C-K Generations Alpha to Ωmega Under
By 東海帝皇&ドミ
第二部 裏・勇者激闘編
Vol.13.5 Jealousy Night
3月10日、夕刻、6時。
お台場にあるミカエルグループ傘下のセラフィムホテルでは、従業員一同が緊張の面持ちで動いていた。
ミカエルグループの社長令嬢である虎姫桐華が、パララケルス王国の王太子殿下を伴って現れたからである。
元々、王太子殿下は、お台場でお忍びデートを堪能した後、米花市にある大使館に戻る筈であったのだが。
お台場近辺が、時ならぬシャドウエンパイアとの戦闘に巻き込まれ、殿下は激しくお疲れになった上に、帰りの交通網も暫く麻痺していた為、急きょ、殿下の体調をおもんばかって、こちらにご宿泊あそばされる事になった為である……というのは、勿論あくまで、表向きの理由で。
実際は、王太子御自ら、戦闘に参加し、疲労困憊の状況にあったのだ。
ちなみに、この時戦闘に参加していた(一部、戦闘が終わってから駆け付けた者もあったが)メンバーは、それぞれにこのホテルに宿泊する事になっていた。が。
ホテルの従業員には、「虎姫桐華の友人知人が、たまたまお台場にいてバトルに巻き込まれ戻れなくなった為」と、説明されている。
ホテル側としては、実は今回の戦闘での宿泊キャンセルも多かったので、空き部屋も食糧在庫も充分にあり、その点は問題なかったのであるが。
王太子殿下は、当然の事ながら、最上級のスイートルームを宛てられていて。
他のメンバーは、普通のツイントリプルシングルの部屋を男女別に適宜割り当てられていた。
但し、成人しており、公認のカップルである高木警部補と佐藤警部は、何と同室であった。
ここに至り、何とこの2人は既に深い仲になっているという事を、少年探偵団を除くメンバー全員が知るところとなった。
宿泊費食費は言うに及ばず、メンバー全員の分の、下着も含め着替えまで、ミカエルグループで面倒をみるという、太っ腹。
「良いのでしょうか?ご馳走になった上に、ここまでして頂いて……。」
普段、阿笠博士には平気でたかっている光彦も、さすがにこれはけた違いにお金がかかっているのではと考え、恐縮していた。
「そ、そうだね……わたし達、戦闘に参加してないのに……。」
「でも、腹減ったぜ……ご飯だけは、欲しいよな……。」
歩美は申し訳なさそうに言ったが、元太は空腹のあまり、ものを考える余裕がなかった。
鰻重は出るのだろうかと、それが最大の関心事であった。
桐華が、微笑んで一同に言う。
「ミカエルグループは、全面的にC−Kジェネレーションズとアルファトゥオメガをバックアップいたしますわ。一応、交通機関はようやく復旧したようですけれども、今から帰るのはかなり大変でしょう?ゆっくり英気を養って、次回の戦闘に備えて下さいませね。」
少年探偵団の親元には、桐華から既に連絡を入れている。
それぞれの家族は、たまたま高校生のお姉さんお兄さん達と一緒にお台場に遊びに行ったところ、不幸にも戦闘に巻き込まれ、幸い怪我ひとつないが、交通機関も混乱しており、こちらで保護するという風に、ていねいな説明がされていた。
ちなみに、他のメンバーもそれぞれに、家庭がある者は桐華から連絡が入っていた。
毛利小五郎は恐縮し。
鈴木史朗は知己の間柄でもあるので、快諾し。
中森警部は驚きながらも状況を受け入れ。
・・・という具合だった。
桐華の優しい微笑みに、少年探偵団3人はぼおっと見とれる。
「……これが、さっき嫉妬のあまり壊れかけていた桐華さんと、本当に同一人物とは、信じがたいぜ……。」
快斗がぼそりと言った。
すると。
「黒羽さん、何か仰いまして?」
『!』
桐華が、柔和な微笑みを快斗に向ける。
快斗やコナン達は、その笑顔の恐ろしさに、思わずすくみ上がっていた。
「い、いや、別に……。何も……ははは。」
「変な方。おほほ……。」
少年探偵団とレオン王太子を除く全員が、桐華の怒りの大きさを感じ取って、総毛立っていた。
「お食事は、7時半から、富士の間ですから。その間、お休みになって下さいね。」
桐華の言葉で、それぞれに、あてがわれた部屋へと引き上げる。
全員、同じ階に部屋が用意されていた。
「それにしても!納得行かんでござる!何故、拙者と主殿が別の部屋なのでござるか!?渉殿と美和子殿が同室だというのに、おかしいでござる!」
息巻いているのは、風吹である。
「それは、仕方ないでしょう。あの2人は自分の事に責任を取れる成人なのですし。」
「拙者とて、自分の事に責任をとれるでござるぞ、探殿!」
「……残念ながら、忍者の里と日本国の法は、違うのですよ。日本国の法律では、成人は20歳と決まっています。」
「20歳未満で処女と童貞なんて、今や特別天然記念物……むぐむぐ……!!」
「……それは、言っちゃ駄目じゃないの!少なくとも、ここにいる未成年のメンバーは全員、処女と童貞よ!」
風吹の口を押さえてたしなめたのは園子だが。
「んな事、こんな場所で大声で言うなよ……。」
呆れたコナンの言葉は、全員の気持ちを代弁していた。
実際、確かに今現在のところ、園子の言った事は、間違いではなかったのであるけれども。
ちなみに、部屋割は。
1、コナンと式神新一と陽介。
「コナン殿!拙者と代わって下され!実質的に2人部屋……!むぐむぐ!」
「あんたはちょっと黙っときなさい!」
恵子が、少年探偵団をちらりと見ながら、呆れて風吹の口を押さえた。
2、快斗と探。
「何で、オメーと同室なんだよ!?」
「仕方ないでしょう。僕だって、ちっとも楽しくありませんよ。」
お互いに嘆息する2人。
3、蘭と園子。
4、青子と恵子。
上記ふた組は元からの親友で、特に問題なし。
5、紅子と風吹。
「紅子殿!拙者と一緒にいても、楽しくないでござろう!だから部屋替えを……!」
「はあ。あなたも、懲りない方ですわねえ。でも、駄目ですわよ、わたくしもまだ、探さんと朝の……。」
「朝の、なんでござるか?」
「皆まで言わせないで下さい……。」
6、コナンを除く少年探偵団。哀、歩美、元太、光彦。
少年探偵団の部屋は、キングサイズのダブルベッドが置かれている部屋である。
「どうして、コナン君は歩美達と一緒じゃないの?」
「さあね。大人ぶりたいんじゃないの?」
「いつも、単独行動ですよね。」
「少年探偵団の仲間って自覚が、あるのかよ?」
「ははは……単に、いくらキングサイズのベッドでも、5人で寝るには狭いかなって話なんだけど……。」
コナンの苦労は絶えない。
7、渉と美和子。
「さ、佐藤さん……こういう高級ホテルに無償で泊まれるとは、何と言うか……ありがたいと言うか、落ち着かないと言うか……。」
「あらそう。じゃあ、帰る?1人だけ。」
「ええっ!?ちょちょちょ、待って下さいよ、佐藤さん!」
「冗談よ。」
美和子はくすりと笑い、渉の首に両手を回し、潤んだ目で見上げた。
「温泉旅行に行く話、まだ、果たして貰ってないわよね……。」
「さ、さと……美和子さん……。」
「待ってるからね……今夜は、予行演習……。」
既に、みなとみらいの戦闘後にそういう仲になっていた2人にとって、今夜はまた、熱い夜になりそうである。
当然、各部屋にバストイレ完備だが。
天然温泉の大浴場も、あった。
女性陣は、夕食まで間があるので、誘い合って大浴場へと向かった。
「ほわわ〜。蘭ちゃんも園子ちゃんも、胸大きいのねえ……羨ましい……。」
脱衣所で恵子が、思わず目を丸くして言った。
「蘭ちゃんと青子、おんなじ顔してるのに……。」
「悪かったわね、恵子。青子の胸がなくて!」
同じ江古田学園の紅子と風吹のスタイルの良さは、前から分かっていたが、服を脱ぐと余計にすごい。
青子と小学生の2人を除き、皆、ナイスバディ揃いで、恵子は嘆息する。
「みんな〜、美人な上にスタイルも良くてって、もう、犯罪だわよ……。私の所に男が回って来ない筈だわ……。」
そこへ最後に、桐華が入って来て。
そのダイナマイトボディに、皆、目をむいた。
「すごっ……!着やせするんですね、桐華さん!」
目を見張る蘭。
「そのブラ、海外ブランドものだけど……単にブランド好きなんじゃなくて、もしかして日本のメーカーだとサイズがなかったりして……。」
美和子もさすがに息を呑む。
「まあ、嫌ですわ……事実ですけど……。」
はにかみながら桐華が浴場へと向かった。
「コナン君も、やっぱり、胸が大きい方が良いのかなあ……。」
「吉田さん。あなたはまだまだこれからなんだから、余計な事考えないの。」
目を落として言う歩美に、哀が声をかける。
「そうそう、私達だって小学校1年の時は、同じようなもんだったわよ、ねえ蘭?」
「そ、そうよね、まだまだ、歩美ちゃんはこれからよ!」
「でも、歩美、今すぐ大人になりたい……だって……。」
「吉田さん。あなたは、10年もしたら、誰も敵わない素敵なレディになれるわ!私が保証する。」
哀がそう言って、歩美の肩を抱いて浴室まで連れて行く。
園子が嘆息した。
「アヤツも、罪作りな男だよねえ。どこが良いんだか。」
「園子っ!」
「だってねえ。歩美ちゃんの目から見て、コナン君の気持ち、見え見えだって事なんでしょ?まったく、男ならそういうの、表に出すなっての!」
「一概にそうとは言えないのではなくって?」
横から嘴を入れたのは、紅子である。
「あの子には、可哀相だと思うけれど。でも、諦めるって事も、覚えなければなりません事よ。ヘタに期待をさせる方が、可哀相だと思いますわ。」
「紅子さん?」
「……片恋の辛さは、このわたくしにだって、分かりますもの。」
「「「「「「えええっ!!?」」」」」」
「……昔の事ですわ。もう、忘れました。今は、幸せですもの。では、お先に……。」
紅子が艶然と微笑み、浴室へと消えて行く。
「あんな綺麗な紅子さんに、そんな事があったなんて……。」
蘭は呆然とつぶやき。
青子は、そっと目を伏せていた。
「いつまでもこんなとこでだべっていては、風邪をひくでござるよ。」
「そうね、早くお風呂に入って、サッパリしましょう!」
そして一同は、浴室へと向かった。
結局、全員、大浴室なり部屋のバスルームなりで汗を流し。
皆が富士の間に揃ったのは、7時半の集合時刻ギリギリであった。
富士の間は、名前は和風だが、洋風のパーティルームであった。
桐華に言わせると、場合によって洋室にも和室にも変えられるようになっているとの事だった。
「おお!鰻重が!」
元太の前にだけ、特別に鰻重の準備がされていて、元太は目を輝かす。
「あんま急いで食ってのどに詰まらすなよ。」
コナンが声をかけるのと同時位に、元太がのどに詰まらせ、胸をドンドンと叩いていた。
「ほら、言わんこっちゃねえ。」
コナンが背中をポンと叩く。
「ふえ〜、死ぬかと思った……。」
「鰻重で死ぬのは、本望か?」
「死ぬのは嫌に決まってるだろ!」
このやり取りに、一同はくすくす笑う。
「大体、みんなまだ、食事は来てねえんだぜ。オメーだけ特別に先に来てたんだからな。桐華さんの心遣いに感謝しろよ?」
「桐華姉ちゃん、ありがとうな!」
「いいえ。喜んでいただけて、嬉しいですわ。」
桐華は、苦笑まじりに微笑んで返した。
「ん?快斗兄ちゃん、顔色が悪いけど、どうしたの?」
コナンが、少年探偵団の手前、口調を変えて快斗に言った。
「い、いや……何でもねえよ……。」
「ふふ、快斗はお魚さん駄目なんだよね。」
「アホ子!ばらすなよ!」
『え〜〜〜〜っ!?』
江古田組以外の一同が驚く。
「マジで?」
「……わりぃかよ……。」
「鰻重を見るだけで駄目となると、相当重症なんじゃないの?」
「だから!ほっとけっ!!」
「じゃあ。今度キッドの予告状が届いた時はお宝の傍にお魚の絵でも準備していたら良いんじゃないの?」
「て・め・え!!」
「快斗兄ちゃん、こわーい。」
快斗は、怒り憤懣といった顔だが、少年探偵団の手前怒りをあらわにする事も出来ず。
コナンの正体を知る他の一同は、呆れかえっていた。
「実は、今日の料理は、和風海鮮会席にしようかと……。」
「げ。ゲゲーッ!!すみません、今日の料理はパスという事で!」
快斗が顔色を変えて席から立ち上がろうとした。
「いえ。と、思ったんですが、黒羽さんがお魚苦手だという事を思い出しまして、急きょ変更させて頂きましたわ。」
「ほーっ。お心遣い、感謝します……。」
快斗は、ぐったりしたように、椅子に再び座り込んだ。
「あれ?そう言えば、新一お兄さんはどうしたの?」
「近くで起こった事件で、呼ばれて行っちまったよ。」
歩美の問いに、コナンが無難な返事を返した。
本当は式神に食事をさせると色々まずい事があるからだったが、それは言えない。
「事件に呼ばれた」のが、無難な返事というのも、悲しいものがあったが。
全員に、まず飲み物が注がれる。
成人組は生ビール、未成年はジュースもしくは烏龍茶だった。
レオン王太子が、グラスを捧げ持つ。
「今日の戦闘、初の空中戦でしたが、何とかシャドウエンパイアを退けました。お疲れ様でした。お互いの健闘を称え、明日以降の先頭への英気を養いましょう。それでは、乾杯!」
『乾杯!』
乾杯の後、洋風コース料理が、次々と運び込まれる。
舌ビラメのムニエルも、快斗の分だけ、鳥料理に変更されるなどの配慮がしてあった。
「すっごい、おいしいね。」
「最高ですよ!」
「さすがは、ミカエルグループの一流ホテル。素材も味付けも、素晴らしい。」
皆、口々に褒めながら、料理を口にした。
「それにしても、桐華さんの心遣いは素晴らしい。レオン王太子殿下のお妃に相応しい、最高の女性だと思いますよ。」
快斗の言葉に
「まあ、いやですわ。」
と、桐華がはにかむ。
(けっ、気障なヤローだぜ……。)
心の中で呆れるコナン。
自分の事には丸っきり自覚がないコナンである。
「まさしく、第1王妃として相応しい方ですね。」
渉も褒め称える。
すると。
スコーーンッッ!!
突然、渉の顔の横を、何かがすごいスピードで飛んで行った。
渉が青くなりながら、振り向いて背後を見ると、壁にステーキナイフが突き刺さっている。
「あらまあ、嫌ですわ。手が滑ってしまいまして、ワタクシとした事が……おほほほほほ……。」
(滑っただけで、あんなスピードで飛びはしないだろ(でしょ)(でござろう)……。)
そこにいるレオン王太子以外の全員が、心の中で突っ込んでいた。
ちなみに、レオン王太子は、愛する女性がまさか「わざと」そういう事をするなど、夢にも想像しておらず。
本当に手が滑っただけだと信じていた。
「渉君!第1とか第2とか、そんな形容つけたら、ダメでしょ!」
美和子が血相を変え、渉の耳元で言った。
「はっ!そ、そうでした……。」
つい先ほどの、高千穂晴香警視との事が脳裏に浮かんだ渉が、更に青くなってオタオタした。
……という風な一幕もあったが。
一同、美味しい料理に大そう満足し、それぞれに自室に引き上げて行ったのであった。
「ぐっふふふ。主殿の部屋は、こちらでござったな……。」
夜中……までは行ってないが、皆、今日の疲れで、早くに就寝していた……筈であったが。
廊下をひたひたと進む女忍者が、ひとり。
「こんな事もあろうかと、コナン殿の最後のデザートに、眠り薬を仕込んでおいたでござる。今夜は……ぐふふふふっ。」
近代ホテルのセキュリティも、伊賀忍者上忍の前には、殆ど無力であった。
風吹は、コナンと陽介の部屋の鍵を開け、忍びこむ。
コナンも陽介も、よく寝ていた。
式神新一は、コナンが寝ているので活動を停止していた。
「さあ!主殿!拙者と、めくるめく夜を過ごすでござる!」
風吹が陽介のベッドに行き、自身の着ているものを全部脱いで、陽介の布団をめくった。
「主殿。主殿!」
しかし、風吹がいくら揺すっても、陽介はピクリとも反応しない。
「主殿!ええい、仕方がないでござる、このまま既成事実を作るでござるよ!」
そう言って陽介の服を脱がせ始めた。
そして、陽介の一物を取り出し、手で刺激しようとした。
その時。
「その辺で止めといたらどうだ?風吹さん。」
呆れたような声が響いた。
「な゛っ!?」
思わず風吹が構えを取る。
その目の前に、寝ていたと思っていたコナンが立っていた。
「コナン殿!そなたは、丸一昼夜は眠りこけている筈!な、何故平気なのでござる!?」
「ああ、なるほど。よく利いてるようだぜ、その眠り薬。」
「な゛っ!?ま、まさかっ!?」
「……風吹さんがオレのデザートに何か仕込むのが見えたから、こっそり陽介さんのと交換したのさ。」
「ひ、卑怯でござるーーっ!」
「風吹さんに言われたかねえよ……。」
「もしそれが毒だったら、どう落とし前つける積りでござる!?」
「はああ?風吹さんがオレに毒を仕込むなんて事、あんのかよ?第一、陽介さんが毒で死んだら、その際罪を問われるのはオレじゃなくて風吹さんだぜ。」
「な、何て腹黒いでござるかあーーーーっっ!?」
「……まともに話が通じねえな。恋は盲目とは、よくも言ったもんだぜ。」
「くっ!たとえ眠ったままでも、既成事実を作ってしまえばこっちのものでござる!コナン殿、改めて眠って貰うでござるぞ!」
そう言いながら風吹は、脱いだ服に忍ばせていた筒を蹴り上げて手に取り、眠り薬を仕込んだ吹き矢を構えた。
勿論、風吹は伊賀忍者上忍、常人であれば、あえなく眠らされていたのは、間違いないが。
幸か不幸か、相手は常人ではなかった。
ぱしゅっ!
「ふにゃ〜はらほらひれ〜。」
麻酔銃を撃ち込まれ、あえなく倒れる風吹。
コナンは、式神新一を使い、風吹に再び服を着せ、紅子の部屋へと運んだ。
「風吹さん!?こ、これは一体!?」
驚く紅子。
コナンは、今夜の顛末を紅子に話す。
「ハア……ここまでするとは……さすがのわたくしも、風吹さんには敵いませんわ……。」
「敵わないって?」
「わたくしも随分腹黒い積りでおりましたけれど、上には上がいるものですわね……。」
「は、はは……それは、敵わなくても構わないんじゃ……。」
コナンは呆れつつも、風吹を置いて去って行った。
☆☆☆
晩餐が終わった後。
レオン王太子は、部屋の中で1人、窓から夜景を見詰めていた。
いつもだったら、お付きの者が2〜3人はいるのだが、今日は全くの1人である。
それが寂しい訳ではない。むしろ、ホッとしていたかもしれない。
戦闘で危うく死にかけて、疲労の極みにある筈だけれども、若い王子の体力はかなり回復していて。
目が冴えて眠れそうになかった。
「美しい人だったなあ……。」
夜景の中に浮かぶ面影は、今日会ったばかりの高千穂晴香警視である。
「桐華さんとは、また別の魅力を持つ女性だ。また会いたい……。」
美しい女性も、霊力の高い女性も、沢山見て来た筈だけれど。
どうして、晴香にここまで心惹かれてしまったのか、レオンは自分でも分からなかった。
桐華への後ろめたさも、ある。
レオンは確かに桐華を大切な女性と思っており、既に想いを打ち明け合って、口付けを交わした仲である。
将来、桐華を王妃にと、考えていた。
パララケルス王家は一夫多妻を容認……というより、当たり前とされて来ていたが。
現王と先王にならい、レオンも、ただ1人の妻を守って行く積りだった。
しかし、心が揺らぐ。
その時。
「!」
続き部屋の方に、何かの気配を感じた。
侵入者かと思い、神経を研ぎ澄ます。
そっとドアに忍び寄って、開け放った。
「誰だっ!」
構えを取ったレオンは、そこに思いがけない姿を見て、息を呑んだ。
「桐華さん!こんな夜中に、一体……!?」
しかも、桐華は、ネグリジェ姿である。
薄地のネグリジェは、かすかに桐華の体の輪郭が見えて、レオンは思わずごくりと生唾を飲み込んだ。
桐華が、切なげにレオンを見詰める。
「あの。殿下……ワタクシ……。」
「き、桐華さん!そのような格好で!な、何故ここに……!?」
「殿下。ワタクシを、殿下のものにして下さいませ。」
「えっ!?」
桐華は、ネグリジェの背中のファスナーを下ろし、ネグリジェはそのまま床に滑り落ちた。
下着はつけておらず、生まれたままの姿をレオンの前にさらす。
服の上から想像していたよりはるかに豊かな胸。
対照的にウェストは細くくびれ、腰回りは適度に豊かな肉付きをしている。
レオンは、自身の下半身が熱を帯びているのを自覚していた。
反射的に、手を前に出して顔を背ける。
「桐華さん!そ、そ、そのような!早く服を着て下さいっ!」
「……殿下……?」
桐華は、テーブルの上に置いてある果物の鉢から、果物ナイフを取ると、自分の喉元に当てた。
「桐華さんっ!?何を!?」
「ワタクシ……考え違いをしておりましたわ……みっともないところを見せて、申し訳ありません……死んでお詫びを……。」
「ちょちょ、ちょっと待ったあ!な、何をバカな事を!」
レオンが手を伸ばして桐華の方へ寄ろうとする。
「近寄らないで!それ以上近付いたら、ワタクシ……!」
「き、桐華さんっ!」
「殿下……お慕いしております……でも。殿下にとってワタクシは……。」
桐華が、はらはらと涙を流した。
「違う!違うんです、桐華さん!私は!今夜、あなたの寝巻姿を見た時から、ヨコシマな欲望が……!」
「……本当ですの?」
「本当です!あなたに何も感じないのではなく、その逆なのです!あなたに無体な事をしでかしそうで、私は……!」
桐華は、目を丸くして、レオンを見詰めた。
レオンが近付いても、桐華は動こうとしなかった。
レオンは、桐華の手にある果物ナイフを取ると、そっと鉢に戻した。
そして、大きく息をつきながら桐華を抱き締める。
「まったく。無茶な事をなさる方だ……。」
「殿下……。申し訳ありません……。」
桐華はレオンを抱きしめ返して、再び涙を流した。
「覚悟は、決まっているのですね?私が女性を抱く時は、王統を存続させる為に、避妊する事も許されない。勿論、堕胎などもっての外だ。桐華さん、あなたは、国母になる覚悟は、おありですか?」
「……その覚悟もなくて、今夜ここに来たりは、いたしませんわ……。」
レオンは、桐華を抱き上げると、そのままベッドへ運ぶ。
そして、自身も、まとっていたバスローブを脱ぎ落した。
桐華の上にのしかかって、抱き締め、口付ける。
舌を桐華の口の中にいれ、桐華のそれに絡めた。
「ん……う……!」
桐華は、レオンにされるがまま、じっとしている。
レオンは、一度体を起こし、桐華の全身を改めて見つめた。
この瞬間、レオンの頭に晴香の事は思い浮かばず、目の前の桐華の事だけで占められる。
「美しい……。」
「あ……殿下……。」
レオンが、桐華の豊かな胸を掌で覆い、突起に指を触れると、そこはピンと立った。
「あ……んんっ……!」
「……声を、我慢しなくて良いです。」
「で、でも。こんな、はしたない……ああっ!」
「はしたなくなんか、ない。可愛いですよ……。」
レオンが、桐華の胸の赤い果実を口に含むと。
「はああん!」
桐華が仰け反って声をあげた。
レオンはもう片方の胸もしっかり揉み込む。
「あああ〜〜〜〜っっ!!」
桐華は溜まらずにあられもない声を上げる。
その後レオンの手は、桐華の背中に指を這わせ、更に大きな尻をゆっくり撫で上げた。
「あっ、ああっっ!!」
「なかなか良い腰つきですね。義姉上が言ってた所の『安産型』でしょうか。」
「もう、殿下ったら……。」
思わずはにかむ桐華。
「ハア、ハア、ハア……。」
桐華はその後も体の至る所にレオンの愛撫を受け、その快感で体が火照っていた。
そこへ、
「桐華さん……。」
レオンが桐華の上に覆い被さって来た。
「殿下……。」
いよいよレオンと一つになる時が来た事を感じた桐華は、そっと目を閉じる。
「いきますよ……。」
レオンは熱く濡れている桐華の部分に、自らの熱い部分をゆっくりと差し入れた。
「はあっっっ!!」
桐華はその衝撃にたまらず声を上げてしまう。
「ハッ、す、すみません!い、痛かったですか!?」
恐縮して思わず引っ込めてしまうレオン。
「い、いえ、殿下……。こちらこそ申し訳ございません……。ワタクシは大丈夫ですから……。」
再び促す桐華。
「そ、そうですか……で、では……。」
レオンは再び桐華に差し入れた。
「くっ……。」
思わず歯を食いしばる桐華。
「き、桐華さん、本当に……。」
「だ、大丈夫です、ですから、もっと、もっと……。」
「んっ……。」
レオンは更にゆっくりと自らの部分を桐華に沈め、完全に埋没させた。
「で、殿下……、ついに、ついにワタクシ達、一つになったのですね……。」
「そうですね……。」
互いに微笑み会う二人。
「さあ、いきますよ……。」
「はい……。」
頷く桐華。
それを受けレオンは、ゆっくりと腰を動かした。
「はああっっ!!」
思わず声を上げる桐華。
「き、桐華さん!?」
「だ、大丈夫ですわ、殿下。そのまま……。」
再びレオンは腰を動かす。
ごく最初の内は痛みを感じていた桐華ではあったが、次第に快感の方が勝ってきて、レオンが腰を振るたびに嬌声を上げまくるようになる。
「ああっ、で、殿下!!もっと、もっとワタクシを突いて下さい!!」
「きっ、桐華さんっ!!」
レオンの腰を振るピッチが上がり始める。
「はああっっ、い、いいですわ!もっと、もっとぉ!!」
快感の凄さに、桐華の乱れっぷりもそれに合わせて激しくなる。
「きっ、桐華さんっ、わ、私……。」
「いっ、いいですわっ!わっ、ワタクシも、もう!!」
レオンは腰を振るピッチを一気に引き上げる。
そして。
「ああっ、で、殿下……あっああああーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!」
「桐華……さんっっ!!」
桐華は生まれて初めて激しく絶頂に達し、それを感じたレオンも桐華の中にたっぷりと熱き思いを解き放った。
「ハア、ハア……。素晴らしかったですよ、桐華さん……。」
「さ、最高でしたわ……殿下……。」
二人共かなり激しく動いた事もあって、息も絶え絶えの状態にあった。
それでも、お互い、初めてひとつになった喜びで、幸せの絶頂でもあった。
レオンは桐華を抱き寄せ、微笑んだ。
レオンの胸に、ふっとよぎった面影があったが、レオンはそれを振り払う。
女性に触れたのは初めての体験だったが、桐華との行為は充分にレオンを満足させた。
(あれは、気の迷い……私には最高の女性・桐華さんがいる。)
一方、桐華の方も、レオンとの行為に女の歓びが花開きかけていた。
そして、
(これで、殿下はワタクシだけのものですわ……。あんな横取り泥棒ネコの年増女になんか、絶対に渡しません事よ……!)
自分だけに夢中になった筈だ、とも考えていた。
結ばれたばかりの2人が、同時に同じ女性の事を考えていたとは、何という皮肉であろう。
だが。
ただ肉体を与えるだけでは、男性の気持ちを縛り付けておけるものではないという事を、近い将来、桐華は嫌という程思い知らされる事になる。
そして、レオンは、「ただ1人の女性を愛する」という理想を追求していたけれども、理想はあくまで理想であって現実ではない事を、その身で知る事になる。
それも、二人が同時に考えていた女性によって。
けれど、今はまだ、2人、お互いを「唯一無二の存在」と思い、結ばれた幸福感でまどろんでいた……。
FIN…….
<オマケ>
3月11日、日曜日……。
「コナン殿は、間違いなく不感症でござる!!拙者がマッパでいたのに、顔色ひとつ変えないのは、絶対にまともではないからでござるーーーっ!!」
風吹は夜這いに失敗したばかりか、またしてもコナンから女性として見て貰えなかった事を大いに悔しがっていた。
「まあまあ、コナン君が蘭さん以外に煩悩を持っていないのは、この前の煩悩チェッカー事件で、よっっっっく!分かってた筈じゃないの。何を今更。」
お台場からの帰途、そう、慰めるとも呆れているともつかない口調で、風吹に言う恵子。
「ううううう。しかしあれは、あんまりでござるーーっ!」
「そもそも風吹は、陽介さん以外アウトオブ眼中じゃ、なかったの?」
「勿論でござるよ。けど、こちらは眼中になくても、コナン殿が拙者の裸を見て顔色ひとつ変えないのは、女として許せないでござる〜〜っ!」
「やれやれ……。」
青子と恵子は、呆れてさじを投げていた。
「わたくし、とっても恥ずかしい思いをいたしましたのよ!」
そう言って怒っているのは、紅子である。
「なにゆえ、紅子殿が恥ずかしいでござる!?」
「同じ江古田仲間として、ですわ!ああ……情けない……。」
「紅子ちゃん、可哀相……。」
「青子殿、紅子殿、恵子殿!何故皆、拙者の味方をしてくれないでござるかあ〜〜っ!?」
「……夜這いなんてハレンチな行為をした輩の味方なんか、出来る訳ないじゃないの!」
「ううう……コナン殿に仕返しをしなければ、気が済まないでござる〜〜っ!!」
「やめなさい!返り討ちにあうのがオチよ!」
「ぐふふふ。拙者には、必勝の技があるでござるよ……。」
風吹の目が据わっていて。
青子達は、心の底から、コナンに同情していた……。
直後、風吹は風の如くその場を後にした。
「ねえ、恵子。風吹ちゃんの必勝技って、何だろう?」
「コナン君の弱点って言ったら……やっぱり蘭ちゃんじゃない?」
「でも、まさか蘭ちゃんに何かするなんて事は……。」
「大かた、蘭ちゃんにある事ない事吹き込んで……。」
そこまで言った恵子は、青子と顔を見合せ、青くなる。
「たた大変!急いで知らせなきゃ!」
しかし……。
「蘭殿〜〜〜っ!!」
「あら、風吹さん、こんにちは。どうしたの?」
毛利探偵事務所に風吹が飛び込んで行くと、幸い(?)そこにいたのは、既にお台場から戻っていた蘭だけであった。
「き、昨日の夜……。」
「ああ、バトルで疲れて、大変だったでしょう?もう、体は大丈夫なの?」
「コナン殿が……マッパの拙者を冷たい目で見て、気絶させたでござるぅ〜〜〜っ!!」
「えっ!?えええっ!?」
風吹の言った事は、全部「嘘」ではない。けれど、事実のあちこちを隠していた。
蘭は、真っ青になってよろよろとなる。
そこへ、折悪く。
「ただいま〜!」
お台場からの帰途、工藤邸に寄っていたコナンが帰って来た。
そして、毛利探偵事務所の扉を開ける。
すると、そこには、仁王立ちで怒りの炎を吹き上げている蘭の姿があった。
「新一!アンタ、ゆうべ……風吹さんに何をしたの!?」
「へっ!?」
「裸の風吹さんを気絶させたって、本当!?」
「あ、まあ。でもそれは……。」
「ホントだったのね……。」
「あ、や、だからそれは……。」
「新一が違うと言ったら、わたしは新一を信じたのに……。」
「だから、蘭、それは……。」
「問答無用!はあああああっ!!」
蘭の、手加減なしの回し蹴りが、炸裂する。
コナンはかろうじてそれを避け、ソファーが身代りになった。
ちなみに、風吹はとっくに逃げ去っている。
「避けないで!」
「バーロ!避けないと死ぬだろうが!」
「この期に及んで、言い訳をするつもり!?」
「言い訳も何も……おいっ!」
コナンが第二波の攻撃をかろうじて避け(今度はテーブルが身代りになった)たところへ。
「こんにちは〜。」
お台場から鈴木邸に戻り、改めて蘭の家に遊びに来た園子が毛利探偵事務所のドアをあけ、その惨状に目をむいた。
「園子、助けてくれ!」
コナンが園子の陰に隠れた。
この際、プライドも何もかなぐり捨てている。
「卑怯者!園子を人質にするとは……。」
「ら、蘭!やめなさいって。アンタ目が据わってるわよ!」
さしもの園子も、尋常ではない蘭の様子に、真面目な顔になって言った。
「新一は……新一が……風吹さんに無体を働いたのよ!裸にして気絶させて……ううっ!」
「ちょちょ、ちょっと待て!裸の風吹さんを気絶させたのは本当だが、裸にしたのは俺じゃない!」
「……蘭。新一君が蘭以外の女に無体を働くなんて有り得ないから。まず、話を聞いたら?」
園子の言葉に、蘭はようやく少し落ち着きを取り戻した。
そこへ。
「コナン君、無事っ!?」
「まだ生きてるっ!?」
「蘭さん、早まらないで!」
青子と恵子と紅子が、飛び込んで来た……。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
江古田組から事情を聞いて、ひたすら謝る蘭。
コナンは、不機嫌も露わな様子で、ソファーに座り込んでいた。
「それにしても。風吹さんも、そんな嘘、すぐばれると思わなかったのかしら?」
「嘘は言ってないでしょ?ただ、隠していた事実があっただけで。」
「ふう。たぶん、すぐばれても、構わなかったんでしょうね。とにかく、コナン君が酷い目にあえば良いと思ってたんじゃない?」
「……何で俺がそこまで逆恨みされなきゃならねえんだ?」
「夜這いを邪魔された上に、女性として見て貰えなかった事がよほど腹立たしかったようですわね。」
「本当にごめん、新一。」
「いいよ、もう。」
「だって……怒ってるじゃない……。」
「そりゃ。蘭が信じてくれなかったからな。」
「何でもするから、許して?」
「何でも?」
上目遣いの蘭に、思わず、身を乗り出したコナン。
園子がコナンの頭を抑える。
「蘭。コヤツにそんな言質取らせたら、無体な目にあわせられるのは、アンタの方よ。」
「いいもん。」
『え!?ええっ!?』
蘭の返事に、コナンも他の皆も、思いっきりのけぞる。
「他の女の子に、無体な事するより、ずっといいもん……。」
蘭が頬を染めて言い、コナンは真っ赤になり。
そしてどうやら、急降下していたコナンの機嫌は、思いっきり急上昇に転じたようであった。
「ま、その内、な。元の体に戻ったら……。」
「うん!」
突如、コナンと蘭の雰囲気がラブラブモードになり、周りの皆が呆れ返った。
「妙に、暑くありません事?」
「はあ……助け舟出して、損した気分……。」
「でも、良かった〜。2人が仲直りして、青子は嬉しいよ。」
「まあ、間に合って良かったよね。」
2人のラブラブにあてられながらも、ホッと一安心の一同であった。
だが、事態はこれで終わらなかった。
これから数十分後、風吹は、コナンの怖さを思い知らされるのである。
蘭は確かにコナンの弱点であるが、同時に『逆鱗』でもある事に気付かなかった風吹の敗北であった。
「風吹さん。アンタ、王子様に夜這いだなんて、よくも抜け駆けをしようとしたわね〜っ!」
「コナン君から全て聞いたで!こん次からは、ウチらもバトルに合流して、ダーリンと風吹はん2人きりには、絶対にさせへんど!!」
「い、いや、それは……。」
風吹は、『あの日』から復帰した舞と、大阪から魔法陣テレポートして来た菫から、思いっきり吊るしあげられた。
当然二人共憤激している事は言うまでもない。
「オマケに、ウチ等を呪おうとまで考えてたそうやんか!」
「それもコナン君から聞いたわよ!アンタマジで何考えてんのよ!?」
「そ、それは濡れ衣でござる!」
「濡れ衣〜?これ見ても、そう言いはる気!?」
「!!!?」
舞と菫から写メを見せられて、風吹はムンクの叫びの顔になった。
そこには。
マッパになって、陽介の一物を刺激しようとしている風吹の姿が!
「こ、コナン殿、いつの間にこんな……!」
「ちゅう事は、やっぱ合成でも何でもあらへんのやな!ダーリンのち○ち○に手をかけるとは……許さへんで!」
菫は、怒りのあまり妖刀村雨を抜いた。
「今度、風吹さんが抜け駆けしようとしたら、コナン君から連絡が入る約束になっているからね!」
「グウォォォーーーーーーーーーッッッ!!!」
そう言いながら、舞は赤竜王ドラグファイヤーを召還した。
「わあああああ!ま、待つでござる〜〜〜っっ!!」
「「問答無用!覚悟!」」
「ひえ〜〜〜っ、お助け〜〜〜〜っっ!!!」
風吹は、怒りに震える2人から、一日中追いまわされる羽目になった……。
合掌……。
おしまい。
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