場所にある。
「/////。・・・考えすぎない、考えすぎない。」
無理矢理視線を剥がした蘭は、掃除機を片付けるべく新一の部屋を離れ。
新一が帰宅した時に出せるよう、お茶菓子の準備を始めた。
☆☆☆
「・・ホント、どうしよう///。新一、絶対、気付くよね・・。・・どう思うだろう///。もし、私が“そうなる可能性”を考えて、来た・・って知ったら/////。」
蘭は、英理がくれた“お年玉”のお陰で、“自分達の距離が変わる日は、近いんじゃ・・。もしかしたら、この休みにも・・”と、無意識のうちに思ってしまっていたようだった。
なぜなら昨夜、風呂上りに蘭が選んだ下着は、今持ってる中では一番、綺麗で優しい色目で、レースがところどころ可憐にちりばめられている、清楚な中にも可愛らしい華やかさがあるものだったから。
先程、新一の部屋に昨日自分が置いておいた紙袋を見て、不意に、自分の・・誰にも知られたくない本心がソレなんだと、ハッキリと自覚して。
お茶の準備をしながら、蘭は、新一に拒まれた時のことを想い、暗い気持ちになった。
その時。
玄関の方からかすかに、人の話し声が聞こえてきて。
門扉の開く音がし。
ポーチを歩く誰かの足音と、スーツケースのキャリー音が響いてきた。
「!・・新一///!」
キッチンに立っていた蘭は、今まで考えていた暗い想いは何処へやら。
矢も盾もたまらなくなって、新一を出迎えに、玄関ホールまで走り出た。
「・・ただいま〜。」
玄関を開けて入ってきたのは、紛れもなく新一で。
新一の顔を見た途端。
蘭の中には“会えて嬉しい!”という想いだけが満ち溢れ、自然と極上の微笑が溢れ出て。
「・・お帰りなさい、新一。」
その笑顔に見惚れた新一が、頬を染めるのを、徒々、笑顔で見詰めていた。
☆☆☆
感激の再会の後。
玄関先でお見合いをしていても埒があかないので、二人はリビングに移動し、ゆったりと憩いのひと時を楽しんでいた。
「・・ふ〜ん。そっか。・・いつもいつも、使っちまって悪いな。蘭。」
「・・ううん。良いよ、そんな事。気にしないで。」
毎度の事ながら、親子揃って蘭にイロイロ面倒を掛けているというのに。
それを苦にする事無く、穏やかな微笑で受け流して、新一の目の前で寛ぐ蘭を、新一は、愛しげに見詰めた。
「・・そういえば、おじさんとおばさんは大丈夫か?今日は、父さんと母さんに頼まれたからってことで文句は言われなかったろうけど。此処に長居してると・・お前・・煩く言われるだろ?」
娘を溺愛している小五郎の事を思い。
蘭が来てくれたのは嬉しいが、暗くならないうちに送り返さねばと、ポーカーフェースの下で、必死に蘭を引き止めたいという想いと格闘する新一は。
「平気、平気。お父さんとお母さんは今日・明日と仕事関係の挨拶回りで忙しいし。明後日午後からは、中学時代の同窓会で泊りがけで旅行なの。何でもこの時期じゃないと集まれないメンバーが居るんだって。・・・今日も、遅くなって夜道を歩くくらいなら、泊まってきなさいって・・・・・お母さんが言ってたしね。」
それを受けて蘭がつむぎだした言葉に、一気に目を見張った。
「お、遅くなるならって、オイ/////!お前受験生だろーが!勉強は良いのかよ!」
「フフッ。大丈夫よ。もう終わったから・・・って。あっ/////!」
そして、蘭が新一に隠し事をしている事を知り、少なからずショックを受けた。
「・・・終わったって。一体どういうことだよ?蘭。(オレに隠し事かよ!・・・んなの、許さねえからな!)」
ショックのままに、つい厳しい眼差しになった新一に。
それを見た蘭の顔から笑顔が消えて。
しゅんとして、俯いてしまった。
「(うわっ、何、蘭を気落ちさせてんだよ!俺!)」
表向き怒りモードの新一は、内心、物凄い自責の念に駆られたが。
「推薦枠で受験して・・・合格したの。」
「何処に?」
「・・・改方の・・・看護学部・・・。」
それも、蘭が隠していた事実が何か分かった途端。
「・・・マジ?!」
蘭が自分に隠していた理由が分かり。
しかもそれが、自分にとって、どんなタイトルを取るよりも嬉しい理由だったから。
「う、うん。・・・って。・・・し、新一/////?!」
イッキに喜びを爆発させた。
「やったあっ!蘭!・・お前、凄すぎ!」
「新一/////?!」
新一は満面の笑みを浮かべ、ガバギュウーッと蘭に抱きつくと、
「蘭・・・。サンキュ・・・。」
嬉しそうに何度も頬を摺り寄せて、深く深〜く口付けたのである。
「し、新・・・んっ。・・・んんっ/////!」
新一の変貌とイキナリの行動に、最初は驚いた蘭だったが、
何度も何度も、角度を変えては降りてくる、新一の甘い口付けに酔わされて。
「ん・・・/////。」
驚きの余り入っていた力を抜いて、ゆったりと身体を預けた。
「蘭・・。」
新一は自分に縋り付く様にしている蘭の腰に片腕を廻して支えると、
「んふ・・っ、し・・んいちぃ・・っ。」
もう片方の腕で蘭の頬から髪を梳くように撫でた。
「・・・は・・あっ・・/////。」
キスの合間にもれる、蘭の甘い声と。
僅かに顔を離したときに見える、うっとりして、煽情的に潤んだ目。
蘭の赤く染まった頬を楽しみながら、何度も蘭の唇に降りた新一は、
「(ヤベ・・・。本格的に、帰したくなくなってきたぞ・・。)」
自分の身体が熱くなってきて。
同時に、腕で支えている蘭の身体から力が抜けて、熱くなっていることに気が付いた。
「(どうする・・?止まるなら、今しかねえぞ・・。ここで急いて、もし蘭に怖がられたら・・・オレは・・・。)」
新一は、理性を無理矢理総動員して、そっと蘭の唇を開放すると。
包み込むように優しく、しっかりと抱きしめた。
「・・・サンキュ、蘭。凄く、嬉しい。・・・ありがとう。」
「新一・・・。」
隠し事も誤解もなく。
幸福感だけでいっぱいな、そんな二人の熱い・・甘い視線が、絡み合って。
「(・・・もしかして・・良いのか///?)」
熱い視線だけでそう問いかけた新一に応えるように。
自分の首に腕を廻し、そっと目を閉じた蘭の、綺麗な顔を目の当たりにした新一は、
「愛してる・・・蘭・・・。(・・もう、止められねーぜ?)」
そっと蘭の唇の上に降り。
そのままゆっくりと、蘭の身体を抱きかかえたまま、ソファの上に倒れこんだ。
「ん・・・ふ・・・・・んっ/////。」
ソファの上に横たえられた蘭に、新一から与えられる口付けは。
昨日蘭が思い出した、新一のバースデーの時の“目覚めのキス”以上に甘くて。
繰り返し、繰り返し。
強く深く重ねられる口付けは、徐々に蘭の身体から力を奪い。
蘭の頭を・・身体を・・痺れさせた。
深く重ねられる二人の唇から、蘭の顎を伝って混じって流れ落ちる唾液がソファを濡らしたが。
それでも新一は、その甘く激しい口付けを止めなかった。
「・・・蘭・・。」
「・・し・・・ちぃ・・。」
暫くして。
十分に蘭の唇を堪能した新一は、一旦唇を離すと、蘭の顎をつたう唾液を舌で拭うようにして舐め取った。
「・・・ん・・っv・・はぁ・・んっ//。」
初めて其処に受ける刺激に過敏に反応した蘭が、艶っぽい声を上げ。
それを満足そうに聞いた新一は、頬に手を当てて、蘭の顔を覗き込んだ。
長く執拗に絡められた口付けで息が上がった蘭の、速い呼吸と赤く染まった頬。
泣き出しそうに潤んだ、でも艶やかな光を宿した瞳。
そして。
瞳の中にある、恐らく、新一と同じ・・想い。・・・願い。・・・・欲望。
「・・・蘭。」
蘭の潤んだ瞳に映る新一の顔は、これまで誰一人見たことの無い。
そしてこれから、蘭以外、誰一人知る事の無い。
熱さと情熱と・・かすかに潜む、恐れと不安。
それらが入り混じった、
そんな・・・。
「・・・良いか?」
“オトコ”の顔。
そして、蘭を見下ろす新一の瞳に映るのは。
うっとりと新一を見上げながらも。
これから起こることに・・否、二人で手を取り合って進む道に・・僅かな恐れと不安を抱き。
そして、恥じらいを湛えた、
そんな・・・。
「(うん・・・。)」
言葉でなく、瞳と肯く事だけで応えた、
“オンナ”の顔。
「・・・サンキュ・・///。」
蘭の“お許し”を、この上なく嬉しそうな、優しい微笑で受け止めた新一が。
始まりの印をつけようと、そっと蘭の首下に顔を近づけた時。
「・・・できたら・・新一の・・部屋が、良いな・・・。」
蘭が、新一だけに聞こえる、本当に小さな声で、おねだりをした。
「・・・。(フッ)・・・分かった。」
蘭の可愛らしいおねだりに応えるように。
新一は、そっと蘭の身体の上から降りると。
そっと蘭を抱き上げ。
「・・今日は、帰さねえから。」
耳元で・・・甘く囁いた。
「/////。」
それに返す蘭の言葉は無かったが。
言葉の代わりに、新一の首に腕を廻し、全てを委ねる様に身体を預けた。
「・・・愛してるよ・・蘭・・・。」
新一は、蘭と二人一緒に、新たなる領域に足を踏み入れようとしている事をかみ締めつつ、一歩一歩、階段を上っていった。
☆☆☆
蘭を抱きかかえて自分の部屋に入った新一は、蘭によって綺麗に整えられたベッドに、蘭をそっと、腫れ物でも扱うかのように優しく下ろすと、窓のカーテンを閉め、部屋のドアに鍵を掛け、サイドボードに備えつけられてあるランプを点けた。
そして、緩めていたネクタイをシュルッと外すと、Yシャツのボタンを二つ三つ外し。
そっと蘭の上に覆いかぶさった。
「あ・・。しん・・。」
そして、どことなく所在無げにベッドに横たわっている蘭の手をそっと取った新一は、蘭の身体がかすかに震えている事に気付いた。
「・・蘭。」
一旦、蘭の手に触れたその手を、今度は頬に伸ばし。
かすかに震える蘭の瞳を、自分の瞳と合わさせて、包み込むような微笑で見つめた。
「・・怖い?」
そっと、でも優しい声色で問う新一に、蘭は潤んだ目を開き、恐る恐る肯いた。
緊張する蘭の瞳から、今にも零れ落ちそうな涙を、新一はそっと唇で拭うと微笑んで。
「・・実は、オレも。」
そう言って、蘭の頬に当てていないもう片方の手で蘭の手を取ると、自分の胸元に当てさせた。
「/////!・・・ウソ・・・。」
服の上からでもハッキリと分かる、新一の熱い、でも早い鼓動に驚いた蘭の目が見開かれ。
「・・ど・・して・・。」
傍目には余裕綽々に見える新一が、実は自分と同じくらい・・いや、それ以上に緊張している事を知った。
「どうしてって/////。・・・そりゃ〜、当然だろ/////?」
だから、蘭が驚きの感情のままに問いかけた言葉を受けた新一は。
照れの余り目をそらし。
不貞腐れたようにして言葉を返した。
「・・蘭が、大事だから/////・・・。」
「/////!」
「・・・下手なコトして・・嫌われたくねーから/////・・。」
その言葉は、蘭を安心させ。
これから行う事への恐怖感を拭い去った。
「・・・同じなんだ。」
「蘭?!」
「私・・私も・・・新一の事、大事だから・・・。」
「・・・。」
「こうなる日を・・どこかで・・待ってたから・・・。」
「/////!」
「でも・・そんな事・・知られたら、嫌われるんじゃないかと思って・・・怖かったの。」
「・・!・・・・・蘭/////。」
安心した蘭が、柔らかに微笑んで。
新一の胸元からそっと手を離しつつ紡ぎだした言葉は、新一の心を暖め、安堵感で充たした。
「・・・・・バーロ・・。」
新一は、蘭の頬に当てた手で蘭の顎を上に向かせると、そっと、軽いキスを落とし。
「・・嫌うわけ、無えだろ?・・・オレだって、ずっと、こうなる日を待ってたんだから。」
蘭と瞳をあわせて、甘く優しく囁いて。
「新一・・。」
もう一度、蘭の唇の上に降りた。
「ん・・・。」
今度の口付けは、深く・・深く。
想いの甘さが蜜となって、全身に絡みつくような。
そんな、何もかも奪いつくすような、激しい・・口付け。
時折唇が離れる合間に吐き出される、徐々に荒く激しくなる二人の息遣い。
そして、より熱っぽさを増した二人の瞳が、ますます気持ちを昂らせた。
「あ・・っ!」
やがて、そっと新一の唇が、蘭の首筋に落ち。
蘭の上着の裾から差し入れられた手が、胸元のふくらみに触れ。
「・・あっ、ああんっ///。」
下着の下にすべりこみ。
その形を、感触を確かめるようになで上げた。
「はっ・・・は・・・あっ、ん・・っ/////。」
新一が蘭の上着を取り去り、蘭の背に手を回して蘭の胸を覆う布を外すと、自分の愛撫で高く聳えたった蘭の胸の頂が現われた。
「・・!・・・・・蘭///。」
それを満足ぞうに眺めた新一は、片方の頂を指先で撫で。
もう片方に口付ると舌を絡め、強く吸い上げた。
「あっ/////!・・・やっ、あああん/////!」
やがて蘭の胸元を愛撫していた手の片方が、腰まわりに伸ばされ。
「きゃっ///!・・・ああっ////!やっ・・ああんっ/////!」
蘭の綺麗な脚に絡む服の裾から挿し入れられた手が、すらりと美しい脚の内側をなで上げ。
新一を待って、花開く、蘭の中心に届いた。
「・・ああっ///!」
新一の指先が、新一の愛撫でしっとりと潤った、その場所に、布越しに触れ。
「・・・蘭。・・・可愛いよ・・・。」
その感触を確かめて満足げに微笑んだ新一は、蘭の中心に触れていた手をそっと離すと。
蘭の胸元を覆う布に続き、足元に絡みつく布を丁寧に取り去り。
愛の刻印を蘭の身体に刻みつけながら、自らも服を脱ぎ捨て。
お互い最後の一枚を残した状態で向かい合った。
部屋にある明かりは、カーテンの隙間から微かに漏れる、外の光。
そして、ベッドサイドにある、ランプの其れで。
「や・・あっ///。そんな・・・見ないで・・・恥ずかし・・/////。」
暗い部屋の、薄ぼんやりとした明るさの中。
「・・大丈夫。此処に居るのは俺たちだけだ。・・・・・それに、お前の肌に触れるのも、見るのも・・・俺だけだから///。」
蘭の健康的で美しい白磁の肌と、新一の鍛えられた、少しだけ陽に焼けた肌が、なんともなまめかしく互いの瞳に映った。
「・・綺麗だよ。蘭・・。・・・本当に・・・・・。」
「新一・・。」
この後。
生まれたままの蘭の、美しい姿に魅入られた新一は。
手・指・唇・舌。
そして新一の全てで、蘭を更に、くまなく愛した。
そして、新一の愛撫に応えるように、蘭の身体は益々華麗に艶やかに変化し。
綺麗で艶やかな声を上げ、新一をよりいっそう、熱く痺れさせた。
やがて、新一の手が、蘭と自身を覆う最後の一枚の布を取り去り。
布の下に隠された茂みの奥にある、華の様に美しい、生命の泉の入り口に、直接、触れた。
刹那。
その、秘されていた生命の泉から、新一に愛されて溢れ出た水が、より勢いを増して。
「はっ・・・あ・・・んっv。あああんっ////!」
新一は嬉しそうに、その水を一滴残らず飲み干そうと、泉の入り口に唇と舌をからめ。
時に強く吸い、時に舌を這わせた。
「やっ///・・・あっ、あんっ・・・はあっ!し、新・・っ/////!」
そんな新一の愛撫は、蘭に相当強い刺激を与えているらしく。
「あっ、し、新・・っ/////!・・・・・は・・はずかし・・やっ///・・!あんっ・・・はあっ!・・・し、新一っ!ああっ・・・!・・あああんっ/////!」
蘭の艶やかな声が、より一層高くなった。
「蘭・・・お前・・・ホント、可愛い・・・。」
自分の愛撫に過敏に反応し、甘く艶やかな声を上げる蘭は、新一の愛情をより一層深め。
もっともっと、相手の事を知りたい。
もっともっと、深く繋がりたいと、強く・・強く、思わせた。
「・・ちょっと・・・ゴメンな。」
「んっ/////!・・ああっ////!」
新一が、そんな想いのままに、生命の泉の奥に触れようと、指を華の様に美しい入り口から差し入れると、
「・・!ウワッ/////!・・す、凄え・・っ/////!・・・はあっ////!」
えもいわれぬ密着感が大きなうねりとなって、新一の中心部に襲い掛かってきた。
「・・くっ/////!・・・ああっ/////!」
甘く切なく・・・自分を刺激する、その密着感を、もっと・・もっと感じたくて。
「ら・・蘭・・っ/////!」
新一は、奥を探る指を、一本ずつ増やしていった。
「あっ/////!・・・ああっ!し・・しん・・っ/////!」
一本ずつ指が増え、探る場所が、蘭の奥の微妙な場所を掠めるようになり。
「あっ/////!あっ、あっ、し、しん・・・っ!・・はっ、はっ、あっ、あんっ/////!」
蘭の腰が揺れ、艶やかな反応が激しさを増してきた。
「・・・はっ、蘭・・・っ/////!」
自分の与える刺激に、蘭が激しく反応し。
蘭が反応するたびに、自身に熱さが伝わって。
「もう・・・限界だ・・っ///。」
新一は、自身に蓄えられた熱に耐え切れなくなって。
「あっ、はうっ!・・・新一・・っ/////!」
ズルリと音を立てて蘭の奥を探っていた指を全て抜くと、
「・・行かせてくれ・・・蘭・・っ・・/////!」
自身の熱を持った分身を、蘭の泉の中に埋め込んでいった。
「あっ!やっ!・・・いっ!・・・・痛っ!痛いっ!」
「蘭!」
初めてのときは、誰でも痛いもの・・・そう他人の噂には聞いていたが。
蘭も、新一の熱を受け入れるために、身体が引き裂かれるような、激しい痛みに耐えていた。
「蘭!・・・大丈夫か?!」
「う・・だ、だいじょうぶ・・・っ!・・たっ!」
「・・・。」
新一は、蘭が激しい痛みにも拘らず、それでも自分を受け入れようと頑張っている、そんな必死な顔を見て。
どうすればその痛みが和らげられるのか、全く知らなかったが。
本当に無意識に身体が動いて。
蘭の唇の上に降りると、イキナリ深く強く、蘭の舌に自身の其れを絡め。
手で、蘭の豊かな胸の綺麗に色づいた頂を愛撫した。
イキナリ唇を吸われ、舌を絡め取られ。
胸に強い刺激を受けた蘭は。
自身を襲う引き裂かれるように強い痛みと、新一の熱さと力強さに集中していた意識が、甘い刺激でボンヤリしてきて。
「う・・んん・・っ。」
痛みに耐えようと、必死に新一の背にしがみついていた腕の力が、緩んで。
「「!」」
その瞬間。
「「・・あ/////・・・。」」
スルリと痛みもなく新一を自身の中に受けきって。
「・・あ/////・・私たち・・・/////。」
「・・・ああ。・・・繋がったんだ////。」
「・・繋がったんだね/////?」
「・・・そうだよ、蘭。」
喜びの余り涙を流した蘭に、照れくさそうに微笑んだ新一が、今度は軽い口付けを落とした。
この後。蘭の痛みが落ち着いてきた頃を見計らって。
新一は、より強く深く、蘭と繋がろうと、身体を動かした。
「・・っつ!あうっ!・・・あっ!」
「・・蘭・・っ!」
始めは、痛みがぶり返して辛そうだった蘭だったが。
「・・・あっ、あっ、あっ・・しん・・っ。・・あっ、な・・・や・・・っ、ああっ!」
徐々に痛みが別な感覚に変わってきたのか、声に艶やかさが混じってきた。
「・・ハッ、ハッ・・・蘭・・っ!」
徐々に反応が激しくなって。
「・・あっ、ああっ!・・し、新一・・っ!・・・あああんっ!も・・だめ・・・え・・っ/////。」
腕を新一の背中に廻し、足腰を絡ませあい。
「・・クッ・・蘭っ/////・・!」
新一に熱く、激しく絡みついて。
「・・ああっ!・・・・新一・・新一・・・っ/////!」
奥へ・・奥へと、新一をいざなった。
「・・ら・・蘭・・っ!・・・ハッ、ハアッ・・い、良いぞ・・っ/////!」
新一に絡みつく蘭の熱さと、蘭ともっと繋がろうと何かを追い求める。
そんな二人の想いが、膨大なエネルギーとなって。
「・・ああっ!・・・・新一・・新一・・・っ/////!・・・ああっ、・・・あっ、あっ、あ・・・っ、・・あああああんんっ/////!」
「蘭っ!・・くっ・・はああっ/////!」
大津波のような・・否・・稲妻に打たれたような強い刺激が、二人をほぼ同時に襲って。
新一は、大きく肩で息をしながら蘭の中から分身を引き抜くと、ガクッと崩れ落ちるように、蘭の上に覆いかぶさった。
「ハッ・・・。わ、悪ぃ、・・お、重い・・だろ・・。ハッハッ・・。」
「う・・ウウン。・・・だ、だいじょ・・ぶ・・。」
二人の全身には、滝のように汗が流れていて。
蘭は自分に身体を預ける新一の素肌の心地よさと温かさを、嬉しく感じていた。
暫くして。
「・・・蘭。・・ありがとな。」
蘭より早く呼吸を整えた新一が、蘭の唇に軽いキスを落とすと、僅かに身体を起こし、蘭の頬に手を当てた。
「・・新一?」
「・・痛かったろ?・・・・・身体・・・大丈夫か?」
「・・・・・新一///。」
新一の瞳は、気遣わしげで。
蘭は、嬉しそうに微笑むと、頬に当てられた手に自分の手を重ねた。
「・・・・・ありがと・・。痛かったけど・・でも・・・。」
「・・・でも?」
「・・ヘヘッv、・・・嬉しかった。」
「/////!・・・バーロ・・。」
新一は、蘭の言葉に耳どころか首まで真っ赤になると、困ったように目をそらし。
蘭は、そんな新一の反応に、クスクス笑った。
あまりに蘭が笑うので、一寸、ムッと拗ねた風になった新一が、
「・・そこまで笑う元気があるんなら、もう1回、やろっかな〜♪」
ふと、そう言った途端。
「ええっ/////?!」
蘭は、目を見開き、声を上げて驚くと、一気に全身を赤く染めた。
「蘭?」
「な、何言ってるのよっ!今、終わったばかりじゃないっ/////!・・・は、恥ずかしいし。だいいち新一、アンタ身体、壊しちゃうわよ?!」
そんな蘭の反応を、新一はすっ呆けた顔で楽しそうに眺めながら、
「・・・ふ〜む。こんな、身体に良さそうな事をして、身体が壊れるなんて、ありえるのかな〜?」
「ありえるにきまってるでしょっ!・・・て、ち、一寸ぉっ!ドコ触ってんのよぉっ/////!」
蘭の胸元にある、形の良い、柔らかな双丘を包み込むようにして愛撫していた。
「・・・どこって・・・。蘭の胸。」
「/////!何をしれっと言ってるのよっ!・・・あっ、んんっ/////!もう、一寸ぉっ/////!」
手で愛撫するだけでは足りなくなったのか。
胸の上に顔をうずめた新一は、蘭の胸元のなだらかで張りのある双丘や頂にキスを贈りながら、蘭の柔らかな身体に心地良さそうに身体を預け、ポツリと言い放った。
「・・・ったく。暴れるなよな。・・・冗談に決まってるだろ?・・・・・やりたくても、ゴムがねーんだから。」
「・・・は?!」
この新一の台詞に、何を言ってるんだと思った蘭が、怪訝そうな声を上げると、
「・・・だ〜か〜ら〜。」
新一は言い辛そうに、今さっきまで使用してた“モノ”を蘭の目の前に示した。
「//////?!・・な、何っ、それっ/////?!」
「〜〜〜/////。・・・はあ〜っ。だから、これは“さっき使ったヤツ”。・・・ホラ。中にはオレの、外にはお前の“愛”がいっぱいついてんじゃん。」
「○△□×☆/////?!・・・な、なんてコト言うのよぉっ!デリカシーってモンが無いの?!アンタって人は〜っ/////!」
蘭の胸の上で頭をボカスカ叩かれながらも。
サイドテーブルに手を伸ばして取ったティッシュで“ブツ”を綺麗に包み。
外すことなくゴミ箱に投げ入れた新一は、恨めしそうに大きく溜息をつくと、言った。
「・・・・・デリカシーがあっから、ああいうモノを使ったんだろーが。・・ったく、結構面倒臭いんだぞ?いざ着けようとしたら、なかなか上手く行かなくて、5枚中、4枚、ダメにしちまったんだから。」
「えっ?!(・・・5枚中、4枚?!・・それって・・・つまり・・・。)」
どうも、蘭の視線が、“新一ってば、いつの間に、そんなモノ用意してたの?”と訴えているようだったので。
新一は、不承不承という体で、口を開いた。
「・・・一応、断っとくが。・・今日、こんなにタイミング良くアレを持ってたのは、別に最初から“ヤル気”があって、道中、買ったからじゃねーぞ。」
「・・・じゃ、どうしたの?」
「・・・貰ったんだよ。比護さんに。」
「えっ/////?!」
怪訝そうに声を上げた蘭に、新一は頭を掻くと、言葉を続けた。
「・・オレが蘭と指輪を交わす仲だって、知ってっからさ。・・・遠恋で離れてたところでやっと貰う休暇だし。オレが暴走しないとも限らねーって言ってさ。・・・万が一、暴走して、でも上手く行く様だったら、その時は使うように。・・・相手の状況を考えるなら、この位は、当然のエチケットだ・・って、言われたんだよ。」
「・・・/////。」
「・・まあ、オレもその点では同感だったからさ。それは構わなかったんだけど。・・ただ・・・。」
「・・ただ?」
「・・・初めてだからさ。こういう事をするのも、当然、こんなモノを使うのも。・・・どうすれば上手く装着できるか分からなくってさ。・・・肝心な時にブツが敗れるわ、反対に着けてボツになるわ、空気が入ってダメだわ、折角上手く行ったと思ったら、毛を巻き込んで失敗して・・・ってなって・・。」
「・・・いつの間に、そんな・・・/////。」
蘭の胸の上で、頬を染めてそっぽを向いている新一の思いやりと苦労を知って。
蘭は驚くと、そっとサイドテーブルを伺った。
確かに、サイドテーブル上の紙袋は、昨日蘭が置いたまま、触られた跡は無かった。
「・・んなコトまで言わす気かよ?」
蘭の胸の上でそっぽを向きつつ“デリカシーが無いのはどっちだよ”そう零した新一は。
ふと、胸の感触で蘭が僅かに動いたことを感じて、蘭が僅かに身体を動かした方に視線を送った。
「・・・ん?」
すると、視線の先に、サイドテーブルの明かりに照らされて、見覚えの無い小ぶりな紙袋が一つあるのが見えた。
「・・・何だ?コレ。」
「/////!」
身体を起こした新一は、慌てた蘭の手が紙袋に届くより早く、其れを取っていた。
そして、中身を確認して。
「・・・。」
確認して・・・。
「だ、ダメ〜ッ/////!」
内容に目を見開いたところで、真っ赤になった蘭に、奪われた。
ベッドの上で、お互いに半身を起こし。
真っ赤になった蘭が紙袋を胸元に抱えた状態で、向かい合った二人は。
「・・・どうしたんだ?ソレ。・・・お前、何か知ってんのか?」
“問題の紙袋”を前に、気まずい雰囲気でお互いを伺っていた。
「〜〜〜/////。」
「・・・蘭?」
しかし、いかにもワケ知り顔の蘭が、真っ赤になったまま口を開こうとしないので。
「もしかして・・・お前が、ソレを用意してくれたのか?」
新一は、わざとカマをかけてみた。
すると、蘭は途端に反応して。
「/////!バカッ!ち、違うわよっ/////!」
ハッ!としたように、慌てて口元を手で押さえた。
「・・・じゃ、誰がその紙袋を此処に置いたって言うんだ?」
「/////。」
「・・・蘭。」
新一は怒っているわけでは無いが。
じっと静かに相手を見詰め、静かに問いかける声でも。
時と場合によっては結構な威圧感を与えてしまうことがあって。
「・・・実はね。」
蘭は観念したように、紙袋の出所を白状した。
「/////。・・・マジかよ。」
「・・・ウン。」
蘭が白状した出所を知った新一は、頭を抱えると。
大きく溜息を一つ吐いて蘭の手から紙袋を取り、中身を取り出した。
「し、新一/////?!」
パラパラとビニール包装を解いた新一は、中身を一つ取り出すと。
ピッ!と1包破き、内容物の品質を確かめた。
「・・・。」
そして、英理が二人に“お年玉”として寄越した箱を見詰めると、中身が取り出しやすい状態にしてサイドテーブルに置きなおし、蘭に向き直った。
「・・・し、新一/////?!・・・・・ま、まさか/////!」
そして、何かしらの“予感”を感じ、身を引きかけた蘭を、腕を伸ばして力強く引き寄せて腕の中に納めると。
「ちょ・・し、新・・っ!」
顎に手を掛けて唇を落とし、蘭を組み敷いた。
「・・・な、何すんのよぉ〜っ/////!」
「〜〜♪・・・何って・・・決まってんじゃん。・・・折角、心遣いを頂いたんだから、ありがたく受け取らなきゃ、悪いだろv。」
「・・ちょ、っ/////v。新・・っv/////!」
自分の組み敷く新一の背中をポカポカ叩いた蘭は、この後新一が言った言葉に一気に真っ赤になった。
「・・・いやさあ〜。さっきのヤツ。実は一寸、きつかったからさ〜。こっちだったら、どうかと思って♪」
「/////!・・・な・・・だ、だったら、別に今日じゃなくたって・・っん・・・っ、・・・んんっ/////!」
「・・・それに、まだ夜は長いし〜?」
「バッ、バカッ/////!」
結局。
新一のフィッティング感・実地検査は、この後、“少なくとも”1回は行なわれ。
「・・・ら〜んv/////?」
「・・もうっ/////!いい加減にしないと、身体に悪いわよ〜っ!」
「・・そうか?」
「そうなのっ/////!」
その使用感に満足した新一は。
数年後の未来、子どもを作ろうと蘭と二人で決めるその日まで。
ちゃんとその“英理推奨”のソレを使い続けた・・とか。
ともあれ、この日以降。
二人の仲は、益々強く、深くなったのである。
Fin…….
後書き
この話は、本編(19)で若干触れられている、新蘭の“初めての夜”への道を書いたものです。微妙に台詞が変わっているところもあるかもしれませんが、その辺はお許しください。
この話が事実上“本格的に裏”をと考えて書いた処女作です。
新ちゃんと蘭ちゃんの初体験が、私の初の完全裏話とは。一寸嬉しかったりして(自画自賛)。
期間限定・・・ではなく、常設展示ですので、幾久しく楽しんでいただければ、幸いです。
泉智 拝
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