はちみつ


By 羽柴螢様











甘い蜜は誰のため?















「ごめんね?蘭ちゃん、急に上り込んじゃって」



「ううん。気にしないで?青子ちゃんが来てくれて私は嬉しいよ?」



「ホント??」



青子は、大きな瞳を輝かせて、蘭を見つめる。

蘭の中でゾクリと衝撃が走る。


彼女は可愛い。女の自分が見ても。



「ホントだよ?ホントに来てくれて嬉しいよ」



最初出会ったとき、彼女は蘭に似た幼さの残る可愛い女の子だった。

仲良くなるにつれて、最初の印象はそのままに、けれど確実に。

淡い・・・雰囲気を感じるようになる。



蘭には、それが誰のせいか知っている。



彼女の全ては誰に注ぎ、誰に培われたのかも。

自分がそうであるように・・・・・・



「えへへ〜良かった!青子、蘭ちゃん大好きなんだもん!!」



「ふふふっ・・・私だって、青子ちゃんが好きだよ?」



冷蔵庫からケーキを取り出しながら蘭はにっこりと微笑む。



その笑顔の美しさに、青子の心臓は、敏感に反応する。



あれ?あれれれ???



彼女は美しい。女の自分から見ても。



「ふふふっ・・・顔真っ赤だよ?」



「えええ??!」



悪戯っぽく笑われて青子の温度は一気に上昇する。















最初出会ったとき、彼女は自分に似た。

優しくて強い女の人だった。

仲良くなるにつれて、それだけじゃない。

弱い面、儚さ面があるのを感じるようになった。



同時にすごい憧れを持つようになった。



「ほんとに、可愛いね。青子ちゃんは」



青子はそれが誰のせいか知っている。



自分にも大切な大事な人がいて。

その人から全て・・・・・・注がれてるから。



「あ、青子なんかより、蘭ちゃんの方が・・・っ」



「はい、あーん」



ふいに、自分の大好きなケーキを口に運ばれて、青子は無意識のまま口をあける。



もぐもぐ。



「おいしい!!!」



「じゃ、今度はもっと良いものあげる」



「何々???」



「目つぶって?」



蘭の囁く様な声に沿って、そっと・・青子は、目を閉じる



「んんっ・・・・」



青子の口に広がったのは、甘いケーキと柔らかな唇の感触。

抵抗するまもなく。舌が入ってくる。



相手がいつもと違うからなのか、それとも蘭だからなのか、痺れるような快感が青子を襲った。



「んんっ・・・・はっ・・蘭ちゃ・・・」



蘭の唇は首筋へ降り、くすぐったいような感覚が青子を熱くさせる。



「やっ・・・」



「嫌?」



青子の首筋に顔を埋めたまま、蘭は声を返す。



嫌???嫌・・・じゃない・・嫌じゃないけど!!!



「らっ蘭ちゃん!!!」



「何?」



「あ、青子のこと好きなの!!!?」



あああ〜〜〜!!違う!!そうじゃなくて!!!



「青子ちゃんは、私が嫌い?」



上目ずかいで青子を見る。



「好き!!!好きだけど・・・!!!」



即答してしまう青子。思わず顔が赤くなる。











「私も、青子ちゃんが好き。大好き」



「蘭ちゃ・・・」



その先は言えなかった。甘い唇が青子を包んだから・・・・・





















甘い甘い蜜が溶け合う昼下がりの午後。















FIN…….





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